(01)
― 何度も、書いてゐるやうに、―
① 象は鼻が長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(01)により、
(02)
② (象は鼻が長い。)といふわけではない。
ではなく、
② 象は(鼻が長い。)といふわけではない。
であれば、
② ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
といふ「論理式」に、対応する。
然るに、
(03)
― 先程(令和02年04月18日)も書いたものの、―
(ⅱ)
1 (1)∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} A
1 (2) 象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 1UE
3 (3) 象a A
13 (4) ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 23MPP
13 (5) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) 4ド・モルガンの法則
13 (6) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 5含意の定義
7 (7) ∃y(鼻ya&長y) A
137 (8) ~∀z(~鼻za→~長z) 78MPP
137 (9) ∃z~(~鼻za→~長z) 8量化子の関係
ア (ア) ~(~鼻ba→~長b) A
ア (イ) ~(鼻ba∨~長b) ア含意の定義
ア (ウ) ~鼻ba& 長b イ、ド・モルガンの法則
ア (エ) ∃z(~鼻za& 長z) ウEI
137 (オ) ∃z(~鼻za& 長z) 9アエEE
13 (カ) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) 7オCP
1 (キ) 象a→[∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)] 3カCP
ク(ク) 象a& ∃y(鼻ya&長y) A
ク(ケ) 象a ク&E
1 ク(コ) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) キケMPP
ク(サ) ∃y(鼻ya&長y) ク&E
1 ク(シ) ∃z(~鼻za& 長z) コサMPP
1 (ス) 象a& ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) クシCP
1 (セ)∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} スUI
(ⅲ)
1 (1) ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} A
1 (2) 象a& ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) 1UE
3 (3) 象a A
4 (4) ∃y(鼻ya&長y) A
34 (5) 象a& ∃y(鼻ya&長y) 34&I
134 (6) ∃z(~鼻za& 長z) 25MPP
7(7) ~鼻ba& 長b A
7(8) ~(鼻ba∨~長b) 7ド・モルガンの法則
7(9) ~(~鼻ba→~長b) 8含意の定義
7(ア) ∃z~(~鼻za→~長z) 7EI
134 (イ) ∃z~(~鼻za→~長z) 67アEE
134 (ウ) ~∀z(~鼻za→~長z) イ量化子の関係
13 (エ) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 4ウCP
13 (オ) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) エ含意の定義
13 (カ) ~[∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)] オ、ド・モルガンの法則
1 (キ) 象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 3カCP
1 (ク)∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} キUI
従って、
(02)(03)により、
(04)
② ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
③ ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、すなはち、
② すべてのxについて、xが象であるならば[あるyがxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない]といふことはない。
③ すべてのxについて、xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、あるzはxの鼻以外であって、長い。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
② 象は(鼻が長い。)といふわけではない。
③ 象は、鼻が長いならば、鼻以外も長い。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(06)
(ⅲ)
1 (1)∀x{象x&∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)} A
1 (2) 象a&∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z) 1UE
1 (3) 象a 2&E
1 (4) ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z) 2&E
