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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

6/23東京電力ホールディングス第93回定時株主総会(上)

2017年07月08日 | フクシマ原発震災
  たんぽぽ舎です。【TMM:No3113】2017年6月28日(水)地震と原発事故情報
 ▼ 見通せない「再建計画」にメディアも「実現可能か?」と
   議論は低調なものの、発言者のほとんどは原発撤退を主張

山崎久隆(たんぽぽ舎)

 6月23日、株主総会一斉実施日の26日~28日を避けて東京電力ホールディングス(以下東電)定時株主総会が代々木第一体育館で実施された。
 ◎ 来場者へのアピール
 総会当日、「脱原発・東電株主運動」は開会前に9時頃から原宿門内で「今総会の見どころは?」チラシの配布と、プラカードによるアピール行動を行った。
 昨年は「しきしま会」などの右翼団体が多数押しかけたが、今年は応援の人々と共に、プラカードでアピールを行い、右翼団体を圧倒した。多くの横断幕や手持ちのプラカードに、来場者への声かけアピールで「脱原発・東電株主運動」の提案への理解を訴えた。
 一方、右翼団体側は昨年に比べて数が大幅に減った。

 ◎ 総会は静かに進行
 脱原発・東電株主運動の提出した12議案と、原発再稼働推進派の2議案(うち1議案は人事案件)と東電側の人事案件1件が今回の主要議題だった。
 最初に、全体の印象としては例年以上に「静か」だった。
 原発推進派とは具体的には「しきしま会」という右翼団体が主導するグループ。
 この団体とその支援者が、昨年までは原発に反対の議案や意見に対して繰り返し聞くに堪えない野次を飛ばしていたのだが、今回は驚くほど静かだった
 参加人数は東電によれば1206名、昨年よりも100名あまり減ったという。時間は3時間6分。これもやや減っている。
 ただし発言者は12名だったが私も含め「脱原発東電株主運動」及び反原発株主以外も原発への批判発言があり、2名以外は原発への批判発言(原発に触れない発言も1名だけ)という結果だった。昨年はこれが逆だったので、前回に比べ総会の印象はかなり変わった。
 ◎ 原発はミサイルに耐えられるか-耐えられない。
   外交で良好な関係を保つことが第一だ。(姉川常務)

 事前質問の数も減っているが、20分で一括回答した内容も、かなり薄く感じられた。「細かいこと」として切られた質問も多くあった。
 議案提案の後の会場内の議論においても、まともに答えなかったケースは例年のごとく多数あったが、いくつか得るところのある回答もあった。
 その中の一つは、立地本部長の姉川尚史常務執行役の発言だ。
 株主から「柏崎刈羽原発は北朝鮮に最も近い原発だが、ミサイルに対しては、どのように備えているのか。」と問われた。回答は、木で鼻をくくるように「防衛外交は国の専管事項」と言うだけかと思ったが、姉川氏は踏み込んだ。
 「…もともと原発の安全対策は規制基準適合性審査において、外部からの飛来物対策は実施はしている。しかし常識的に考える範囲において、北朝鮮が核弾頭ミサイルを飛ばすとなれば容易に対応は出来ないというのは、お考えの通り。これについては国が先頭に立って解決すること、国と国が戦争をしないように、外交で良好な関係を保つことが第一、エネルギーを供給する立場の会社として技術を活用し、お互いの国で貧困がないように務めること…」、と回答している。
 当たり前のことだが「軍事的解決」を真っ向から否定したことは評価すべきだろう。いわば「原発を並べて戦争は出来ない」と答えたのだ。
 ◎ 「新々・総特」の実現可能性-22兆円はムリ。
   柏崎刈羽原発4~7基の再稼働はむつかしい

 新々・総合特別事業計画、「新々・総特」と呼ばれる東電再建計画について、複数の株主からその実現可能性について問われた。おそらくこのやりとりが最も象徴的に東電の実態を表したものだったろう。
 「新々総合特別事業計画は、実現可能性がほとんどないという報道もある。最大の問題は収益改善の前提として柏崎刈羽原発を2021年から4~7基の再稼働が計画されていることだ。現在再稼働の申請は2基だけで、免震重要棟の設計ミスで緊急時対策所は5号機に置くとしている。
 1から4号機の地盤は地震で液状化し防潮堤が破壊される懸念もある。これでは、逆立ちしても7基稼働などあり得ない。なぜ4~7基を仮置きして計算したのか。」これは私が問うたものだ。
 回答は文挟常務にと降っておきながら、数土文夫議長は突如強い口調で反論し始める。
 「新々総特について申し上げるが、どなたも感じている通り22兆円という数字は驚天動地、未曾有の数字だこれはできない。だけど、できないけれども東電は地元の人に対して最後まで責任を貫徹しないとだめだ。われわれがこれから経営する誰もが自分を捨てて挑戦するしかない。もともとそういう数字なのにあそこがだめじゃないかというのは、そこは百も承知して挑戦していかなければならいないというのが東電に課せられた仕事だ。それを考えてほしい。」
 ◎ この回答を聞いて感じたのは第二次大戦末期の日本軍部と政府の行動だったのだが、その直後に立った株主はこの答弁に対し「旧日本軍のようだ。地に足のついた発言なのか」と発言した。
 また、別の株主からは「なぜ東電は、少なくとも原発から撤退するから、今後の再建にご協力をお願いするという態度になれないのか。原発の管理は机上ではできるが、実際にはそうはいかない。なぜ原発撤退を表明できないのか。もう一つは電源と環境問題を両方解決するには再生可能エネルギーしかない。東電としてどう普及に取り組んでいくのか」と問う発言も出た。
 このやりとりは、いくつかの報道でも引用されていた。それだけ本総会を象徴する議論だった。
 《(下)に続く》

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