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大阪府「君が代起立条例」は国際的非常識

2011年08月05日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◎ 大阪府「君が代起立条例」は国際的非常識
花輪紅一郎(「日の丸・君が代」裁判原告)

 6月3日大阪府議会で、教職員に君が代斉唱時の起立を義務付ける条例が、橋下徹府知事が代表を勤める「大阪維新の会」によって、わずか2日の審議で可決された。知事はさらに9月には、不起立者を懲戒免職する「処分条例案」を提出する予定だという。
 橋下知事は公開メールに、起立は「社会常識」と書いたそうだが、公権力が学校で教員に起立を強制することこそ、憲法違反どころか国際的には「非常識」である。
 ● 「思想・良心・宗教の自由」の侵害
 「日の丸・君が代」の取り扱いは、歴史的経過から多種多様な解釈や思いが存する個々人の歴史観や世界観に深く関わる問題である。それを数の力によって特定党派の主張を一方的に押しつけるのは、個人の思想・良心を踏みにじるものであるばかりか、教育の中立を脅かす政治的介入である。
 『国際自由権規約』18条3項は、個人の思想・良心・宗教の自由を公権力が制限するケースを厳しく限定しており、条例がこれに抵触するのは明らかである。同時に国内的には『憲法』19条、『教育基本法』16条、『義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法』3条等に違反する疑いが濃い。
 ● 「教育への権利」の侵害
 また「教育への権利」とは、『世界人権宣言』26条、『国際社会権規約』13条、『子どもの権利条約』29条に謳われるように、「人格の完成」「人権及び基本的自由の尊重」「異なる文化や価値観への相互理解」などを共通の目的としてすべての人に保障される崇高な権利である。その権利保障の担い手である教職員への問答無用の画一的強制は、崇高な教育目標に背き子どもの公正な学習権を奪う国際常識に反する行為と言わなければならない。
 ● 国際的に突出した条例
 諸外国で、法律によって国旗国歌を強制していることで知られるのは共産主義国家の中国と分裂国家の韓国くらいである。欧米諸国には卒業式自体がないし、教職員に法律で強制している例はないから裁判例もない。伝えられる府条例は、国際的には極めて突出しているものなのである。
 単に「ルールの問題」であって、教員は行政が決めたことに従うしかないなら、例えば文科省の子どもの被曝限度20mSvルールは絶対で、大阪府ではそれに3回逆らったらクビになるのか。教員は自由のないただの国家権力のエージェントに過ぎないのか。
 ● 前近代的人権無視
 『ILO・ユネスコ教員の地位に関する勧告』では、教員の職業上の自由を「教育職は専門職としての職務の遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである」(パラグラフ61)、また教員の権利を「教員は市民が一般に享受する一切の市民的権利を自由に行使すべきであり、かつ、公職につく権利をもたなければならない」(パラグラフ80)と規定している。
 良心的不起立教員を、そのことのみを理由として公務員職から排除することは、憲法29条の「職業選択の自由」を踏みにじる、17世紀英国の「審査律」や20世紀ナチスドイツの「ニュルンベルグ法」に比すべき、前近代的人権無視の暴挙と言わなければならない。
 ● 国際社会で名誉ある地位を占めるために
 わが国が「国際人権規約」を批准して32年になる。国際社会の一員として、とりわけ人権理事国に選任された責任ある地位にあるわが国が、率先して国際水準の人権レベルの達成を目指すのは当然である。国際社会で尊敬され名誉ある地位を占めるために、橋下知事及び大阪維新の会は、今一度人類普遍の原理である人権の基本に立ち返り、前近代的全体主義的教育政策である条例をただちに撤廃すべきである。
JAPANESE WORKERS' COMMITTEE FOR HUMANRIGHTS
国連経社理特別協議資格NGO 国際人権活動日本委員会
『国際人権活動ニュース』(110号 2011/7/28)
http://jwchr.s59.xrea.com/

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