5 (5) ∀z(~鼻za→~長z) A
5 (6) ~鼻ba→~長b 1UE
5 (7) 鼻ba∨~長b 6含意の定義
5 (8) ~(~鼻ba& 長b) 7ド・モルガンの法則
5 (9) ∀z~(~鼻za& 長z) 8UI
5 (ア) ~∃z(~鼻za& 長z) 9量化子の関係
15 (イ) ~∃y(鼻ya&長y) 1アMTT
1 (ウ) ∀z(~鼻za→~長z)→~∃y(鼻ya&長y) 5イCP
1 (エ) 象a&∀z(~鼻za→~長z)→~∃y(鼻ya&長y) 3ウ&I
1 (オ)∀x{象x&∀z(~鼻zx→~長z)→~∃y(鼻yx&長y)} エUI
(ⅳ)
1 (1)∀x{象x&∀z(~鼻zx→~長z)→~∃y(鼻yx&長y)} A
1 (2) 象a&∀z(~鼻za→~長z)→~∃y(鼻ya&長y) 1UE
1 (3) 象a 2&E
1 (4) ∀z(~鼻za→~長z)→~∃y(鼻ya&長y) 2&E
5 (5) ∃y(鼻ya&長y) A
5 (6) ~~∃y(鼻ya&長y) 5DN
15 (7) ~∀z(~鼻za→~長z) 46MTT
15 (8) ∃z~(~鼻za→~長z) 7量化子の関係
9(9) ~(~鼻ba→~長b) A
9(ア) ~( 鼻ba∨~長b) 9含意の定義
9(イ) ~鼻ba& 長b ア、ド・モルガンの法則
9(ウ) ∃z(~鼻zx& 長z) イEI
15 (エ) ∃z(~鼻zx& 長z) 89ウEE
1 (オ) ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z) 5エCP
1 (カ) 象a&∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z) 3オ&I
1 (キ)∀x{象x&∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)} カUI
従って、
(06)により、
(07)
③ ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
④ ∀x{象x&∀z(~鼻zx→~長z)→~∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、すなはち、
③ すべてのxについて、xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、あるzはxの鼻以外であって、長い。
④ すべてのxについて、xが象であって、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。ならば、あるyがxの鼻であって、長い、といふことはない。
に於いて、
③=④ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(07)により、
(08)
③ 象は、鼻が長いならば、鼻以外も長い。
④ 象は、鼻以外が長くないならば、鼻は長くない。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
② 象は(鼻が長い。)といふわけではない。
③ 象は、鼻が長いならば、鼻以外も長い。
④ 象は、鼻以外が長くないならば、鼻は長くない。
といふ「日本語」は、
② ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
③ ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
④ ∀x{象x& ∀z(~鼻zx→~長z)→~∃y(鼻yx&長y)}
といふ「述語論理式」に、対応する。
(10)
「述語論理」を「独学」することが、「難しい」かどうかは、人それぞれなので、何とも、言へない。
然るに、
(11)
いづれにせよ、
日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。なんら確定的な規則があるわけでなく、量記号に十分に馴れるまでには、練習を積むことが必要である。そこに含まれている仕事は翻訳の仕事に違いないけれども、しかしそこへ翻訳が行われる形式言語は、自然言語のシンタックスとは幾らか違ったシンタックスをもっており、また限られた述語―論理的結合記号、変数、固有名、述語文字、および2つの量記号―しかももたない。その言語のおもな長所は、記法上の制限にもかかわらず、非常に広範な表現能力をもっていることである
(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、130頁)。
といふ風に、E.J.レモンは、言ってゐる。
(01)
― 以前にも書いたものの、―
(ⅰ)
1 (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)} A
1 (2) ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&鼻ay→~長a)} 1UE
3 (3) (鼻ab&象b→長a)&(~象b&鼻ab→~長a) A
3 (4) 鼻ab&象b→長a 3&E
3 (5) ~象b&鼻ab→~長a 3&E
6 (6) 長a A
6 (7) ~~長a 6DN
36 (8) ~(~象b&鼻ab) 57MTT
36 (9) 象b∨~鼻ab 8ド・モルガンの法則
ア (ア) 象b A
ア (イ) ~~象a アDN
ア (ウ) ~~象a∨~鼻ab イ∨I
エ (エ) ~鼻ab A
エ (オ) ~~象b∨~鼻ab エ∨I
36 (カ) ~~象b∨~鼻ab 9アウエオ∨E
36 (キ) ~象b→~鼻ab カ含意の定義
3 (ク) 長a→(~象b→~鼻ab) 6キCP
ケ(ケ) 長a& ~象b A
ケ(コ) 長a ケ&E
3 ケ(サ) ~象b→~鼻ab クコMPP
ケ(シ) ~象b ケ&E
3 ケ(ス) ~鼻ab サシMPP
3 (セ) 長a&~象b→~鼻ab ケスCP
3 (ソ) (鼻ab&象b→長a)&(長a&~象b→~鼻ab) 4セ&I
