郎女迷々日録 幕末東西

薩摩、長州、幕府、新撰組などなど。仏英を主に幕末の欧州にも話は及びます。たまには観劇、映画、読書、旅行の感想も。

宝塚キキ沼に落ちて vol1

2020年10月03日 | 宝塚

 「桐野利秋in宝塚『桜華に舞え』観劇録 後編下」の続きであり、 「幕末維新はエリザベートの時代 vol1」の続きでもあります。
 といいますか私、「宝塚」というカテゴリーを作ってしまいました。
 現在私は、中村様いわくの「老いらくの恋ですねえ」状態。我ながら呆然としますことに、2次元や死人ではない、生きている実在の人物に、生まれて初めてどっぷりとはまり込み、歴史ブログを書く気になれませんで、新しいブログを作るのもめんどうなものですから、ここに思いの丈を書いてしまうことにいたしました。
 「桜華に舞え」を見に行ったあのときには、まさかこんなことになろうとは、思いもしませんでした。

 宝塚花組 明日海りおほかSMAPとコラボ「闇が広がる」ほか


 ことの始まりは、思い返してみれば、 「幕末維新はエリザベートの時代 vol1」でもご紹介しました、スマップと「宝塚歌劇団花組のみなさん」の共演にありました。
 YouTubeには、実は2パターンあがっていまして、前回にあげたものはミュージカル「エリザベート」から「闇が広がる」のみでしたが、今回のものには、続いて披露された「オーシャンズ11」の「FATE CITY」、「ロミオとジュリエット」の「世界の王」と合わせて3曲、現在の宝塚を代表する楽曲が演じられていました。

 このときの花組は、2014年、トップ明日海りおさんお披露目公演「エリザベート」の直前か、最中か、だったんでしょうか。
 2曲目の「FATE CITY」は、香取慎吾さんと望海風斗さんが歌っていますが、明日海さんはこの前年、次期トップさんとして月組から花組へ移動して来ていまして、「オーシャンズ11」は未経験でした。
 
 「エリザベート」は「幕末維新はエリザベートの時代 vol1」でご紹介しましたように、ウィーンミュージカルの上演権を宝塚が得て、小池修一郎氏の手で宝塚向きに改変され、大ヒットとなり、再演を重ねました。同じ小池氏の演出で、系列の東宝では男性ミュージカルスターをまじえて上演され、これも再演を重ねて、いまも大人気で切符がとれない、といわれるほどです。

 「オーシャンズ11」は、同名のアメリカ映画を、宝塚独自にミュージカル化したものでして、やはり小池氏の脚本・演出で、2011年星組で初めて上演され、2013年花組で再演、そしてこの2014年、香取慎吾主演、山本耕史共演で、東宝版が演じられたところだったようです。
 私、山本耕史が歌が歌えるとは、まったくもって存じませんでしたわ。

 私が知っています香取&山本コンビは、「土方歳三 最期の一日」でわずかに触れております2004年のNHK大河「新撰組!」、近藤勇&土方歳三だけです。ご贔屓の土方さんを山本耕史がやったのは、ちょっと微妙だったんですが、この「最期の一日」だけは、よかったです。

 いや、でもねえ。私、「誠の群像」を見損ねてしまったんですが、現在雪組トップでおられる望海風斗さんの土方の方が、よかったのではないかなあ、と思ったりします。
 楽天TVで予告編を見ることができますので、検索をかけてみてください。惚れ惚れします、望海さんの土方。
 実は一昨年の春、「誠の群像」の宝塚公演が高松に来ると知り、切符を買ってたんです。ところがその直前、歴史探訪旅行に参加しまして、宇和島城の天守閣で転げ、足を折ってしまいました。
 仕方なく、今治に住む宝塚好きの友人にチケットを譲りましたが、その友人はすっかり、望海さんのファンとなり、今年はじめ、うらやましいことに、「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」を見に宝塚大劇場まで出かけました。
 この「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」がまた、アメリカ映画を原作とし、小池氏が脚本・演出を手がけた宝塚独自のミュージカルでして、今年が初演でした。
 これも他組で上演するんだろうか、と首をかしげるんですが、といいますのも、ネット上で感想などを読んだ限りでは、歴代でも歌唱力トップクラスの望海さんと、そのお相手で稀代の歌姫、トップ娘役・真彩希帆さん、二人の存在があればこそかなあ、という感じなんです。

