◆ 小出裕章さん(元京大原子炉実験場助教)「地球温暖化」を語る
~課題はエネルギー浪費社会の解消 (週刊新社会)
小出裕章さんに最近の原子力事情を伺うために長野県松本市で取材しました。
「私は澤地久枝さんが呼びかけた『アベ政治を許さない』のスタンディングに参加してきた。岸田さん(首相)も、『モリ・カケ問題は終わった。原発推進、辺野古も強行』の発言をした。それならスタンディングは止められない。いつも松本駅前に行くと、40人の市民の皆さんがボードを持ち、立ち続ける。こんな力強いことはないど思った」と、お元気でした。(宮川)
◆ 「地球温暖化防止」口実に原子力依存の政府
国は原発を再稼働してこれからも原発に依存しようとしています。その口実に地球温暖化と温室効果ガス規制が使われていますが、これはまったくおかしなことです。
実はこういう考えは、2010年3月に閣議決定した「地球温暖化対策基本法案」にすでに含まれていました。
法案には「温室効果ガスの排出の抑制に資するため、……特に原子力に係る施策については、安全の確保を旨として、国民の理解と信頼を得て、推進するものとする」とあります。
ところがその後に福島原発事故がおき、原発依存は言えなくなりました。
ところが近年また、「温暖化防止」のためにはCO2排出を抑えなければならず、そのためには「クリーン」エネルギーである原発もなくすわけにいかないという宣伝が広がっています。
◆ 立ち止まって考えてほしい
そもそも地球温暖化とCO2増加の関係については、まだわからないことも多いのです。
地球は温暖化していること、大気中の二酸化炭素が増えていること。
これは事実です。その結果、地球の生命環境が重大な危機にあります。
だが、温暖化とCO2の間の因果関係はまだ証明しなければならないことがたくさんあります。
温暖化の原因の一つにCO2があるとしても、CO2だけに目を奪われて、放射能の危険性を忘れるようなことがあってはいけません。
求められているのは、CO2を大量に発生させるエネルギー浪費社会を変えることです。
これをすればエネルギー浪費は減るとは思いませんし、皆さんに押し付ける気はありませんが、私はエレベーターでなく階段を使うようにしています。浪費はしないという気持ちの表れです。
◆ 原発こそ大量のCO2のもと
原発でウランを燃料にしてもCO2は発生しません。
しかしウランを採掘するときにも、それを濃縮・加工する時にもCO2を排出します。
原発を建設する時にも、運転の際にも膨大なCO2を排出します。
何十年かかるかわからない福島原発事故の始末でどれだけのCO2を排出するでしょうか。
10万年、100万年かかる核のゴミの管理作業などでも同じです。
CO2が温暖化の原因というのであれば、原発だけはやってはいけません。
CO2と原発が発生させる核分裂生成物・「死の灰」をくらべてみましょう。
CO2がなければ植物は生存できません。植物が無ければ動物は生きられません。CO2自体は地球の生命にとって必須の物質です。
しかし放射線は人間に死をもたらします。
今問題となっている福島第一原発の汚染水には、除去できないトリチウムが含まれています。それを毎年22兆Bq(ベクレル)ずつ、50年ほどかけて海に流そうとしています。
強行しようとするのは理由があります。六ケ所の再処理工場は、使用済み燃料からプルトニウムを分離する過程で水に移るトリチウムを大量に海に放出することを前提にしています。
福島第一の汚染水を流せないとなると、再処理工場は運転できず日本の原子力開発は根底から崩壊するのです。
地球は水の惑星です。水を汚すことは究極の汚染です。
『週刊新社会』(2021年12月1日)
~課題はエネルギー浪費社会の解消 (週刊新社会)
小出裕章さんに最近の原子力事情を伺うために長野県松本市で取材しました。
「私は澤地久枝さんが呼びかけた『アベ政治を許さない』のスタンディングに参加してきた。岸田さん(首相)も、『モリ・カケ問題は終わった。原発推進、辺野古も強行』の発言をした。それならスタンディングは止められない。いつも松本駅前に行くと、40人の市民の皆さんがボードを持ち、立ち続ける。こんな力強いことはないど思った」と、お元気でした。(宮川)
◆ 「地球温暖化防止」口実に原子力依存の政府
国は原発を再稼働してこれからも原発に依存しようとしています。その口実に地球温暖化と温室効果ガス規制が使われていますが、これはまったくおかしなことです。
実はこういう考えは、2010年3月に閣議決定した「地球温暖化対策基本法案」にすでに含まれていました。
法案には「温室効果ガスの排出の抑制に資するため、……特に原子力に係る施策については、安全の確保を旨として、国民の理解と信頼を得て、推進するものとする」とあります。
ところがその後に福島原発事故がおき、原発依存は言えなくなりました。
ところが近年また、「温暖化防止」のためにはCO2排出を抑えなければならず、そのためには「クリーン」エネルギーである原発もなくすわけにいかないという宣伝が広がっています。
◆ 立ち止まって考えてほしい
そもそも地球温暖化とCO2増加の関係については、まだわからないことも多いのです。
地球は温暖化していること、大気中の二酸化炭素が増えていること。
これは事実です。その結果、地球の生命環境が重大な危機にあります。
だが、温暖化とCO2の間の因果関係はまだ証明しなければならないことがたくさんあります。
温暖化の原因の一つにCO2があるとしても、CO2だけに目を奪われて、放射能の危険性を忘れるようなことがあってはいけません。
求められているのは、CO2を大量に発生させるエネルギー浪費社会を変えることです。
これをすればエネルギー浪費は減るとは思いませんし、皆さんに押し付ける気はありませんが、私はエレベーターでなく階段を使うようにしています。浪費はしないという気持ちの表れです。
◆ 原発こそ大量のCO2のもと
原発でウランを燃料にしてもCO2は発生しません。
しかしウランを採掘するときにも、それを濃縮・加工する時にもCO2を排出します。
原発を建設する時にも、運転の際にも膨大なCO2を排出します。
何十年かかるかわからない福島原発事故の始末でどれだけのCO2を排出するでしょうか。
10万年、100万年かかる核のゴミの管理作業などでも同じです。
CO2が温暖化の原因というのであれば、原発だけはやってはいけません。
CO2と原発が発生させる核分裂生成物・「死の灰」をくらべてみましょう。
CO2がなければ植物は生存できません。植物が無ければ動物は生きられません。CO2自体は地球の生命にとって必須の物質です。
しかし放射線は人間に死をもたらします。
今問題となっている福島第一原発の汚染水には、除去できないトリチウムが含まれています。それを毎年22兆Bq(ベクレル)ずつ、50年ほどかけて海に流そうとしています。
強行しようとするのは理由があります。六ケ所の再処理工場は、使用済み燃料からプルトニウムを分離する過程で水に移るトリチウムを大量に海に放出することを前提にしています。
福島第一の汚染水を流せないとなると、再処理工場は運転できず日本の原子力開発は根底から崩壊するのです。
地球は水の惑星です。水を汚すことは究極の汚染です。
『週刊新社会』(2021年12月1日)
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