オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

楯ヶ崎 その一

2019年11月22日 | 楯ヶ崎


 和歌山県でキャンプした翌日,たまには海沿いを走って家路へと向かうことにした.国道311号線で三重県の熊野市,獅子岩のある辺りから海岸線沿いを北上していく.11月とは思えない暖かさで,そして熊野灘は青一色に晴れ渡っていた.



 途中でオートバイを停めて,国道から二木島湾を見下ろしてみた.この辺りは,複雑に入り組んだリアス式海岸となっている.そして,前方に見えるリアス式海岸の反対側に,楯ヶ崎という柱状節理の発達した岩塊があるそうだ.この岩塊を見るには地形上の都合から,徒歩で岩塊の前に行くか,海から船で岩塊の前に行くか,の2つの選択肢しかない.



 もちろん,楯ヶ崎の前まで歩いて行くことにした.楯ヶ崎までは約2キロメートルの片道40分で,遊歩道が整備されている.しかし,この日は折り畳み式のリュックを持ち合わせておらず,片手にカメラ,ライディングジャケットのポケットにカメラのレンズを忍ばせていくという有様だった.



 国道から楯ヶ崎までは,大まかにいうとV字谷となっている.海岸といっても,常緑広葉樹林が海岸伝いに植生している緑の楽園だ.鬱蒼とした緑の世界をただ一人,まずは海へと向かってひたすら降りていく.遊歩道と言っても大きな石が転がっていたり,木の根が張っていたりする自然に近い道だ.



 事前情報は何も得てなくて,下り坂とは言えとても長く感じるのだった.下り坂でも結構な傾斜があるので,少し汗ばむくらいだ.そして,薄暗い木々の間から見えてきたのは二木島湾の青い海だった.



 二木島湾の目の前まで降り立ってみると,とてもきれいに澄んだ海水が印象的だった.リアス式海岸なので,四方は海岸で囲まれてしまっているが,この美しい景観に楯ヶ崎の事を一瞬,忘れてしまうほどだった.もちろん,ここから先は登り道となることは明らかだ.不安と期待に胸を膨らませて,楯ヶ崎を目指して進んで行くのだった.


コメントを投稿