夢心地の最中、玄関のチャイムがけたたましくなったので、新聞の勧誘かと思って出てみると、ガチャピンだった…。
ちょっとくすんだり、汚れたりはしているが、緑色の例のヤツ…である。ポンキッキで育ったと言うよりは「おはようこどもショー」で育ったクチなので、ガチャピンと言うよりは「ケロヨン」の方が潜在的に親しみを感じる方なのだが、まぁ国民的キャラなのでウレシイ…。
「何か御用でしょうか? ウチには子供はいませんけれど…」
そう尋ねると、ガチャピンは微動だにせず、どこからともなくアノ声で語りかける…。
「遊びに来ましたよ…。」
おお。これがテレパシーなのだな…。試しに「これはこれは…」と念じてみたが、ガチャピンが微動だにしなかったので、こっちは普通に話さないといけないらしい…。
「だいぶ狭くなっちゃいますけど、おあがりください…。」
そう、改めて言うと、ガチャピンが玄関一杯になりながら、和室に転がり込んできた。靴とか履いて無いので、結構汚れてしまうが、まぁ仕方ない…。
「今、お茶出しますので、一応…座布団ですけど、座れますか…?」
「あ。おかまいなく。じゃあ、失礼して…」
圧倒的に座布団が小さく、ガチャピンに覆い隠されてしまったが、気に入ってもらえたのでまぁいいか…。
「何しに来たのかなぁ…」
かなり謎なのだが、お茶にしようかコーヒーにしようか悩んだ。すると、背中からアノ声が…
「ボクはコーヒーが好きです。お砂糖は多めに。」
確か、恐竜の子供だったと思ったが、やはり甘い方が好きなのか。お。そう言えばムックはどうしたんだろう?
「ムックは健康診断です。目が引っ込まなくなっちゃったのでテレビの人が心配してるんです。」
なんだ。話さなくても判るじゃないか。そうか。目な…。アゴも外れそうな勢いだしな…。
一応、気を使ってラテ用のタンブラーでコーヒーを出してあげた。
「最近、あまりお見掛けしませんが、不都合でもあったのでしょうか?」
考えに考え抜かれて世に生まれたのが「ポンキッキ」で、子供番組とあなどってはイケナイのは知っている。週1くらいで地上波でやってるらしいが、ひところの勢いは残念ながら見られない。まぁ、他でやってんだろうと思うんだが…。
「ブログとかさぁ、忙しいんだよね、これでも。」
ふーん。ITしてるんだな、ガチャピンも…。面と向かって座ると、あちこちデカイな、これ…。
「かなり昔から気になっているので、質問させて頂きたいのですが、いつも限りなく眠そうな目をしてらっしゃいますけど、何かの病気ですか?」
一瞬「キッ!」っとした目になったのでヤバイと思ってひるんだが、すぐに元の眠そうな目に戻った…。
「あんまり種類がないんだよ。アニメじゃないからね。」
ふむ。確かに…。
「腕とか、きのこみたいなのがたくさん付いてるんですが、あ、取れかかってますが…」
また目が「キッ!」となってしまった…。
「イボじゃないよ。本当だよ。イボじゃ無いんだからね…イボじゃ…」
聞いちゃいけなかったみたいだ…。でも、なぜウチなんだろう? 子供のいる家なら近所に幾らでもあるぞ…。
「子供カンケーないから。気にしないで。今日はプライベートだからね。今日は。」
んー。プライベートと言われても…。そうだ、ガチャピンと言えば…!
「いろいろ得意なんですよね。見ましたよ。スキーとかモトクロスとか宇宙とか。」
緑色の塊が大きく動いたので「ああっ!」っと大声を上げてしまったが、単にうなずいただけだった…。
「でしょ? 茶色いのとか(ムックのことらしい…)他の緑色のヤツとか(ケロロ軍曹あたりを指しているらしい…)肉まんみたいなネコ(キティちゃんか?)とかとは違うのよ。まぁ、気合が違うしね…。」
でも、ロッククライミングみたいなのはどう見ても「へばりつく緑色の虫…」だった気もするんだが…。うわぁ! 片目だけ「キッ!」ってなった!
