パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

ミャンマーのジャーナリストは元大阪の民間人校長

2021年04月30日 | 平和憲法
  《尾形修一の紫陽花(あじさい)通信から》
 ◆ ミャンマー情勢と日本人拘束問題

(ミャンマーで拘束された北角氏)

 新型コロナウイルスによる3回目の緊急事態宣言発出が決定された。マスコミもコロナ報道一色になっている。それはやむを得ないだろうが、世界を股に掛けた報道がなかなか難しくなっている状況の中、国際情勢の報道が少なくなっていると思う。香港やミャンマー、ロシア、ベラルーシなどの情勢はもっと大きく報道されるべきだ。
 特に2月1日に軍部がクーデターを起こしたミャンマー(ビルマ)の情勢が深刻だ。当初は市民の抵抗運動が報道されたが、そのうち軍が全面に出て弾圧を繰り返すようになった。少数民族に対する空爆も行われている。デモ弾圧による死者は11日段階で700人を超えると言われる。現代に起こったとは思えない惨劇が繰り広げられている。
 さらに4月18日には日本人の拘束が明らかにされた。

 北角裕樹(きたずみ・ひろき)という45歳のフリージャーナリストである。逮捕され刑務所に送られ訴追されている。「フェイクニュースを広めた」という容疑だという。
 現在のところ、日本大使館員が電話で面談して無事を確認したということだが、直接的な面会は認められていない。日本大使館は解放を求めているが、僕はマスコミの対応が不十分のように思う。
 もっとも北角氏を調べてみると、なかなか興味深い経歴の持ち主だった。
 元日経記者と報道されているが、その前は伊藤忠商事に務めていた。25歳で日本経済新聞に転じ12年間務めたが、2012年に当時大阪市長だった橋下徹氏が進める「民間人校長」募集に応じ採用された。その結果37歳という若さで、大阪市立巽中学校の校長となった。
 この時に採用された「民間人校長」多くの不祥事を起こしたことで知られている。
 北角氏も例外ではなく、いろいろの問題が報道され解任を求めるネット署名まで起こった。
 2014年7月に「信用失墜行為」を理由に減給3ヶ月の処分を行い、7月末日付で退職している。その時点で38歳だった。
 「維新」の呼びかけに応じて30代で校長になろうとした時点で、かなりの問題を感じる。そのような過去があって、マスコミの反応も今ひとつなのかもしれない。
 しかし、過去の北角氏に何があろうが、暴力を行使したわけではない人物が拘束されていいはずが無い。特に「友好国」のはずの日本人である。
 国外追放だって出来るのに、大使館員にさえ面会を認めていない。
 日本はミャンマー国軍との間に、何でも独自のルートがあって、今までも裏でクーデターの穏健な解決を図っていたとか言われている。しかし、この間の経過を見ると、日本政府の影響力は無きに等しく、それどころか日本人拘束で応えられた。
 ASEANの首脳会議があるが、ASEAN内部も割れている。
 インドネシア、マレーシア、フィリピンなどはミャンマーに批判的だが、インドシナ半島のタイ、ヴェトナム、カンボジアなどは「内政不干渉」を主張している。
 タイもクーデター政権だし、ヴェトナム、ラオスは一党独裁、カンボジアも事実上の独裁に近い。
 ミャンマーを擁護する中国の影響力も強い。しかし、長期的に見て、市民弾圧に手を貸す中国への反発が強まって影響力をいずれ失うことも考えられる。
 ミャンマーでは少数民族も加わった「ミャンマー連邦議会代表委員会」も発足している。事実上の「臨時政権」を目指している。このままでは「内戦」さえ考えられる。
 まさかシリアにはならないだろうが、シリアだってこれほど長期に内戦が続くとは誰も思っていなかった。ミャンマーに常駐していた日本のマスコミはいないと思う。それもあってか、情報が乏しくなっている。ミャンマー国内から市民がインターネットで発信する情報が多くなっている。
 24日に始まるASEAN首脳会議に向けて、日本からも声を挙げていくべき時だ。僕はミャンマーでこれほどあからさまな民主化への逆行が起きるとは思ってなかった。古典的な軍事独裁が珍しくなって、これがいかにおかしなことかという感性が鈍っていないか心配である。
『尾形修一の紫陽花(あじさい)通信』(2021年04月23日)
https://blog.goo.ne.jp/kurukuru2180/e/1264c741e93904c0388fc39e9ac24770
コメント    この記事についてブログを書く
« ため池周辺の森林の除染を行... | トップ | 【ご案内】デモ・リサの新作... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

平和憲法」カテゴリの最新記事