内閣府が募集する沖縄観光を後押しするための事業計画「沖縄観光ステップアップ戦略2017」に、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)を中心とする六つの県内企業や団体が、本部―那覇間を結ぶ高速船での海上輸送案を提出している。那覇港に寄港するクルーズ船客を中心に、沖縄美ら海水族館に近い本部港まで片道1時間で運ぶ。選定されれば、2018年度中ごろにも実証実験が始まる。
事業提案書を出しているのは、OCVBのほか、沖縄美ら海水族館を運営する沖縄美ら島財団(本部町)、久米島や渡名喜島へのフェリーを運航する久米商船(那覇市)、かりゆし(同)、JTB沖縄(同)、沖縄セルラー電話(同)。
新たな観光資源とするため、かりゆしが船内での売店運営、沖縄セルラー電話がWi―Fi(ワイファイ)など通信環境の整備、JTB沖縄は営業ノウハウを提案している。料金は3500円程度を予定している。
事業提案は、滞在時間が限られているため那覇近郊にしか足を運べなかったクルーズ船客を、観光地として最も人気のある美ら海水族館に誘導する。香港―マカオの海上輸送で使われている船種の採用を検討し、フェリー船で通常2時間ほどかかる航路を1時間に短縮する。
那覇港のクルーズ船寄港回数は17年が224回、18年は288回と、いずれも過去最多を見込んでいる。旺盛な観光需要を取り込むと同時に、国道58号など北部までの道路渋滞を緩和する効果も期待できる。
内閣府は18年度初めまでに事業提案を選定した後、実証実験を行う事業者を募集する。「沖縄観光ステップアップ戦略2017」は、内閣府が沖縄観光に特化し、初めて策定した行動計画で、5月の発表時に高速船などの実証実験を検討すると表明していた。
県内では県出資の第三セクター「沖縄マリンジェット観光」が那覇と伊江間を結ぶ高速船を運航していたが、採算が取れず、2000年2月に運航を停止した。