「あれはねぇ…大変だったんだよ。4人くらい死んでんだから。」
「ええっ!」
まさかとは思っていたが、とんでもないコトを聞いてしまった…。4人…くらい…。
「ウソだよ。ぢょーだん。でも苦しかったな、あのチャレンジは。」
目が「キッ!」っとなったままで、眠そうな目に戻っていないので、怪しい…。
「ふぅ…。ごちそうさま。ボクもう帰るよ。今日はどうもありがとう。」
2~3度、大きくゴソゴソ…と動いたが、おじぎなのか、立ち上がろうとしているのか判らない…。
「ああっ! もう帰っちゃうんですか? もう少しゆっくりされても…」
一応、引き止めないとマズイかと思って言ってみたんだが、居座られてもなぁ…。
「いやいや。すっかり…。そうそう。あの緑色の。始末しといてよ…」
そう言うと、どこ指してんだか判らないぶっとい指らしいものを、私のケータイ電話に向けた…。
「あっ、すみません…必ず…」
私を見据える目は両目とも「キッ!」ってなったままだ…。手を貸そうにも、玄関はガチャピンでいっぱいになっちゃってるので、出てもらうまで緑色の大きな背中を眺める他に無い…。
しばらくゴニョゴニョ…した挙句、ガチャピンは外に出られた。
「じゃあ。またね~♪」
目は眠そうな目に戻っている。そう言えば、ガチャピンはどうやって来たんだろう?
帰る後姿を見送るふりして眺めていると、どうやら、ずっと歩いて来たみたいで、てくてくと…。
「もういいかな…」
その姿がかなり小さくなったのでそう思ったのだが、その刹那、ガチャピンがこちらを素早く振り返って…
「始末しといてよぉ…緑色のぉ…」
ギクッ! っとして、目が覚めた。夢だと判っていても、飛び起きて玄関を出て、外を見回す…。ガチャピンはやはりいなかった…。冷たい雨がしきりに降っている…。ケータイにぶら下がっているケロロ軍曹も無事だ…。
ガチャピンは敵意を抱いている「ケロロ軍曹」のネガティブキャンペーンにプライベートな時間を割いているらしい…。地道な活動だ…。
ちょっとくすんだり、汚れたりはしているが、緑色の例のヤツ…である。ポンキッキで育ったと言うよりは「おはようこどもショー」で育ったクチなので、ガチャピンと言うよりは「ケロヨン」の方が潜在的に親しみを感じる方なのだが、まぁ国民的キャラなのでウレシイ…。
「何か御用でしょうか? ウチには子供はいませんけれど…」
そう尋ねると、ガチャピンは微動だにせず、どこからともなくアノ声で語りかける…。
「遊びに来ましたよ…。」
おお。これがテレパシーなのだな…。試しに「これはこれは…」と念じてみたが、ガチャピンが微動だにしなかったので、こっちは普通に話さないといけないらしい…。
「だいぶ狭くなっちゃいますけど、おあがりください…。」
そう、改めて言うと、ガチャピンが玄関一杯になりながら、和室に転がり込んできた。靴とか履いて無いので、結構汚れてしまうが、まぁ仕方ない…。
「今、お茶出しますので、一応…座布団ですけど、座れますか…?」
「あ。おかまいなく。じゃあ、失礼して…」
圧倒的に座布団が小さく、ガチャピンに覆い隠されてしまったが、気に入ってもらえたのでまぁいいか…。
「何しに来たのかなぁ…」
かなり謎なのだが、お茶にしようかコーヒーにしようか悩んだ。すると、背中からアノ声が…
「ボクはコーヒーが好きです。お砂糖は多めに。」
確か、恐竜の子供だったと思ったが、やはり甘い方が好きなのか。お。そう言えばムックはどうしたんだろう?
