☆ 日本航空は負の歴史を繰り返してはならない
1985年8月12日JAL123便が群馬県御巣鷹の尾根に墜落し、乗客乗員520名の尊い命が奪われた事故から39年が経過した。改めて亡くなられた方々に哀悼の意を捧げます。
単独機として世界最悪の事故を起こした日本航空は、経営陣が刷新され、「絶対安全の確立」「現場第一主義」「公正明朗な人事」「労使関係の安定融和」の4方針が掲げられた。「機長の組合活動の自由」が認められ、「組合所属による客室乗務員の昇格差別の見直し」が行われたのは、労働組合が長年要求してきた“差別のない自由にモノが言える職場”の重要性が認識されたからであった。
2005年に「事業改善命令」を受けた日本航空は、安全アドバイザリーグループ(座長:柳田邦男氏)を立ち上げ、経営破綻直前の2009年に2回目の提言書「守れ、安全の砦!」が提出された。
その内容は、「コスト削減より安全の層を厚くすること。ベテラン社員の技術・ノウハウは無形の財産であり、次世代に継承していく日常的な生身の接触が重要である」など、今日そして未来に生かすべき空の安全にとって普遍的なものである。
☆ <利益第一主義では安全は守れない>
しかし、2010年の経営破綻後、日本航空の最高経営責任者となった故・稲盛和夫氏は「安全、安全と御巣鷹事故がトラウマになっている。利益なくして安全なし」と公言し、公共交通機関の使命とは相容れない「最少の費用で最大の利益を求める」経営理念を導入した。
結果、安全を守る基盤である職場環境の悪化は進み、整備の現場や客室乗務員の職場では中途退職者が後を断たず、人手不足は逼迫した状況になっている。
JALは昨年末から続いている不安全事例(滑走路への誤侵入、飲酒問題、機体接触など)で国交省から「厳重注意」を受けた。これに対し、日本航空が報告した安全対策は、上意下達の管理強化と精神論であり、真の再発防止策とは言えない内容となっている。
特に、1月2日に5名の犠牲者を出した海保機との衝突事故について、「何故、回避できなかったのか?」について社内での調査・分析は全く行われず、それどころか、日本航空は事故後の対応で被害者の如く振舞っている。
私たちは30年以上の乗務経験があり多くの事故を社内で経験して来た。不安全事例が相次いでいる現状が、1970~80年代の連続事故当時の状況と酷似していることから、重大な危惧を抱いている。
経営破綻を口実に“モノ言うベテラン乗務員”を中心に165名を解雇したことで、経験を尊重する風土がなくなり、連続事故の教訓が活かされていない今日の状況は、“いつか来た道”を辿ることになるのではないかと憂慮する。
日本航空は負の歴史を繰り返してはならない。私たちは、日本航空が直ちに解雇争議を解決して、自由にモノの言える健全で明るい職場を取り戻し、安全運航を支える基盤を再構築することを強く求める。私たちは本日決意を新たに、解雇争議の早期全面解決に向け運動を更に強化していく。
2024年8月12日
JAL不当解雇撤回争議団・JAL被解雇者労働組合(JHU)
https://jhu-wing.main.jp/file_pdf24/812statement.pdf
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