とあるスナックで
小林
じゃ今日は、銀行から融資を受けて、チューリップを買ったときの話ですね。
コー
じゃ俺が初めに20万円持っていたとする。そのときに噂でいまチューリップを買えば、1か月後には2倍に値が上がって儲かるよという噂話を聞いたとする。そこで俺は銀行から50万円お金を借りて、そして自分の初めからあったなけなしの20万円と合計して、70万円でチューリップを買ったとする。ところが1か月後に市場に売りに出したら、何と誰も買おうとしなかった。買い手がいなかったんだな。そんな高い値段なら珍しいチューリップでも、買い手が現れなかったんだよ。株バブル、マンションバブル、土地バブル、みな同じだよ。値上がりを期待して銀行から借金をしたんだな。マンションに住むために借金して買ったわけじゃないという事だ。だから株の値段が下がり始める、マンションの値段が下がり始める、土地の値段が下がり始めると、値上がりを期待して、借金をしているから、慌てるわけだ。銀行には今まで通りに返済はしなければならない。値段は下がっていく。慌ててマンションや土地や株を損切りしても売るわけだ。そうするとますます売りが売りを呼んで値が下がっていく。
俺は銀行から50万円借りて、自分の20万円を足してチューリップを買った。ところがそのチューリップがまったく値が付かず、といううか買い手が一人も現れなかったわけだ。おれは70万円の損だ。その70万円はどこに行った。そう俺に70万円でチューリップを売った人間のところに行って社会の中でぐるぐる回っているわけだ。俺は銀行に50万円を返そうとして、タンスの奥にあった50万円を銀行に返した。銀行から借りた時点では、20万円、銀行から借りた50万円、そしてタンスの50万円持っていたんだが、チューリップ相場で70万円損したから、そして銀行に50万円返済したから、今自分の手元には、何も残っていないんだ、チューリップしか。
問題はその時点で、俺が銀行からお金を50万円借りた時点より、世の中のお金が50万円減ったという事だ。なぜなら銀行は返済されたお金は、借りた人の銀行預金の金額をその分減らすからね。50万円あった金額を消すわけだ。それで返済とするわけだ。無から作ったお金は返済によって、無に帰るというわけだ。もし無から作ったお金が無に帰らなかったとしたら、世の中お金だらけになっちゃうよ。ハイパーインフレだ。
もし俺が銀行に50万円返済できなかったとしたら、そう銀行の焦げ付きだよね。貸した金が、しかも信用創造で膨らました50万円が返ってこなかったらどうなるんだろう。下手したら債務超過になっちゃうよね。なーに万年筆で書いただけの50万円じゃないか、インク消しで消せばいいだけじゃね、というわけにはいかないのだ。それが出来るんだったら、誰が銀行に借りた金を返済するだろうか、誰もしなくなる。銀行は債務超過にならないようにしなければならない、じゃどうするのか。この点が非常に重要だと思う。
では、山口薫の「公共貨幣」をもう一度読んでみよう。
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それでは株価が暴落すればどのようなことが生じるのか。第一部で学んだお金の知識を動員して考えてみよう。まず、リーマンショックの時と同じように、1920年代の投資家も莫大なレバレッジをかけて借金をし、株式投資や証券投資をしていた。かれらはどうするであろうか。株式を処分し、それでも十分でない場合はあらゆる資産を現金化して、借金を減らそうとする。また、銀行も「貸しはがし」をして、出来るだけ借金を回収し、株価等手持ちの金融資産の減価からくる債務超過を回避しようとする。こうした結果、銀行預金は減少する。(コー注:借金を回収すると、借りた人の銀行預金の額がその分減る。世の中全体でみると、世の中から銀行預金というお金が減っていく。)銀行預金の大半は信用によって「無から創られた」お金であり、第一部で見たように、こうした預金が減少するにつれ、お金は流通から消えていく。
さらに預金者は、預金口座からお金を引き出して現金化しようとする。勿論、銀行が倒産するのではといった危惧から、預金者が銀行に殺到するという、いわゆる「取り付け騒ぎBank-run」も起こり始める。こうして銀行の当座預金(現金)が引き出されると、部分準備銀行制度のもとではその何倍もの預金が消失してゆく。(コー注:この点が非常に重要だ)第4章で見たように、準備率が10%であれば、引き出し額の10倍の預金を銀行は減らさざるを得なくなる。このように現行の債務貨幣システムのもとで株価が暴落すれば、バブルで膨れ上がったお金が、風船が縮むように急速に消えていく。(コー注:まさに中国はこの状態だ。始めはマンション市場だったのかな、暴落の始まりは。)ーーーーー。
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p-169
ではなぜ、お金(経済の高速道路)は消えたのか。第一部を旅してこられた読者の皆さんにはその理由がすでにお分かりであろう。部分銀行制度によって、預金というお金が無から信用創造されるから、またその逆に無に帰すのである。(コー注:借金で作られたバブルがはじけると、急激に無に帰るという事だと思う、急激に。借金でないお金でバブルがはじけても、世の中からお金は消えない。AからBへお金が移動するだけ。)(第4章)。表8.2は、1930年から1933年までの4年間に全米の銀行資産が、641億ドルから404億ドルに、実に236.7億ドル37%も激変したことを示している。すさまじい勢いで銀行が取り付け騒ぎに襲われ、取引停止や、倒産に追い込まれたかがこの数字で類推できる。
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(コー注:いやーまさに、中国はこの銀行破綻の状態に入っちゃったんだろうか。)
小林
信用創造にはこんなカラクリがあるとは、だれも知らないんでしょうね。
恐ろしいことですね。