◆ 強化された服務事故再発防止研修の実態
今年も、国歌斉唱時の不起立を理由に卒業式では6名、入学式では3名の教員が処分されました。
2012年の1・16最高裁判決があるため、2度目の私も戒告にとどまりました。それ自体は8年聞に亘る裁判の“成果”ですが、都教委は返す刀で再発防止研修を強化してきました。
2011年までは夏休みに行っていたのを、昨春からは卒業式に関しては春休みに、入学式の人には5月に研修を開始。
また不起立1回目は半日のセンター研修のみ、2回目からは「受講前報告書」と個別研修が加わったが内心に迫ることはなかったのが、何回目でも所属校研修Ⅰ(受講前報告書)、センター研修Ⅰ(半日で全体研修と個別研修)、所属校研修Ⅱ(月1回のセンター訪問)、センター研修Ⅱ(個別研修)の4段階とされました。
内容はさらに問題です。「受講前報告書」では、「賑務事故を起こしたときの気持ち」などを1300字以上書かされます。
センター研修Ⅰの講義には「適正な教育教程の実施(学習指導要領の法的拘束性)」が加わり、「振り返りシート」を記入させ、個別研修でそのコピーを朗読させられて“正解”を確認されます。
腹立たしいのは、最高裁判決を職務命令は合憲だという内容に矮小化し、「最高裁判決や地公法等を踏まえると……職務命令に対してどのようにすべきか」などいう問いです。
また、「法令等や上司の職務上の命令に従うことは、公務員の責務」であることを踏まえ、「あなたは今後、教育公務員としてどのように職務を遂行していこうと思うか」などという設問。私の思いにまで“正解”があったのです。
センター訪問になると4人もの人間がやって来て、「上司の職務命令に従う責務があることを知っていますか」とたたみかけられました。
「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、…内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば…違憲違法の問題を生ずる」という再発防止研修差止め訴訟の決定で応じましたが、「先生の思想良心の自由を侵すものではありません」と続行されました。
センター研修Ⅱでは、「受講報告書」の最後に下記の5項目にレ点をつけて研修を振り返れといいます。
他の該当者と情報交換をしながら対応しましたが、同様の展開。中には、精神的苦痛の訴えに「苦痛なら先生の考えを変えなければならない」と言われた人もいます。明らかな憲法19条違反の研修と言わねばなりません。
4月17日、東京新聞がこの問題を改憲の動きに絡めて「良心の攻防前哨戦」と題して大きく報道してくれました。私は何度も実名でマスコミに出ていますが、「取材報告」を求められたと初めて校長に呼び出されました。
都教委は事実を知られたくないのです。強制の事実を記述した日本史教科書の採択妨害の理由もそこにあります。
今年、4~5回目の不起立に対して減給処分が強行されました。司法はどこまで容認するのか、都教委も賭けに出てきました。さらに厳しい闘いですが、再発防止研修受講仲間(?)みんなで頑張ろうと誓い合っています。みなさんのご支援をお願いします。
『リベルテ 東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース 第33号』(2013年10月26日)
ON(都立高教員)
今年も、国歌斉唱時の不起立を理由に卒業式では6名、入学式では3名の教員が処分されました。
2012年の1・16最高裁判決があるため、2度目の私も戒告にとどまりました。それ自体は8年聞に亘る裁判の“成果”ですが、都教委は返す刀で再発防止研修を強化してきました。
2011年までは夏休みに行っていたのを、昨春からは卒業式に関しては春休みに、入学式の人には5月に研修を開始。
また不起立1回目は半日のセンター研修のみ、2回目からは「受講前報告書」と個別研修が加わったが内心に迫ることはなかったのが、何回目でも所属校研修Ⅰ(受講前報告書)、センター研修Ⅰ(半日で全体研修と個別研修)、所属校研修Ⅱ(月1回のセンター訪問)、センター研修Ⅱ(個別研修)の4段階とされました。
内容はさらに問題です。「受講前報告書」では、「賑務事故を起こしたときの気持ち」などを1300字以上書かされます。
センター研修Ⅰの講義には「適正な教育教程の実施(学習指導要領の法的拘束性)」が加わり、「振り返りシート」を記入させ、個別研修でそのコピーを朗読させられて“正解”を確認されます。
腹立たしいのは、最高裁判決を職務命令は合憲だという内容に矮小化し、「最高裁判決や地公法等を踏まえると……職務命令に対してどのようにすべきか」などいう問いです。
また、「法令等や上司の職務上の命令に従うことは、公務員の責務」であることを踏まえ、「あなたは今後、教育公務員としてどのように職務を遂行していこうと思うか」などという設問。私の思いにまで“正解”があったのです。
センター訪問になると4人もの人間がやって来て、「上司の職務命令に従う責務があることを知っていますか」とたたみかけられました。
「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、…内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば…違憲違法の問題を生ずる」という再発防止研修差止め訴訟の決定で応じましたが、「先生の思想良心の自由を侵すものではありません」と続行されました。
センター研修Ⅱでは、「受講報告書」の最後に下記の5項目にレ点をつけて研修を振り返れといいます。
口 自分の起こした服務事故について、どのような法令に触れるのかが理解できた。研修延長の不安を感じながらその部分を白紙で提出すると、最後の研修部長との面接で追及されました。
口 教育公務員として学習指導要領に基づいて指導しなければならないことが理解できた。
口 国旗・国歌の指導について、教師自ら範を示すことが大切であることが理解できた。
口 今後、服務事故を起こさないために、校長の職務命令に従うべきであることが理解できた。
口 今回の研修を遍して、二度と服務事故を起こさないという決意ができた。
他の該当者と情報交換をしながら対応しましたが、同様の展開。中には、精神的苦痛の訴えに「苦痛なら先生の考えを変えなければならない」と言われた人もいます。明らかな憲法19条違反の研修と言わねばなりません。
4月17日、東京新聞がこの問題を改憲の動きに絡めて「良心の攻防前哨戦」と題して大きく報道してくれました。私は何度も実名でマスコミに出ていますが、「取材報告」を求められたと初めて校長に呼び出されました。
都教委は事実を知られたくないのです。強制の事実を記述した日本史教科書の採択妨害の理由もそこにあります。
今年、4~5回目の不起立に対して減給処分が強行されました。司法はどこまで容認するのか、都教委も賭けに出てきました。さらに厳しい闘いですが、再発防止研修受講仲間(?)みんなで頑張ろうと誓い合っています。みなさんのご支援をお願いします。
『リベルテ 東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース 第33号』(2013年10月26日)
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