「ムックは健康診断です。目が引っ込まなくなっちゃったのでテレビの人が心配してるんです。」
なんだ。話さなくても判るじゃないか。そうか。目な…。アゴも外れそうな勢いだしな…。
一応、気を使ってラテ用のタンブラーでコーヒーを出してあげた。
「最近、あまりお見掛けしませんが、不都合でもあったのでしょうか?」
考えに考え抜かれて世に生まれたのが「ポンキッキ」で、子供番組とあなどってはイケナイのは知っている。週1くらいで地上波でやってるらしいが、ひところの勢いは残念ながら見られない。まぁ、他でやってんだろうと思うんだが…。
「ブログとかさぁ、忙しいんだよね、これでも。」
ふーん。ITしてるんだな、ガチャピンも…。面と向かって座ると、あちこちデカイな、これ…。
「かなり昔から気になっているので、質問させて頂きたいのですが、いつも限りなく眠そうな目をしてらっしゃいますけど、何かの病気ですか?」
一瞬「キッ!」っとした目になったのでヤバイと思ってひるんだが、すぐに元の眠そうな目に戻った…。
「あんまり種類がないんだよ。アニメじゃないからね。」
ふむ。確かに…。
「腕とか、きのこみたいなのがたくさん付いてるんですが、あ、取れかかってますが…」
また目が「キッ!」となってしまった…。
「イボじゃないよ。本当だよ。イボじゃ無いんだからね…イボじゃ…」
聞いちゃいけなかったみたいだ…。でも、なぜウチなんだろう? 子供のいる家なら近所に幾らでもあるぞ…。
「子供カンケーないから。気にしないで。今日はプライベートだからね。今日は。」
んー。プライベートと言われても…。そうだ、ガチャピンと言えば…!
「いろいろ得意なんですよね。見ましたよ。スキーとかモトクロスとか宇宙とか。」
緑色の塊が大きく動いたので「ああっ!」っと大声を上げてしまったが、単にうなずいただけだった…。
「でしょ? 茶色いのとか(ムックのことらしい…)他の緑色のヤツとか(ケロロ軍曹あたりを指しているらしい…)肉まんみたいなネコ(キティちゃんか?)とかとは違うのよ。まぁ、気合が違うしね…。」
でも、ロッククライミングみたいなのはどう見ても「へばりつく緑色の虫…」だった気もするんだが…。うわぁ! 片目だけ「キッ!」ってなった!
「あれはねぇ…大変だったんだよ。4人くらい死んでんだから。」
「ええっ!」
まさかとは思っていたが、とんでもないコトを聞いてしまった…。4人…くらい…。
「ウソだよ。ぢょーだん。でも苦しかったな、あのチャレンジは。」
目が「キッ!」っとなったままで、眠そうな目に戻っていないので、怪しい…。
「ふぅ…。ごちそうさま。ボクもう帰るよ。今日はどうもありがとう。」
2~3度、大きくゴソゴソ…と動いたが、おじぎなのか、立ち上がろうとしているのか判らない…。
「ああっ! もう帰っちゃうんですか? もう少しゆっくりされても…」
一応、引き止めないとマズイかと思って言ってみたんだが、居座られてもなぁ…。
「いやいや。すっかり…。そうそう。あの緑色の。始末しといてよ…」
そう言うと、どこ指してんだか判らないぶっとい指らしいものを、私のケータイ電話に向けた…。
「あっ、すみません…必ず…」
私を見据える目は両目とも「キッ!」ってなったままだ…。手を貸そうにも、玄関はガチャピンでいっぱいになっちゃってるので、出てもらうまで緑色の大きな背中を眺める他に無い…。
しばらくゴニョゴニョ…した挙句、ガチャピンは外に出られた。
「じゃあ。またね~♪」
目は眠そうな目に戻っている。そう言えば、ガチャピンはどうやって来たんだろう?
帰る後姿を見送るふりして眺めていると、どうやら、ずっと歩いて来たみたいで、てくてくと…。
「もういいかな…」
その姿がかなり小さくなったのでそう思ったのだが、その刹那、ガチャピンがこちらを素早く振り返って…
「始末しといてよぉ…緑色のぉ…」
ギクッ! っとして、目が覚めた。夢だと判っていても、飛び起きて玄関を出て、外を見回す…。ガチャピンはやはりいなかった…。冷たい雨がしきりに降っている…。ケータイにぶら下がっているケロロ軍曹も無事だ…。
ガチャピンは敵意を抱いている「ケロロ軍曹」のネガティブキャンペーンにプライベートな時間を割いているらしい…。地道な活動だ…。