とあるパーティーに引っ張り出されて、飲み物のオーダーを取りに来たねーちゃんに言い放ってやった言葉である…。
まぁ、引っ張り出された経緯からして不愉快だったので、終始不愉快極まり無い気分で過ごさなければならず、おまけに周囲にわらわらしている連中が鼻持ちならねぇ連中で、そいつらの会話を聞いているだけで噴火しそうだったもので…。
元々は「エアーウルフ」と言うアメリカのTV番組での名セリフであり、こうした場の飲み物の種類でもなんでもない。本来ならカッコよく…
「マティーニをステアで…」
とか、言っておけば丸く収まるのだが、これだって007が良く使うセリフのパクリであって、シェイクじゃない方だろうコト位しか理解はしておらんのである。そもそも飲用アルコールに興味なぞ無いからである。
「は? お客様…その様なお飲み物は存じ上げないのですが…勉強不足で…」
当たり前である。この世のどこを探しても見付からんであろう…。
「ターボだって言ってんだろうがぁぁあっ!!」
と、無理を承知でキレてみたらどうなるのか?
「申し訳けございません。ご用意出来かねますので他の飲み物を…」
うむ。お店は真っ当らしい。そもそもお店にむかついているワケでは無いので、無下に迷惑を掛けるのも気が引ける。致し方なく…
「ブラッディ・メリー。ペッパーは多めにして。」
あっちの方にバーテンダーがいるから、これなら大丈夫だろうが、頼んだ本人は何が出て来るのか良く知らん…。
「おう! おじたん! 久しぶりだな…オマエもブチキレてんのか?」
タキシードが全く似合わない旧知の雑誌編集者が声を掛けて来た…。
「おうよ。セレブも集めるとキチガイだな。見ているだけで虫唾が走るぜ…」
「はっはー! そうだろ? なっ? 企業ヤクザの方がマシだろ?」
飲み物が届けられる…。
「あれ? オマエ、酒なんか飲まねーだろ?」
「ああ。お前飲んでくれ。俺からのおごりだ…」
赤い液体を彼に押し付けると、彼の胸ポケットから葉巻の入ったチューブを抜き取り、喫煙スペースへ向かう。彼も赤い液体をすすりながら付いて来た…。
「貰いモンだろ、どうせ…」
「ああ。あっちのセレブが配ってたんだ。葉巻ってこんなのに入ってんだな…」
巻き方も丁寧な手巻きならば、葉も上等。1時間はのんびり楽しめる上に、キューバ産とくれば、そうそう配れるモノでも無い…。ウェイターの兄ちゃんを呼び止め、ハサミかカッターを頼む。
「おい。ハサミなんかどーすんだよ?」
編集者長年やってる割にはこーしたトコロは疎い…。編集者に限らず、TV関係者なんかも割りと疎すぎるのがいたりして、いつぞやかは俳優の銜えるベント・タイプのパイプのマウスピースが逆向きに付いたままだった…。
「んあ? これ、こっち切らないと吸えないんだよ…」
ウェイターがちゃんとしたシガー・カッターを持って来たのは少々驚いた。やはりちゃんとした店らしい…。吸い口をキレイに丸くカット出来た…。
「Kの代わりにおじたんが来るって聞いたんで、正直ビックリだったぞ。」
「ああ。オレもビックリだ。こんな連中とつるんでたんだな、Kは…」
写真学校を同期で卒業した中じゃあ、一番の出世頭だったハズのK。元々がボンボンだったので、さもありなん…な感じだったが…。
「オマエに見せたかったんじゃねーのかな…。こんな連中を。」
一応、セレブだけあって動かす金は半端じゃない。日本の経済の一部を立派に動かしている連中が目の前にわらわらいる…。
「で、どうなんだ、Kは。」
「ダメらしいぞ…。まだ若いのにな。死ぬ前に顔出しとけよ…」
日々、数億単位で金を動かしている人間でも、病には勝て無いらしい…。
「オマエの社会復帰はどうなんだ? 見た限り大丈夫そうだが…」
「んまぁ、近々と言いたいが、雇ってくれるところがあればの話だよ」
フリーターでさえムズカシイのに、そうそう勤め先が見付かるなんてのはラッキー以外に何モノでも無い。その「ラッキー」さえやって来る足音も聞こえないのが現実。
「器用貧乏だなぁ、相変わらず。何かあったら連絡するから、動ける様にしとけよ」
「ああ。助かるよ。気長に待ってるさ…」
お世辞でシャコウジレイであっても、無職の身にはウレシイ言葉に変わり無い。そんな小さな感謝の周囲は、相変わらず浮世離れしたキチガイの宴だ…。
濃厚な香りに包まれて結構な気分だが、いい加減喉が渇く。ウェイターを探して呼び止める…。
「アバム! 弾持って来いっ!」
まぁ、引っ張り出された経緯からして不愉快だったので、終始不愉快極まり無い気分で過ごさなければならず、おまけに周囲にわらわらしている連中が鼻持ちならねぇ連中で、そいつらの会話を聞いているだけで噴火しそうだったもので…。
元々は「エアーウルフ」と言うアメリカのTV番組での名セリフであり、こうした場の飲み物の種類でもなんでもない。本来ならカッコよく…
「マティーニをステアで…」
とか、言っておけば丸く収まるのだが、これだって007が良く使うセリフのパクリであって、シェイクじゃない方だろうコト位しか理解はしておらんのである。そもそも飲用アルコールに興味なぞ無いからである。
「は? お客様…その様なお飲み物は存じ上げないのですが…勉強不足で…」
当たり前である。この世のどこを探しても見付からんであろう…。
「ターボだって言ってんだろうがぁぁあっ!!」
と、無理を承知でキレてみたらどうなるのか?
