(01)
①「肺の陰影」は「炎症性変化」である(財前教授)。
②「肺の陰影」は「癌の転移」である(里見助教授)。
③「肺の陰影」は「癌の転移」である(病理解剖の結果)。
然るに、
(02)
③「病理解剖の結果」は「正しい」。
従って、
(01)(02)により、
(03)
①「肺の陰影」は「炎症性変化」である(財前教授)。
②「肺の陰影」は「癌の転移」である(里見助教授)。
に於いて、
① は『誤診』であって、
② は『誤診』ではない。
然るに、
(04)
④ 唐木教授(鑑定人)曰く、
現実には、佐々木庸平氏は、術後、癌性リンパ管症の急速な進行により死に至りましたが、
臨床症状、レントゲン所見、検査所見等から、肺炎を第一に疑うことは、当然である。
しかし、術後肺炎の治療として、投与された抗生物質が、1月8日、午後4時頃の段階で、
奏効しなくなったわけですから、その時点で診断の見直しをしなかったという点については、
疑問の余地を残すところであります。
然るに、
(05)
⑤ 裁判官曰く、
主文。
一、原告ら請求を棄却する。
二、訴訟費用は、原告ら負担とする。
財前教授が、炎症性変化と診断し、手術を行ったことは、間違いとは言えない。
死因の癌性リンパ管症は、本件の場合、あくまで、死後、解剖を行うことで、
初めて、診断が可能なことであり、その『結果論』で、医師の責任を問うのは、
医師に対し、あまりに、過酷な要求と言える。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
財前教授の「診断」は『誤診』ではあったが、
財前教授が「不注意」であったとは言えないが故に、
財前教授は「無罪」である。
従って、
(06)により、
(07)
①『誤診』自体による「有罪」は無く、
②「不注意」による『誤診』であれば「有罪」である。
然るに、
(08)
1 (1) P→(Q→ R) A
2 (2) Q&~R A
3 (3) Q→ R A
2 (4) Q 2&E
23 (5) R 34MPP
2 (6) ~R 2&E
23 (7) R&~R 56&I
2 (8) ~(Q→ R) 37RAA
12 (9)~P 18MTT
1 (ア)(Q&~R)→~P 29CP
イ(イ) P A
イ(ウ) ~~P イDN
1 イ(エ) ~(Q&~R) アウMTT
1 イ(オ) ~Q∨ R エ、ド・モルガンの法則
1 イ(カ) Q→ R オ含意の定義
1 (キ)P→(Q→ R) イカCP
従って、
(08)により、
(09)
① P→(Q→R)
②(Q&~R)→~P
に於いて、
①=② は、「(逆ではなく)対偶である」。
従って、
(09)により、
(10)
P=術後肺炎である。
Q=抗生物質を投与する。
R=熱が下がる。
であるとして、
① 術後肺炎であるならば(抗生物質を投与すれば、熱が下がる)。
②(抗生物質を投与しても、熱が下がらない)ならば術後肺炎ではない。
に於いて、
①=② は、「(逆ではなく)対偶である」。
従って、
(10)により、
(11)
① 脱水であるならば(点滴をすれば、数値が下がる)。
②(点滴をしても、数値が下がらない)ならば脱水ではない。
に於いて、
①=② も、「(逆ではなく)対偶である」。
然るに、
(12)
従って、
(11)(12)により、
(13)
S医師は、
① 脱水であるため(点滴をすれば、数値は下がる)。⇔
②(点滴をしても、数値が下がらない)ならば脱水ではない。
という風に、「診断」をしている。
然るに、
(14)
従って、
(14)により、
(15)
「クレアチニン」に関しては、「むしろ、上昇している」し、
「尿素窒素(BUN)」は、「下がった」とは言え、「3倍が、2.5倍になっている」に過ぎない。
従って、
(13)(14)(15)により、
(16)
②(点滴をしても、数値が下がらない)ならば脱水ではない。然るに、
②(点滴をしても、数値が下がらない)。従って、
② 脱水ではない。
従って、
(13)(16)により、
(17)
① 脱水であるため(点滴をすれば、数値は下がる)。⇔
②(点滴をしても、数値が下がらない)ならば脱水ではない。
という風に、「診断」をしているが、
② 脱水ではない。
然るに、
(18)
従って、
(04)(10)(11)(17)(18)により、
(19)
財前先生は、「癌性リンパ管症」を、「術後肺炎」であると『誤診』し、
