住基ネット差し止め訴訟を支援する会・事務局の川上です。
愛媛県愛南町において、全町民の住民票コードをはじめとした個人情報がインターネット上に流出するという衝撃的な事件が発覚しました(5月18日に愛南町が発表)。
この事件に対して、住基ネット差し止め訴訟を支援する会・事務局が声明を発表しました。
iijima20@pf7.so-net.ne.jp
http://www005.upp.so-net.ne.jp/jukisosho/
以下、声明を掲載します。
************************
◆住基ネット情報の大量漏洩(愛媛県愛南町)に強く抗議する
―政府・総務省は直ちに住基ネットの運用を停止せよ
(1)愛媛県愛南町において、全町民の住基ネット情報がそっくりそのまま漏洩し、インターネットに流されるという事態が発生した。愛南町の住民のプライバシーが、誰でも見ることができるインターネット上で公開されたのだ。私たちが指摘してきた住基ネットの情報漏洩の危険性が、これまでにない大規模で深刻なプライバシー侵害として、現実化した。私たちはこのことに強く抗議し、政府・総務省に対して直ちに住基ネットの運用停止を求めるものである。
(2)2004年10月に5町村合併で発足した愛南町の当時の全町民約2万9000人の個人情報など―氏名、住所、生年月日、性別、転入転出等の履歴の住基情報6万8426件、住民票コード3万3773件、国民年金情報3万5816件、老人保健情報1万3959件、口座情報287件、選挙資格情報2万4355件―実に14万2843件の個人情報が漏洩・流出していたことが、5月18日に明らかとなった(愛南町が発表)。町村合併にともなってデータの一本化の業務を委託された業者が、無断で別の業者に再委託し、この孫うけ業者の社員が自宅に持ち帰り私用のパソコンで仕事をし、そのまま保存していたデータがファイル交換ソフト「ウィニー」を介してインターネット上に流出した、という。氏名、住所、生年月日、性別の情報とともに、それと一体のものとなっている全住民の住民票コードがインターネット上に流出した事件はいまだかつてない初めてのことであり、住民のプライバシーが現実的に損なわれた。
(3)昨年3月に北海道斜里町で、住基ネット関連情報がインターネット上に流出する事態が発覚した時に、政府・総務省は「個人情報そのものが流出したわけではない、罰則規定があるから情報漏洩の危険性はない」と居直り、住基ネットの運用を続けてきた。
住基ネット差し止め訴訟において不当判決を下した裁判所は次のように判定した。「運用関係者による漏洩の危険に対しても、これを防止するための様々な措置が講じられている」「斜里町事故を受けた対策も講じられている」「斜里町事故、帯広市事故及び塙町事故は、住基ネットからの情報漏洩の危険に関する判断を左右するものではない」(東京地裁50部判決 2006年7月26日)。
「住基ネットの運用においては、不確実な技術的又は人為的要素が存在する以上、自己情報の不正利用やその漏洩等の可能性は皆無ではないが、人為的要素については刑事罰等をもって禁じており、技術的要素についても具体的危険性があると認めるだけの事実は認められないのであるから、住基ネットそのものの安全性は相応に確保されている」(福島地裁判決 2007年5月15日)。
こうした判断が誤っていることを衝撃的に実証したのが今回の愛南町事件である。
今回、住民票コードをはじめとした全町民の個人情報そのものが流出し、「罰則規定」は漏洩の歯止めにはならないことがあらためて明らかになった。この事件はインターネット上に流出したので発覚したが、私たちの目に見えないところで、住基ネット情報が、どこに、どれだけ漏洩・流出しているか、はかりしれない。今回の事態は氷山の一角にすぎない。
(4)私たちは、住基ネットから個人情報が漏洩・流出する具体的危険性があることを訴えてきた。住基ネットは、憲法13条によって保障されているプライバシーの権利(自己情報コントロール権)を侵害する憲法違反のシステムである。
違憲の住基ネットを稼働・運用してきた政府・総務省の責任は厳しく問われなければならない。政府・総務省は直ちに住基ネットの運用を停止せよ。