 私、中村さまに教えていただいてびっくりしたのですが、真彩さん、「桜華に舞え」で会津のお姫様をやってらして、私は宝塚初観劇で、実はこの歌姫の美声を聞いていたんです。「桐野利秋in宝塚『桜華に舞え』観劇録 中編」に書いておりますが、私はただただ「ありえへん姫様設定」に気を奪われ、気づいていませんでした。
 真彩さんは、もともと花組にいらして、望海さんと同じ舞台に立っていらしたのですが、その後星組に移り、「桜華に舞え」に出ておられました。
 望海さんが雪組トップになられたときに、おそらくは、なんですけれども、望海さんのたっての望みで相手役に迎えられたのではないか、と思います。
 といいますのも、宝塚歌劇団は、歌劇団と名がついていますのに、わりと、トップ娘役の歌唱力に無頓着です。望海さんの希望がなければ、真彩さんがトップになることはなかったのではないかと、私が考えるゆえんです。
 そしてどうも、「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」は、トップ娘役の歌唱力がなければ、いい舞台にならないのではないか、という感じなんです。

 えーと。話がそれましたが、2014年に話をもどしますと、望海風斗さんは2013年花組で再演された「オーシャンズ11」に出ていまして、トップ娘役・蘭乃はなさん、後ろで踊っています若手男役二人、芹香斗亜さん(現在宙組2番手)、柚香光さん(現在花組トップ)も、同じく、そうだったんです。ちなみに芹香さんは、星組から花組に組替えしてきているので、2011年星組初演も経験しています。

 次いで「ロミオとジュリエット」ですが、これはフレンチ・ミュージカルです。演出はまたしても小池修一郎氏。
 初演は2010年星組、2011年雪組、2012年月組、2013年星組再演でした。そしてこれまた、外部でも上演しています。
 キキちゃん(芹香斗亜さん)は星組で初演を経験。明日海さんは月組で、役代わり主演を務めていました。
 明日海さんのロミオは、すばらしく美しかったそうです。

 もうお気づきでしょうか。私がはまってしまっているキキ沼とは、キキちゃんと愛称で呼ばれる芹香斗亜さんのことでして、明日海さんでも望海さんでもないんです。
 しかし、それはごく最近のことでして、私はキキちゃんを生で見たことがありません。
 「桜華に舞え」以降に観劇できましたのは、明日海さん率いる花組の「ポーの一族」と「A Fairy Tale -青い薔薇の精-」のみですので、明日海さんと、ずっと花組ににいて現在跡を引き継いでトップに就任しておられる柚香光さんは生で見たのですが、そのときすでに、望海さんは雪、キキちゃんは宙に組替えしていましたので、見ていません。

 YouTubeのこの動画は、ずいぶんと、宝塚の布教に役立っているのではないかと思います。
 少なくとも私は、これを見てすぐに、花組「エリザベート」のDVDを買いました。
 明日海さんのトート、望海さんのルッキーニ、北翔海莉さんのフランツ・ヨーゼフ、主要3役がみなさん相当な歌唱力の持ち主ですし、なんといっても明日海さんのトートは、「人ではない」神秘的な美しさを醸し出していまして、まさに、甘美な世紀末の死、そのものでした。
 DVDで見た限り、望海さんのルッキーニがまた、歴代有数の歌唱力、演技力で、生で見たい! とは思ったのですが、当時、望海さんは雪組に移って2番手を務めていらっしゃいまして、トップではなかった、といいますことは、主演じゃないですから、出番少なめです。
 このときの雪組トップ・早霧せいなさんとトップ娘役・咲妃みゆさんの退団公演「幕末太陽傳」は、テレビで見てけっこうおもしろかったのですが、題材的に、私が重い腰をあげ、宝塚まで観劇しに行くほどの吸引力はありませんでした。ただ、次期トップ望海風斗さんが、高杉晋作をやっておられて、「三千世界の鴉を殺し」の都々逸を詠ってくださったのは、感激でした! よかった!

 キキちゃんと柚香光さんは、「エリザベート」において、役代わりで、動画ではスマップが集団で歌った、皇太子ルドルフをやっていました。
 柚香光さんのお歌が上手くないのはこのころからでしたが、ビジュアルはまあ、よかったのではないでしょうか。
 で、キキちゃんです。お歌は柚香光さんよりはよかったのですが、それでもうまい、というほどではなく、なによりビジュアルとして、明日海さんとの身長のバランスが悪いんですね。
 