3 (タ) ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(長a&~象y→~鼻ay)} ソEI
1 (チ) ∃y{(鼻ay&象b→長a)&(長a&~象y→~鼻ay)} 23タEE
1 (ツ)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(長x&~象y→~鼻xy)} チUI
(ⅱ)
1 (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(長x&~象y→~鼻xy)} A
1 (2) ∃y{(鼻ay&象b→長a)&(長a&~象y→~鼻ay)} 1UE
3 (3) (鼻ab&象b→長a)&(長a&~象b→~鼻ab) A
3 (4) 鼻ab&象b→長a 3&E
3 (5) 長a&~象b→~鼻ab 3&E
6 (6) 鼻ab A
6 (7) ~~鼻ab 6DN
36 (8) ~(長a&~象b) 57MTT
36 (9) ~長a∨ 象b 8ド・モルガンの法則
36 (ア) 象a∨~長a 9交換法則
イ (イ) 象a A
イ (ウ) ~~象a イDN
イ (エ) ~~象a∨~長a ウ∨I
オ (オ) ~長a A
オ (カ) ~~象a∨~長a オ∨I
36 (キ) ~~象a∨~長a アイエオカ∨E
36 (ク) ~象a→~長a キ含意の定義
3 (ケ) 鼻ab→(~象a→~長a) 6クCP
コ(コ) ~象b&鼻ab A
コ(サ) 鼻ab コ&E
3 コ(シ) ~象a→~長a ケサMPP
コ(ス) ~象b コ&E
3 コ(セ) ~長a シスMPP
3 (ソ) ~象b&鼻ab→~長a コセCP
3 (タ) (鼻ab&象b→長a)&(~象b&鼻ab→~長a) 4ソ&I
3 (チ) ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&鼻ay→~長a)} タEI
1 (ツ) ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&鼻ay→~長a)} 23チEE
1 (テ)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)} ツUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}
② ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(長x&~象y→~鼻xy)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。
② すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、xが長くて、yが象でないならば、xはyの鼻ではない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}⇔
① すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。
といふことは、
① 鼻は象は長く、象以外の鼻は長くない。
といふ「意味」である。
(04)
② ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(長x&~象y→~鼻xy)}⇔
② すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、xが長くて、yが象でないならば、xはyの鼻ではない。
といふことは、
② 鼻は象は長く、象以外の動物で、ある部分が長いならば、鼻以外の、例へば、耳が長い。
② 鼻は象は長く、象以外の動物で、ある部分が長いならば、鼻以外の、例へば、顔が長い。
といふ「意味」である。
然るに、
(05)
{象、兎、馬}を、{変域(ドメイン)}とすると、
① 鼻は象が長く、
② 耳は兎が長く、
③ 顔は馬が長い。
といふ「日本語」は、「正しい」。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 鼻は象が長い。⇔
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}⇔
① すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(07)
― 昨日(令和2年2月17日)も書いたものの、―
(ⅰ)
1 (1)~∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)& (~象y&鼻xy→~長x)} A
1 (2)∃x~∃y{(鼻xy&象y→長x)& (~象y&鼻xy→~長x)} 1量化子の関係
1 (3)∃x∀y~{(鼻xy&象y→長x)& (~象y&鼻xy→~長x)} 2量化子の関係
4 (4) ∀y~{(鼻ay&象y→長a)& (~象y&鼻ay→~長a)} A
4 (5) ~{(鼻ab&象b→長a)& (~象b&鼻ab→~長a)} 4UE
4 (6) ~(鼻ab&象b→長a)∨~(~象b&鼻ab→~長a) 5ド・モルガンの法則
4 (7) (鼻ab&象b→長a)→~(~象b&鼻ab→~長a) 6含意の定義
8 (8) (鼻ab&象b→長a) A
48 (9) ~(~象b&鼻ab→~長a) 48MPP
48 (ア) ~{~(~象b&鼻ab)∨~長a} 9含意の定義
48 (イ) (~象b&鼻ab)& 長a アド・モルガンの法則
48 (ウ) (~象b&鼻ab&長a) イ結合法則
4 (エ) (鼻ab&象b→長a)→(~象b&鼻ab&長a) 8ウCP
4 (オ) ~(鼻ab&象b→長a)∨(~象b&鼻ab&長a) エ含意の定義
カ (カ) ~(鼻ab&象b→長a) A
カ (キ) ~{~(鼻ab&象b)∨長a) カ含意の定義
カ (ク) (鼻ab&象b)&~長a キ、ド・モルガンの法則
カ (ケ) (鼻ab&象b&~長a) ク結合法則
