日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1328)「この問題の正解率は64.5%でした。」と「述語論理」。

2024-03-27 13:58:49 | 論理

(01)
問題 次の報告から確実に正しいと言えることには〇を、そうでないないものには✕を、左側の空欄に記入して下さい。
公園に子どもたちが集まっています。
    男の子も女の子もいます。
(α)帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。そして、
(β)スニーカーを履いている男の子は一人もいません。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子どもは一人もいない。
(AI vs. 教科書が読めない子供たち、新井紀子、2018年、182頁)。
正しいのは(1)のみです。
 ― 中略 ―
この問題の正解率は64.5%でした。入試で問われるスキルは何一つ問うていないのに、
国立Sクラスでは85%が正当した一方、私大B、Cクラスでは正当率が5割を切りました。
では、多くの高校生が憧れる私大Sクラスではどうだったか。国立Sクラスに比べて20ポイントも低い66.8%に留まりました。
どこの大学に入学できるかは、学習量でも知識でも運でもない、論理的な読解と推論の力ではないのか、6000枚の答案をみているうちに、私は確信するようになりました。
(AI vs. 教科書が読めない子供たち、新井紀子、2018年、182頁)。
然るに、
(02)
(α)帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。そして、
(β)スニーカーを履いている男の子は一人もいません。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子どもは一人もいない。
という「日本語」は、それぞれ、
(α)すべてのxについて(xが帽子をかぶっていないならば、xは女子である)。
(β)(スニーカーを履いているxであって、そのうえ、男子であるx)は存在しない。
(1)すべてのxについて(xが男子ならば、xは帽子をかぶっている)。
(2)(帽子をかぶっているxであって、そのうえ、女子であるx)は存在しない。
(3)(帽子をかぶっていて、その上、スニーカーを履いているx)は存在しない。
という「意味」である。
然るに、
(03)
(α)すべてのxについて(xが帽子をかぶっていないならば、xは女子である)。
(β)(スニーカーを履いているxであって、そのうえ、男子であるx)は存在しない。
(1)すべてのxについて(xが男子ならば、xは帽子をかぶっている)。
(2)(帽子をかぶっているxであって、そのうえ、女子であるx)は存在しない。
(3)(帽子をかぶっていて、その上、スニーカーを履いているx)は存在しない。
という「日本語」は、
(α) ∀x(~帽子x→女子x)。
(β)~∃x(スニx& 男子x)。
(1) ∀x(男子x→ 帽子x)。
(2)~∃x(帽子x& 女子x)。
(3)~∃x(帽子x& スニx)。
という「述語論理式」に「相当」する。
従って、
(02)(03)により、
(04)
(α)帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。
(β)スニーカーを履いている男の子は一人もいません。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子どもは一人もいない。
という「日本語」は、それぞれ、
(α) ∀x(~帽子x→女子x)。
(β)~∃x(スニx& 男子x)。
(1) ∀x(男子x→ 帽子x)。
(2)~∃x(帽子x& 女子x)。
(3)~∃x(帽子x& スニx)。
という「述語論理式」に「相当」する。
然るに、
(05)
(Γ) ∀x(男子x⇔~女子x)
(〃)∀x{(男子x→~女子x)&(~女子x→男子x)}
(〃)男子ならば、そのときに限って、女子ではない。
という「命題」を、「公理」とする。
然るに、
(06)
「結論」を先に言うと、
(α)帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子どもは一人もいない。
に於いて、
(α)と(1)は「対偶」であり、
(1)と(2)は「 逆 」であり、
(1)と(3)も「 逆 」であり、そのため、
(1)〇
(2)✕
(3)✕
然るに、
(07)
(α)
1 (1)∀x(~帽子x→女子x) A
1 (2)   ~帽子a→女子a  1UE
  (3)∀x(男子x⇔~女子x) 公理
  (4)   男子a⇔~女子a  UE
  (5)   男子a→~女子a  4&E(Df.⇔)
 6(6)   男子a       A
 6(7)       ~女子a  56MPP