 明日海さんも望海さんも、男役としては小柄な方ですし、柚香さんは、それより少し高いのですが、キキちゃんほどではありません。
 とはいえ、キキちゃんも公称173㎝で、男役としては普通なんですが、動画の中で見る限り、香取慎吾さんを除けば、他のスマップメンバーより高身長なんじゃないんでしょうか。
 ともかく、トートよりもルドルフが高身長といいますのは、なんんとなく収まりが悪く、キキちゃんはできるだけ足を折り、明日海さんより大きく見えないような努力は払っていたようだったんですが、辛そうでした。

 「エリザベート」の一つ前に上演されました、明日海さんのプレお披露目公演「ベルサイユのばら フェルゼン編」もDVDで見たのですが、ここでキキちゃんはオスカルに抜擢されています。
 似合ってないわけではないんです。後に月組時代の明日海さんのオスカルを見ましたが、これはもう、あまりに美しすぎまして、国王軍と戦う決心をする場面など、「いや、やっぱり、どこからどう見てもフランス人形だから、ありえない!」と感じてしまって、まるでリアリティがないんです。
 その点、キキちゃんは身長があるだけに、十分男にまじって戦っていけそうな力強さが感じられたのですが、いかんせん、フェルゼン(明日海さん)よりもアンドレイ(望海さん)よりも身長の高いオスカルって!ありですか?

 まあ、結局です。最初、私がDVDを買ったりして映像で追いかけましたのは、すでに花組トップだった明日海さんで、必然的にキキちゃんの軌跡も途中まで追うこととなり、好感は持ちましたが、まったくもってはまったわけでは、ありませんでした。

 というわけで、次回はまず、宝塚歴代の中でももっとも切符が取りずらかった、といわれます、トップオブトップ、明日海りおさんと「ポーの一族」のお話から、始めたいと思います。


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6 コメント

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小池にはまって、さあ大変 (中村太郎)
2020-10-04 16:56:00
私の「小池」は「エリザベート」ですが、宝塚歌劇にもややはまってしまい、あの方も、あの方も、素敵!と、「桜華に舞え」以前と全然違ってしまいました。(笑)
郎女様からお電話を頂いてBD「花組オーシャンズ11」を注文してしまいました。在庫が無いようで、手元に届くのか不安ですが。

話は飛びますが、桐野利邦さんのお墓は青山墓地にあるようです。都内なのに何故か遠いです。徒歩30分の勝海舟記念館にもまだ行っていません。
返信する
花組のオーシャンズ11 (郎女)
2020-10-04 22:14:27
私も手に入れなくては! なんです。キキちゃんはライナスをやっているんですが、このころはもう、ぷくぷくのヒヨヒヨ、ですよねえ。新人公演で主演のダニー役をいただいたのに、本役の蘭寿とむさんと、「畏れ多くて全然しゃべれなくなってしまって」、望海さんが間に入ってとりもってくださったんだそうです。
「群盗」見に来てくださったときは、感激だったと思います。
https://ameblo.jp/ranjunokai/entry-12443056450.html

金曜日、上野へ行く前に、青山墓地に行きますか?
場所がわかればいいんですが。
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蘭寿さん (郎女)
2020-10-04 22:19:27
宙組オーシャンのキキちゃん見て、泣いてくださっていたんですね!

https://ameblo.jp/ranjunokai/entry-12460200373.html
返信する
青山墓地 (中村太郎)
2020-10-05 14:27:15
桐野利邦さんのお墓参り、郎女様がお時間あるのなら参りますか? ネットの情報では、1-ロ-17-9になっています。大分奥の方です。
学生の頃、鹿児島県立図書館で蔵書検索の紙のインデックスで桐野利邦を見た記憶がはっきりあるのですが、今、フリーワードで検索しても出てきません。
アジ歴で検索したら、母方の叔父の名前が田中綱哉、長男は桐野利村とわかりました。病気でフランスから船で帰国途中、香港で明治21年12月30日午後2時に死去です。
身体が丈夫な方じゃなかったのか、明治10年に療養のための休暇願を出しています。医者の診断は心臓病です。

>BDオーシャンズ11
ご覧になるだけならば、無事手に入ればご上京の折、お貸しします。キキちゃんをお手元に置きたいなら別ですが。(笑)
返信する
金曜日は (郎女)
2020-10-05 23:41:56
あまり時間がないかも、なので、土曜日、コンサート当日の午前中はいかがでしょうか?

キキちゃんは手元に欲しいので(笑)、もう、注文しちゃいました! お気遣い、ありがとうございます。
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いつでも。 (中村太郎)
2020-10-06 00:40:43
郎女様のご都合の良いように、スケジュールをお組み下さい。ご無理なさいませんように。
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