郎女迷々日録 幕末東西

薩摩、長州、幕府、新撰組などなど。仏英を主に幕末の欧州にも話は及びます。たまには観劇、映画、読書、旅行の感想も。

オランダおイネと楠本イネ

2016年03月14日 | シーボルトの娘

 卯之町紀行 シーボルトの娘がいた街 後編の続き、ということになります。

 先年から、近藤長次郎本挫折、文さん本挫折と続きました。どちらもあきらめたわけではなく、なんとかしなければと思いつつ、前へ進まなくなりましたところで、昨年の暮れ、山本栄一郎氏から、シーボルトの娘・楠本イネに関します、あっと驚くような情報をいただきました。それがどのような情報かは、書きません。なにしろ山本氏に、「なにもかもブログに書くのはやめてください!」と戒められておりますし、さらに私、どうもブログに書きますと、それで満足して、本の原稿を書かなくなりますし(笑)
 山本氏のご指摘を受け、他にもいろいろと調べてみましたところが、近年、いままで知られておりませんでした史料も紹介され、どーやら、司馬遼太郎氏の『花神』とも吉村昭氏の『ふぉん・しいほるとの娘』とも、まったくちがう楠本イネ像を掘り起こせそうな気がしてまいりました。


花神(上中下) 合本版
司馬 遼太郎
新潮社


吉村昭歴史小説集成〈6〉ふぉん・しいほるとの娘
吉村 昭
岩波書店


 おイネさんを書くことの利点は、愛媛に関係する人物ですので、地元から出版できることです。
 これまで私、趣味の集大成として本を出そうと思っていたのですが、おイネさんならば、仕事の集大成にもなりえます。
 まずはおイネさんだわと、正月そうそう知り合いの出版社に話を持ち込み、OKをいただきました。

 えーと、それでまあ、原稿を書きかけてはいるのですが、なににとまどうって、このブログは最近、あきらかにオタク向けになっておりまして、私、幕末の一般的な出来事を説明しないですましてしまっているわけなのですが、一般向けの本を一冊書くとなりますと、きっちりと、しかもわかりやすく、時代の概要を提示しなければならないんですね。
 あらためて説明しようとしますと、知ってたような気でいて、実はよくわかっていなかった事柄も多く、自分がわかっていなければ説明のしようもありませんし、まして、臨場感をもたせるなんて至難のわざです。
 つくづく、司馬遼太郎氏はすごいですわ。

 そんなこんなで、私、書き始める前にまず、身近な女性たちに「シーボルトの娘のおイネさんについて、どんなイメージを持ってる? そのイメージのもとはなに?」と聞いてまわりました。
 それが、意外にも、ですね。『花神』も『ふぉん・しいほるとの娘』も、だれも読んではいなくって、私の知らなかったドラマが二つ、あがりました。
 一つは、宮沢りえがイネさんを演じたNHKドラマ『おいね 父の名はシーボルト』で、調べてみましたら十数年前の作品でした。
 忙しかったんでしょうか。私、さっぱりその存在自体を知らなかったのですが、妹に聞けば、相当に暗い話だったそうで、「で、あのドラマみたいに、おイネさんは本当に強姦されたの?」と聞き返されました。
 
 もう一つは、TBSのポーラテレビ小説『オランダおいね』でして、四十数年前に放送されたものです。
 この当時、松山には確かTBSがなかったはずでして、放送されていなかったのではないか、と思います。
 しかし、『オランダおイネ』という呼び方は、幾度も耳にしたような気がしまして、もしかしてこのドラマゆえなのか、とも思え、どーしても内容を知りたくなり、ノベライズの古本を手に入れました。
 これが、もう、荒唐無稽の作り話で、唖然としました。
 
 まあ、ともかく、ですね。みなもと太郎氏の『風雲児たち』にも、かなり頻繁にイネさんが登場するとは、今回、初めて知りました。

風雲児たち 幕末編 24 (SPコミックス)
みなもと太郎
リイド社

 
 「風雲児たち コスプレ美女コンテスト」というのもありまして、シーボルト・イネは一位です! いや、シーボルト・イネって‥‥‥、そんな名乗り、本人がしたことないんですけどね。
 楠本イネが、本人が望んだ正式な名です。
 イメージとしましては、『花神』と『ふぉん・しいほるとの娘』をごちゃまぜにして、しかし『花神』テイストが強い、という感じで、楽しくも強烈なイネさんです。

 これからときどき、原稿にはならないイネさん周辺の話題を、ひろっていくつもりでおります。


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コメント (6)
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