16(8)  ~~帽子a      17MPP
16(9)    帽子a      8DN
1 (ア)    男子a→帽子a  69CP
1 (イ) ∀x(男子x→帽子x) アUI
(1)
1 (1)∀x(男子x→ 帽子x) A
1 (2)   男子a→ 帽子a  1UE
  (3)∀x(男子x⇔~女子x) 公理
  (4)   男子a⇔~女子a  UE
  (5)   ~女子a→男子a  4&E(Df.⇔)
6(6)       ~帽子a  A
16(7)   ~男子a      26MTT
16(8)  ~~女子a      57MTT
16(9)    女子a      8DN
1 (ア)   ~帽子a→女子a  69CP
1 (イ)∀x(~帽子x→女子x) アUI
従って、
(04)(07)により、
(08)
(α)∀x(~帽子x→女子x)
(1)∀x(男子x→ 帽子x)
に於いて、すなわち、
(α)帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です(男の子ではない)。
(1)男の子(女の子でない子ども)はみんな帽子をかぶっている。
に於いて、
(α)と(1)は「対偶」であり、それ故、
(α)と(1)は「等しい」。
然るに、
(09)
(2)
1 (1)~∃x(帽子x&女子x) A
1 (2)∀x~(帽子x&女子x) 1量化子の関係
1 (3)  ~(帽子a&女子a) 1UE
1 (4)  ~帽子a∨~女子a  3ド・モルガンの法則
1 (5)   帽子a→~女子a  4含意の定義
  (6)∀x(男子x⇔~女子x) 公理
  (7)   男子a⇔~女子a  6UE
  (8)   ~女子a→男子a  7&E(Df.⇔)
 9(9)   帽子a       A
19(ア)       ~女子a  59MPP
19(イ)        男子a  8アMPP
1 (ウ)   帽子a→ 男子a  9イCP
1 (エ)∀x(帽子x→ 男子x) ウUI
(Ⅱ)
1 (1)∀x(帽子x→ 男子x) A
1 (2)   帽子a→ 男子a  1UE
  (3)∀x(男子x⇔~女子x) 公理
  (4)   男子a⇔~女子a  3UE
  (5)   男子a→~女子a  4&E(Df.⇔)
 6(6)   帽子a       A
16(7)        男子a  26MPP
16(8)       ~女子a  57MPP
1 (9)   帽子a→~女子a  68CP
1 (ア)  ~帽子a∨~女子a  9含意の定義
1 (イ)  ~(帽子a&女子a) ア、ド・モルガンの法則
1 (ウ)∀x~(帽子x&女子x) イUI
1 (エ)~∃x(帽子x&女子x) ウ量化子の関係
従って、
(09)により、
(10)
(2)~∃x(帽子x&女子x)
(Ⅱ) ∀x(帽子x→男子x)
に於いて、
(2)=(Ⅱ) である。
従って、
(11)
(2)~∃x(帽子x&女子x)
(Ⅱ) ∀x(帽子x→男子x)
(1) ∀x(男子x→帽子x)
に於いて、
(2)=(Ⅱ)であって、
(Ⅱ)は(1)の「逆」であるが、「逆は必ずしも、〇(真)ではない」。
従って、
(04)(11)により、
(12)
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
に於いて、 (2)は(1)の「逆」であるが、「逆は必ずしも、〇(真)ではない」。
然るに、
(13)
(β)スニーカーを履いている男の子は一人もいません。
1 (1)~∃x(スニx&男子x) A
1 (2)∀x~(スニx&男子x) 1量化子の関係
1 (3)  ~(スニa&男子a) 1UE
1 (4)  ~スニa∨~男子a  3ド・モルガンの法則
1 (5)   スニa→~男子a  4含意の定義
  (6)∀x(男子x⇔~女子x) 公理
  (7)   男子a⇔~女子a  6UE
  (8)  ~男子a→ 女子a  7&E(Df.⇔)
 9(9)   スニa       A
19(ア)       ~男子a  59MPP
19(イ)        女子a  8アMPP
1 (ウ)   スニa→ 女子a  9イCP
1 (エ)∀x(スニx→ 女子x) ウUI
(B)スニーカーを履いている子は、みんな女子です。
1  (1)∀x(スニx→ 女子x) A
1  (2)   スニa→ 女子a  1UI
     (3)∀x(男子x⇔~女子x) 公理
   (4)   男子a⇔~女子a  3UE
   (5)   男子a→~女子a  4&E(Df.⇔)
 6 (6)        女子a  A
 6 (7)      ~~女子a  6DN
 6 (8)  ~男子a       57MTT
   (9)   女子a→~男子a  68CP
  ア(ア)   スニa       A
1 ア(イ)        女子a  2アMPP