カ (コ) (鼻ab&象b&~長a)∨(~象b&鼻ab&長a) ケ∨I
サ(サ) (~象b&鼻ab&長a) A
サ(シ) (鼻ab&象b&~長a)∨(~象b&鼻ab&長a) サ∨I
4 (ス) (鼻ab&象b&~長a)∨(~象b&鼻ab&長a) オカコサシ∨E
4 (セ) ∀y{(鼻ay&象y&~長y)∨(~象y&鼻ay&長a)} スUI
4 (ソ) ∃x∀y{(鼻xy&象y&~長y)∨(~象y&鼻xy&長x)} セEI
1 (タ) ∃x∀y{(鼻xy&象y&~長y)∨(~象y&鼻xy&長x)} 34ソEE
(ⅱ)
1 (1) ∃x∀y{(鼻xy&象y&~長y)∨(~象y&鼻xy&長x)} A
2 (2) ∀y{(鼻ay&象y&~長y)∨(~象y&鼻ay&長a)} A
2 (3) (鼻ab&象b&~長b)∨(~象b&鼻ab&長a) 2UE
4 (4) (鼻ab&象b&~長b) A
4 (5) (鼻ab&象b)&~長b 4結合法則
4 (6) ~~{(鼻ab&象b)&~長b} 5DN
4 (7) ~{~(鼻ab&象b)∨ 長b} 6ド・モルガンの法則
4 (8) ~(鼻ab&象b→長b) 7含意の定義
4 (9) ~(鼻ab&象b→長b)∨~(~象b&鼻ab→~長a) 8∨I
ア (ア) (~象b&鼻ab &長a) A
ア (イ) (~象b&鼻ab)&長a ア結合法則
ア (ウ) ~~{(~象b&鼻ab)&長a} イDN
ア (エ) ~{~(象b&鼻ab)∨~長a} ウ、ド・モルガンの法則
ア (カ) ~(象b&鼻ab →~長a) エ、含意の定義
ア (キ) ~(鼻ab&象b→長b)∨~(~象b&鼻ab→~長a) カ∨I
2 (ク) ~(鼻ab&象b→長b)∨~(~象b&鼻ab→~長a) 349アキ∨E
2 (ケ) ~{(鼻ab&象b→長a)& (~象b&鼻ab→~長a)} ク、ド・モルガンの法則
2 (コ) ∀y~{(鼻ay&象y→長a)& (~象y&鼻ay→~長a)} ケUI
2 (サ) ~∃y{(鼻ay&象y→長a)& (~象y&鼻ay→~長a)} コ量化子の関係
2 (シ)∃x~∃y{(鼻xy&象y→長x)& (~象y&鼻xy→~長x)} サUI
2 (ス)~∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)& (~象y&鼻xy→~長x)} シ量化子の関係
1 (セ)~∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)& (~象y&鼻ay→~長x)} 12スEE
従って、
(07)により、
(08)
③ ~∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}
④ ∃x∀y{(鼻xy&象y&~長x)∨(~象y&鼻xy&長x)}
に於いて、すなはち、
③「すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。」といふわけではない。
④「あるxとすべてのyについて(xはyの鼻であって、yは象であって、xは長くない)か、または(yは象ではなく、xはyの鼻であり、xは長い。」
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(09)
④「あるxとすべてのyについて(xはyの鼻であって、yは象であって、xは長くない)か、または(yは象ではなくて、xはyの鼻であり、xは長い)。」
といふことは、
④(鼻が長くない象がゐる)か、または(鼻が長い、象ではない動物がゐる)。
といふことである。
然るに、
(10)
① 鼻は象が長い。
④(鼻が長くない象がゐる)か、または(鼻が長い、象ではない動物がゐる)。
に於いて、
① と ④ は、「矛盾」する。
従って、
(11)
① 鼻は、象が長い。
④(鼻が長くない象がゐる)か、または(鼻が長い、象ではない動物がゐる)。
に於いて、
① の「否定」は、④ であって、
④ の「否定」は、① である。
従って、
(06)~(11)により、
(12)
① 鼻は象が長い。⇔
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}⇔
① すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。
といふ「等式」が、成立し、
③ 鼻は象が長い。といふわけではない。⇔
③ ~∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}⇔
④ ∃x∀y{(鼻xy&象y&~長x)∨(~象y&鼻xy&長x)}⇔
④ あるxとすべてのyについて(xはyの鼻であって、yは象であって、xは長くない)か、または(yは象ではなく、xはyの鼻であり、xは長い)。
といふ「等式」が、成立し、
① の「否定」は、③ であって、
③ の「否定」は、① である。
然るに、
(13)
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}
① すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。
に於いて、
鼻⇒□
象⇒鼻
□⇒象
といふ「置換(Replacement)」を行ふと、
② ∀x∃y{(象xy&鼻y→長x)&(~鼻y&象xy→~長x)}
② すべてのxとあるyについて、xがyの象であって、yが鼻ならば、xは長く、yが鼻ではなく、xがyの象ならば、xは長くない。
といふ「論理式」になる。
然るに、
(14)
② すべてのxとあるyについて、xがyの象であって、yが鼻ならば、xは長く、yが鼻ではなく、xがyの象ならば、xは長くない。
といふことは、
x=象
y=鼻
といふことであって、それ故、
② すべてのxとあるyについて、xがyの象であって、yが鼻ならば、象は長く、yが鼻ではなく、xがyの象ならば、象は長くない。
といふことになる。
然るに、
(15)
