とあるスナックで
小林
またまた読んでいきましょう。<プライベート・ブロックチェーン>と、<バブリック・ブロックチェーン>の違いですね。これは重要なことですね。 p-82
なぜ仮想通貨を区別する必要があるのか
第3章で見るように、日本のメガバンクは、独自の仮想通貨の発行を計画している。しかし、金融庁は、これを電子マネーとみなして、仮想通貨とはみなさい方針のようだ。
この考え方が妥当か否かは、「補論A 仮想通貨と電子マネーの法律上の扱い」で論じている。メガバンクの構想の詳細はまだ明らかにされていないので、この問題について確定的なことはいえないが、金融庁が意図するように「不特定のものを相手にして転々流通できるか否か」を基準として電子マネーと仮想通貨を区別できるかどうかは、疑問である。
本書の2で述べたCircle(サークル)のようなものが現れると、仮想通貨を送金できる自由度が増し、「不特定のものを相手にして転々流通できる」範囲が拡大する。そうなると、法貨、電子マネー、仮想通貨を区別する意味が希薄になっていく。したがって、改正資金決済法のような区別は、無意味なものになる。
こうした状況を見ていると、つぎのように勘繰らざるを得ない。
すなわち。規制当局の目的は「銀行は、電子マネーを扱うが、ビットコイン型の仮想通貨は扱えない。そして自ら発行する仮想通貨は扱える」という状態を作ることだ。それによってビットコイン型の仮想通貨を銀行システムから排除する。他方で、ビットコイン型の仮想通貨に対しては規制を加える。こうした目的が最初にあって、それを実現するように各カテゴリーの定義付けをしているようにおもわれるのである。
しかし、右に述べたように、この区別はすでに破綻しており、将来ますますそれが明確になるだろう。
コー
いやー、ややこしいね。ビットコインのような仮想通貨とスイカのような電子マネーの違いがまずあって、その次に仮想通貨の中に<プライベート・ブロックチェーン>型の仮想通貨と<パブリック・ブロックチェーン>型の仮想通貨の違いがあるということか。うーんややこしい。
小林
まず、ビットコインのような仮想通貨とスイカやパスモのような電子マネーの違いですね。
わたしはスイカを持っていますがその中のお金は、コーさんや他の人のスイカに直接移し替えることはできませんよね。
しかしビットコインは直接人から人へ、直接移し替えられることができるということでしょうか?
スマホやパソコンに<ビットコインのワレット>というアプリをダウンロードすれば、その<ビットコインのワレット>同士でビットコインを自由にやりとりできるということでしょう。
だから、ビットコインのような仮想通貨とスイカのような電子マネーの違いは、お金が、
「不特定の者を相手にして、転々流通するか?」
だと思いますね。
コー
「不特定の者を相手にして、転々流通する」といえば、お札である日銀券と同じということらしい。
いやーやっぱり、ややこしい。
ママ
あまりいろいろなお金が使われるようになると、困るわ。クレジットカードとかスイカとか、ましてビットコインが使われるようになったら、この店のように小さな店は困るのよ。この店で使えるようにするには、ある程度のお金がかかるのよ。それはなかなかできないわ。
小林
でもママ、これからますます現金は使われなくなりますよ。カード、スマホで決済する、お金を払うということになると思いますよ、確実に。
2020年の東京オリンピックの時には、ビットコインで買い物をするという外国の人がいっぱい来ると思いますよ。だって便利なんですから。いちいち空港で自国通貨と日本の円との交換をしなくて済むんですから。
東京オリンピックに向けて、ビットコインが使える店がますます日本で増えると思いますよ。
コー
ママ、この店も思い切ってビットコインが使えるようにしたら。俺は繁盛すると思うよ。
ママ
えー、そうなの、 ウッソー。