1 ア(ウ)       ~男子a  9イMPP
1  (エ)   スニa→~男子a  アウCP
1  (オ)  ~スニa∨~男子a  エ含意の定義
1  (カ)  ~(スニa&男子a) オ、ド・モルガンの法則
1  (キ)∀x~(スニx&男子x) カUI
1  (ク)~∃x(スニx&男子x) キ、量化子の関係
従って、
(13)により、
(14)
(β)~∃x(スニx&男子x)
(B) ∀x(スニx→女子x)
に於いて、すなわち、
(β)スニーカーを履いている男の子は一人もいません。
(B)スニーカーを履いている子は、みんな女子です。
に於いて、
(β)=(B)である。
然るに、
(15)
(B)スニーカーを履いている子は、みんな女子です。
というのであれば、
(3)帽子をかぶっていて、しかも「スニーカーを履いている子ども」は一人もいない。
ということは、
(3)帽子をかぶっていて、しかも「女の子である子ども」は一人もいない。
ということに、「他ならない」。
然るに、
(16)
一々、「計算」はしないものの、
(3)帽子をかぶっていて、しかも「女の子である子ども」は一人もいない。
ということは、
(Ⅱ)帽子をかぶっている子はみんな男の子です。
(〃)∀x(帽子x→男子x)
ということに、「他ならない」。
従って、
(12)~(16)により、
(17)
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
に於いて、 (2)は(1)の「逆」であるが、「逆は必ずしも、〇(真)ではない」。
というだけでなく、
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(3)帽子をかぶっていて、しかも「スニーカーを履いている子ども」は一人もいない。
(3)は(1)の「逆」であるが、「逆は必ずしも、〇(真)ではない」。
従って、
(04)(05)(06)(17)により、
(18)
もう一度、確認すると、
(α)帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。
(β)スニーカーを履いている男の子は一人もいません。
(Γ)男子ならば、そのときに限って、女子ではない。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子どもは一人もいない。
という「日本語」は、それぞれ、
(α) ∀x(~帽子x→女子x)。
(β)~∃x(スニx& 男子x)。
(Γ) ∀x(男子x⇔~女子x)。
(1) ∀x(男子x→ 帽子x)。
(2)~∃x(帽子x& 女子x)。
(3)~∃x(帽子x& スニx)。
という「述語論理式」に「相当」し、それ故、
(α)帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子どもは一人もいない。
に於いて、
(α)と(1)は「対偶」であり、
(1)と(2)は「 逆 」であり、
(1)と(3)も「 逆 」であり、そのため、
(1)〇
(2)✕
(3)✕
である。
(01)(18)により、
(19)
問題 次の報告から確実に正しいと言えることには〇を、そうでないないものには✕を、左側の空欄に記入して下さい。
公園に子どもたちが集まっています。
    男の子も女の子もいます。
(α)帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。そして、
(β)スニーカーを履いている男の子は一人もいません。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子どもは一人もいない。
(AI vs. 教科書が読めない子供たち、新井紀子、2018年、182頁)。
正しいのは(1)のみです。
といふ「問題」は、「述語論理」によって、「解答」可能である。
然るに、
(20)
(述語)論理式にはこれまで述べたように、厳密な(形式的な)意味論が与えられるから、自然言語文も、翻訳を介して意味論に法っとった解釈が与えられ、したがって、間接的であるが、自然言語に意味論が与えられることになる(長尾真・淵一博、論理と意味、1983年、167頁)。
(21)
さて、統計的な手法が登場する以前、自然言語処理の技術を使う自動翻訳や質疑応答の分野では、研究者たちはAIに文法などの言葉のルールを覚えさせ、論理的、演繹的な手法で精度を上げようとしました。けれど、その手法は何度試みても失敗を繰り返しました(AI vs. 教科書が読めない子供たち、新井紀子、2018年、124頁)。
従って、
(19)(20)(21)により、
(22)
問題 次の報告から確実に正しいと言えることには〇を、そうでないないものには✕を、左側の空欄に記入して下さい。
公園に子どもたちが集まっています。
というような「問題」を、「生成AI」は、「(述語)論理式」を用いて、「解答」することは、出来ない。