意を決して、峠に向かって一人で出発 11:05。
ちらっと振り返ると、ベンチで心配そうに見守る同行者。
でももう、私には同行者はいない。一人っきり
平坦な道を行くと、11:14には勝緑荘着
ご婦人二人組が、ポイント記録をメモされていた。
ここからは道幅狭く、いよいよ山道
清流を左手にして登り始めると、瓦礫の道にちょっと驚く。
両サイド笹が生い茂ったり、苔がびっしりのポイントあり、
誰かと歩く以上に周囲に目が行くのは何故かしらん
歩くこと20分
前方に下りの二人組が突然足を止めて、左手奥をじっくりと見やるのを発見。
思わず立ち止まると、笹がカサカサと音を立てて、何か生き物のいる気配
二人組の目線の先だったら、そんな音はしないはずなのに、
足をうっかり止めたばっかりに、熊かと急に不安になる
とりあえず目線を追うと、なんと鹿が2頭 生鹿なのです
すご~い ボケボケながら写真を撮りまくり、気分は最高潮
でも、やっぱりすぐそこにも何かの気配がして…
前方の二人組は下りてこず、仕方ない、
えいっと一人そろそろと2,3歩歩いて音の方を見てみる。
わ~っ、小鹿がすぐそこに
ということは、2頭は親鹿だったのか
小鹿ちゃん、どんどん近寄ってくる
後方から歩いて来るソロ登山の男性に思わず声をかける。
小鹿がいるんです 小鹿がいるんです
1頭と二人で正三角形を作り、写真撮影
耳を立ててこちらを見る、どんぐりまなこが可愛い。
ちょっと痩せ気味が気になる。
あまり気にすると、木の皮を食べてしまう存在としての鹿も気になってくるので
深く考えないようにする。
ちょっと歩いたら、こんなかわいい動物にも会えたのに…
ご一緒できなかった同行者のことをちょっぴり思い出してみる
介山荘の裏手が急に見え、大回りするように山道を行く
山荘の脇から辿り着いたのは、まずトイレ
二人の女性が並んでいた。
終えた女性が出てきた時に、右ね。と合図。
次の女性も、出てきた時に右ね。と話しかける。
どうやら立て続けの3人はお仲間らしく、いざ私の時は右ね。の合図はなかった。
いよいよ私、扉を開けるとなんと2つトイレが。
登り始めのスマホ水没事件もあり、左のトイレは使えないため、
右ね。の合図が交わされていたと瞬時に解釈してしまった私
公衆トイレ、普段なら絶対ノックするのに、
つい右をノックもせず開けてしまったの。
目に飛び込んできたのは、パンツを上げようとする女性の後姿
ごめんなさいと何とも言えない声を出し、左のトイレに駆け込む。
トイレの前に置いてきてしまった、派手なオレンジ色のザックで、
トイレを出た後も、相手には私が覗き犯だってばれてしまうだろう…。
迷いながらもトイレを出発。
そして、お店を通り抜け、大菩薩峠標高1897mの看板前に11:51着
生憎曇っていて、遠く富士山を見ることなどはできなかったけれど、
遮るものがない広々とした空間は気持ちいい
先のアクシデントの罪悪感も少々薄れる
大菩薩湖に山の稜線、360°広がる景色は、
一人でここまで登ってきたという思いも重なってとっても清々しかった。
ただ、誰かにお願いするのも憚れて記念写真が撮れず、
腕を延ばす自撮りが下手過ぎて、それだけが空しかった