「申し訳けございません。ご用意出来かねますので他の飲み物を…」
うむ。お店は真っ当らしい。そもそもお店にむかついているワケでは無いので、無下に迷惑を掛けるのも気が引ける。致し方なく…
「ブラッディ・メリー。ペッパーは多めにして。」
あっちの方にバーテンダーがいるから、これなら大丈夫だろうが、頼んだ本人は何が出て来るのか良く知らん…。
「おう! おじたん! 久しぶりだな…オマエもブチキレてんのか?」
タキシードが全く似合わない旧知の雑誌編集者が声を掛けて来た…。
「おうよ。セレブも集めるとキチガイだな。見ているだけで虫唾が走るぜ…」
「はっはー! そうだろ? なっ? 企業ヤクザの方がマシだろ?」
飲み物が届けられる…。
「あれ? オマエ、酒なんか飲まねーだろ?」
「ああ。お前飲んでくれ。俺からのおごりだ…」
赤い液体を彼に押し付けると、彼の胸ポケットから葉巻の入ったチューブを抜き取り、喫煙スペースへ向かう。彼も赤い液体をすすりながら付いて来た…。
「貰いモンだろ、どうせ…」
「ああ。あっちのセレブが配ってたんだ。葉巻ってこんなのに入ってんだな…」
巻き方も丁寧な手巻きならば、葉も上等。1時間はのんびり楽しめる上に、キューバ産とくれば、そうそう配れるモノでも無い…。ウェイターの兄ちゃんを呼び止め、ハサミかカッターを頼む。
「おい。ハサミなんかどーすんだよ?」
編集者長年やってる割にはこーしたトコロは疎い…。編集者に限らず、TV関係者なんかも割りと疎すぎるのがいたりして、いつぞやかは俳優の銜えるベント・タイプのパイプのマウスピースが逆向きに付いたままだった…。
「んあ? これ、こっち切らないと吸えないんだよ…」
ウェイターがちゃんとしたシガー・カッターを持って来たのは少々驚いた。やはりちゃんとした店らしい…。吸い口をキレイに丸くカット出来た…。
「Kの代わりにおじたんが来るって聞いたんで、正直ビックリだったぞ。」
「ああ。オレもビックリだ。こんな連中とつるんでたんだな、Kは…」
写真学校を同期で卒業した中じゃあ、一番の出世頭だったハズのK。元々がボンボンだったので、さもありなん…な感じだったが…。
「オマエに見せたかったんじゃねーのかな…。こんな連中を。」
一応、セレブだけあって動かす金は半端じゃない。日本の経済の一部を立派に動かしている連中が目の前にわらわらいる…。
「で、どうなんだ、Kは。」
「ダメらしいぞ…。まだ若いのにな。死ぬ前に顔出しとけよ…」
日々、数億単位で金を動かしている人間でも、病には勝て無いらしい…。
「オマエの社会復帰はどうなんだ? 見た限り大丈夫そうだが…」
「んまぁ、近々と言いたいが、雇ってくれるところがあればの話だよ」
フリーターでさえムズカシイのに、そうそう勤め先が見付かるなんてのはラッキー以外に何モノでも無い。その「ラッキー」さえやって来る足音も聞こえないのが現実。
「器用貧乏だなぁ、相変わらず。何かあったら連絡するから、動ける様にしとけよ」
「ああ。助かるよ。気長に待ってるさ…」
お世辞でシャコウジレイであっても、無職の身にはウレシイ言葉に変わり無い。そんな小さな感謝の周囲は、相変わらず浮世離れしたキチガイの宴だ…。
濃厚な香りに包まれて結構な気分だが、いい加減喉が渇く。ウェイターを探して呼び止める…。
「アバム! 弾持って来いっ!」