② 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
② 象は、鼻が長く、鼻以外は長くない。
と言ってゐるのであって、
② 象は長い。
② 象は長くない。
とは、言っていない。
従って、
(13)(14)(15)により、
(16)
① 鼻は象が長い。⇔
① 鼻は象は長く。象以外は長くない。⇔
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}⇔
① すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。
といふ「論理式」は、「真(本当)」であるが、
② 象は鼻が長い。⇔
② ∀x∃y{(象xy&鼻y→長x)&(~鼻y&象xy→~長x)}
② すべてのxとあるyについて、xがyの象であって、yが鼻ならば、xは長く、yが鼻ではなく、xがyの象ならば、xは長くない。
といふ「論理式」は、「偽(ウソ)」である。
然るに、
(17)
― 何度も、書いてゐるやうに、―
③ 象は鼻が長い。⇔
③ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
③ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(18)
④ (象は鼻が長い。)といふわけではない。
ではなく、
④ 象は(鼻が長い。)といふわけではない。
であれば、
④ ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
といふ「論理式」に、対応する。
然るに、
(19)
(ⅳ)
1 (1)∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} A
1 (2) 象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 1UE
3 (3) 象a A
13 (4) ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 23MPP
13 (5) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) 4ド・モルガンの法則
13 (6) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 5含意の定義
7 (7) ∃y(鼻ya&長y) A
137 (8) ~∀z(~鼻za→~長z) 78MPP
137 (9) ∃z~(~鼻za→~長z) 8量化子の関係
ア (ア) ~(~鼻ba→~長b) A
ア (イ) ~(鼻ba∨~長b) ア含意の定義
ア (ウ) ~鼻ba& 長b イ、ド・モルガンの法則
ア (エ) ∃z(~鼻za& 長z) ウEI
137 (オ) ∃z(~鼻za& 長z) 9アエEE
13 (カ) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) 7オCP
1 (キ) 象a→[∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)] 3カCP
ク(ク) 象a& ∃y(鼻ya&長y) A
ク(ケ) 象a ク&E
1 ク(コ) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) キケMPP
ク(サ) ∃y(鼻ya&長y) ク&E
1 ク(シ) ∃z(~鼻za& 長z) コサMPP
1 (ス) 象a& ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) クシCP
1 (セ)∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} スUI
(ⅴ)
1 (1) ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} A
1 (2) 象a& ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) 1UE
3 (3) 象a A
4 (4) ∃y(鼻ya&長y) A
34 (5) 象a& ∃y(鼻ya&長y) 34&I
134 (6) ∃z(~鼻za& 長z) 25MPP
7(7) ~鼻ba& 長b A
7(8) ~(鼻ba∨~長b) 7ド・モルガンの法則
7(9) ~(~鼻ba→~長b) 8含意の定義
7(ア) ∃z~(~鼻za→~長z) 7EI
134 (イ) ∃z~(~鼻za→~長z) 67アEE
134 (ウ) ~∀z(~鼻za→~長z) イ量化子の関係
13 (エ) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 4ウCP
13 (オ) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) エ含意の定義
13 (カ) ~[∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)] オ、ド・モルガンの法則
1 (キ) 象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 3カCP
1 (ク)∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} キUI
従って、
(19)により、
(20)
④ ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
⑤ ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、すなはち、
④ すべてのxについて、xが象であるならば[あるyがxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない]といふことはない。