S先生は、「急性腎不全」を、 「脱水」 であると『誤診』している。
然るに、
(20)
従って、
(20)により、
(21)
「患者の持病」は、「痛風(高尿酸血症)」と「慢性腎臓病」と「悪性貧血」の、「3つ」であった。
従って、
(21)により、
(22)
S医師は、「患者」の「クレアチニン・赤血球・尿酸値」に対しては、「特に、注意」を払っていたことになり、そうでなければ、医師として「怠慢」であると、言わざるを得ない。
然るに、
(23)
従って、
(23)により、
(24)
S医師は、「点滴をすると、 血液が希釈され、 赤血球の値が、低下すること」 を知っていた。⇔
S医師は、「点滴をしないと、血液は希釈されず、赤血球の値が、低下しないこと」を知っていた。
然るに、
(25)
従って、
(14)(25)により、
(26)
実を言うと、「2019年01月25日の赤血球の値(2.46)」は、「中央値(メディアン)」であって、それ故、
「2019年01月25日」に於いて、「患者」は、「脱水(血液濃縮)」を、起こしてはいない。
従って、
(19)(22)(26)
(27)
(ⅰ)S先生は、「急性腎不全」を、「脱水」であると『誤診』している。
(ⅱ)S医師は、「患者」の「クレアチニン・赤血球・尿酸値」に対しては、「特に、注意」を払っていたことになり、そうでなければ、医師として「怠慢」である。
(ⅲ)「2019年01月25日」に於いて、「患者」は、「脱水(血液濃縮)」を、起こしてはいない。
従って、
(07)(27)により、
(28)
①『誤診』自体による「有罪」は無く、
②「不注意」による『誤診』であれば「有罪」であるが、
S先生は、『不注意による誤診』であるし、尚且つ、「患者」は、『誤診の4日後』に、「死亡」している。
然るに、
(29)
関口弁護士:
癌治療において、医者と患者が向き合うために、不可欠なものは、何でしょう。
里見先生:
それは、話すということに、尽きると思います。
財前は、選択の可能性があることを、説明せず、オペ以外の選択は無いと、言い切った。
然るに、
(30)
裁判官:
主文。
一、現判決を、次の通リ変更する。・・・・・。
尚、判決の社会的影響を考え、次に、判決理由の要旨を述べます。
被控訴人、財前の治療行為そのものは、十分に、平均的水準を上回るもので、法的に、責められるものではない。
しかし、あらゆる治療行為が、リスクを伴ったものである以上、患者への、真摯の説明と、それに基づく、「同意」が、「必要不可欠」となる。
にも拘わらず、被控訴人財前は、「手術以外の方法」を、「助かりたいなら、手術しか無い」の一言で、退けた事実があり、その「過失」は、否定しがたい。
従って、
(29)(30)により、
(31)
財前五郎は、「インフォームドコンセント」を怠った(患者と、話し合わなかった)が故に、「有罪」となっている。
従って、
(06)(30)(31)により、
(32)
「一審」に於いて、
財前教授の「診断」は『誤診』ではあったが、
財前教授が「不注意」であったとは言えないが故に、
財前教授は「無罪」であるとされたものの、
「二審」に於いて、
財前五郎は、「インフォームドコンセント」を怠った(患者と、話し合わなかった)が故に、「有罪」となっている。
然るに、
(33)
然るに、
(33)により、
(34)
「薬剤の投与」が無くとも、「尿酸値」が「正常」になったにも拘わらず、
というような「危険な薬剤(禁忌)の投与」の「承諾」を、私であろうと、私以外の誰であろうと、するはずがありませんし、「投与の承諾」はしていない、ということに関しては、「電子カルテ」以外の「記録」によって、「完璧に証明」出来ます。
然るに、
(35)
2 刑事責任
医療過誤は場合によっては業務上過失致死傷罪(刑法211条)に該当することがありますが、民事損害賠償責任とは異なり、国家刑罰権の発動ですので、患者が死亡しかつ過誤が初歩的ミスの場合のような重大な不注意で患者が死亡した場合に限って起訴されることが多いのが実情です(学陽書房、医療事故の法律相談〈全訂版〉、2009年、12頁)。
従って、
(28)(32)~(35)により、
(36)
少なくとも、私自身は、S医師(社会医療法人、副院長)が、「刑事事件の被告」として、「有罪」であることを、確信している。
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