⑤ すべてのxについて、xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、あるzはxの鼻以外であって、長い。
に於いて、
④=⑤ である。
然るに、
(21)
⑤ すべてのxについて、xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、あるzはxの鼻以外であって、長い。
といふことは、
⑤ 象は鼻は長いが、鼻以外(例へば、耳)も長い。
といふことである。
従って、
(17)~(21)により、
(22)
④ 象は(鼻が長い。)といふわけではない。⇔
④ ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}⇔
⑤ ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} ⇔
⑤ すべてのxについて、xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、あるzはxの鼻以外であって、長い。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(01)~(22)により、
(23)
「番号」を付け直すと、
① 象は鼻が長い。
② 鼻は象が長い。
③ 象は(鼻が長い。)といふわけではない。
④ (鼻は象が長い。)といふわけではない。
といふ「日本語」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}
③ ∀x{象x&∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)}
④ ∃x∀y{(鼻xy&象y&~長x)∨(~象y&鼻xy&長x)}
といふ「述語論理式」に、対応する。
然るに、
(24)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}
といふ「論理式」は、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
② すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。
といふ「意味」である。
然るに、
(25)
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
② すべてのxとあるyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、xは長く、yが象ではなく、xがyの鼻ならば、xは長くない。
といふことは、
① 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 鼻は、象は長く、象以外は長くない。
といふことである。
従って、
(23)(24)(25)により、
(26)
③ Aは、BがCである。
といふ「日本語」は、いづれにせよ、
③ Aは、BはCであり、B以外はCではない。
といふ「意味」である。
然るに、
(27)
日本語には、「象は鼻が長い」や「日本は温泉が多い」など、「○○は××が……」のように二重に主語があるように見える文が多くあります。また、主語だけでなく、「この本は、父が買ってくれました」の「この本は」のように「買う」という動詞の目的語が「は」で示されているように見える文もあります。三上章のこの本は、そのような複雑な性質を持つ「…は…が…」の文(後にこの本の題名にちなんで「象鼻文」とよく呼ばれるようになりました)の性質を、助詞「は」の「代行」の性質を使って明確に説明することでわかりやすく解説していくものです。
助詞「は」の代行の性質とは、たとえば、「大根は葉を捨てます」(料理番組)の場合、この「は」は「大根の葉」の「の」の代わり(代行)であるという考え方です。これによって、「象は鼻が長い」も「象の鼻が長いこと」の意味であり、「この本は父が買ってくれた」も「この本を父が買ってくれた」の意味であるという、簡単な説明ができるようになるのです。そして、なぜ代行するのかといいうと、それは、文の《題目》を示すためであるというふうに話が進行し、日本語には主語がなく、《題目》を中核とした言語であるという著者の主張が展開されていきます。日本語の「は」の性格を初めて明確化した著書として、この本は現在の学界でも広く知られています。
現在では三上の主張の、日本語には主語がないという部分については否定的な見解が多くなっていますが、この書で三上が提議した諸問題は、三上の説がそのまま受け入れられている部分が多く、日本語文法研究における「題目」の概念の研究書として第一に上げられるものです。
(象は鼻が長い - 青山学院大学 文学部)
然るに、
(28)
述語論理はもともと数学の理論の記述を目的として生まれたもので, どのような数学的内容も記述できることが経験的に知られている. この高い記述能力は数学以外の知識体系にも応用できる可能性を示している. たとえば,計算機プログラミングの基本的形態の一つである「論理プログラミング」 は基本的には述語論理の考え方を応用したものである.計算機科学では 論理プログラミング以外にもさまざまな場面で述語論理やその拡張・変形が 用いられている.
(京都大学、高崎金久)
然るに、
(29)
「大学の先生(国語学者)」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}
③ ∀x{象x&∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)}
④ ∃x∀y{(鼻xy&象y&~長x)∨(~象y&鼻xy&長x)}
といふ「論理式」が、さうであるところの、「述語論理」には「関心」が無いし、
「大学の先生(数学者・論理学者)」は、
日本語には、「象は鼻が長い」や「日本は温泉が多い」など、「○○は××が……」のように二重に主語があるように見える文が多くあります。
といふ「象鼻文」には、「関心」が無い。