愛媛県愛南町において、全町民の住民票コードをはじめとした個人情報がインターネット上に流出するという衝撃的な事件が発覚しました(5月18日に愛南町が発表)。
この事件に対して、住基ネット差し止め訴訟を支援する会・事務局が声明を発表しました。
iijima20@pf7.so-net.ne.jp
http://www005.upp.so-net.ne.jp/jukisosho/
以下、声明を掲載します。
************************
◆住基ネット情報の大量漏洩(愛媛県愛南町)に強く抗議する
―政府・総務省は直ちに住基ネットの運用を停止せよ
2007年 5月19日
住基ネット差し止め訴訟を支援する会・事務局
〒164-0012 東京都中野区本町6-22-16-805
TEL 03-5328-0656 FAX 03-5328-0657
住基ネット差し止め訴訟を支援する会・事務局
〒164-0012 東京都中野区本町6-22-16-805
TEL 03-5328-0656 FAX 03-5328-0657
(1)愛媛県愛南町において、全町民の住基ネット情報がそっくりそのまま漏洩し、インターネットに流されるという事態が発生した。愛南町の住民のプライバシーが、誰でも見ることができるインターネット上で公開されたのだ。私たちが指摘してきた住基ネットの情報漏洩の危険性が、これまでにない大規模で深刻なプライバシー侵害として、現実化した。私たちはこのことに強く抗議し、政府・総務省に対して直ちに住基ネットの運用停止を求めるものである。
(2)2004年10月に5町村合併で発足した愛南町の当時の全町民約2万9000人の個人情報など―氏名、住所、生年月日、性別、転入転出等の履歴の住基情報6万8426件、住民票コード3万3773件、国民年金情報3万5816件、老人保健情報1万3959件、口座情報287件、選挙資格情報2万4355件―実に14万2843件の個人情報が漏洩・流出していたことが、5月18日に明らかとなった(愛南町が発表)。町村合併にともなってデータの一本化の業務を委託された業者が、無断で別の業者に再委託し、この孫うけ業者の社員が自宅に持ち帰り私用のパソコンで仕事をし、そのまま保存していたデータがファイル交換ソフト「ウィニー」を介してインターネット上に流出した、という。氏名、住所、生年月日、性別の情報とともに、それと一体のものとなっている全住民の住民票コードがインターネット上に流出した事件はいまだかつてない初めてのことであり、住民のプライバシーが現実的に損なわれた。
(3)昨年3月に北海道斜里町で、住基ネット関連情報がインターネット上に流出する事態が発覚した時に、政府・総務省は「個人情報そのものが流出したわけではない、罰則規定があるから情報漏洩の危険性はない」と居直り、住基ネットの運用を続けてきた。
住基ネット差し止め訴訟において不当判決を下した裁判所は次のように判定した。「運用関係者による漏洩の危険に対しても、これを防止するための様々な措置が講じられている」「斜里町事故を受けた対策も講じられている」「斜里町事故、帯広市事故及び塙町事故は、住基ネットからの情報漏洩の危険に関する判断を左右するものではない」(東京地裁50部判決 2006年7月26日)。
「住基ネットの運用においては、不確実な技術的又は人為的要素が存在する以上、自己情報の不正利用やその漏洩等の可能性は皆無ではないが、人為的要素については刑事罰等をもって禁じており、技術的要素についても具体的危険性があると認めるだけの事実は認められないのであるから、住基ネットそのものの安全性は相応に確保されている」(福島地裁判決 2007年5月15日)。
こうした判断が誤っていることを衝撃的に実証したのが今回の愛南町事件である。
今回、住民票コードをはじめとした全町民の個人情報そのものが流出し、「罰則規定」は漏洩の歯止めにはならないことがあらためて明らかになった。この事件はインターネット上に流出したので発覚したが、私たちの目に見えないところで、住基ネット情報が、どこに、どれだけ漏洩・流出しているか、はかりしれない。今回の事態は氷山の一角にすぎない。
(4)私たちは、住基ネットから個人情報が漏洩・流出する具体的危険性があることを訴えてきた。住基ネットは、憲法13条によって保障されているプライバシーの権利(自己情報コントロール権)を侵害する憲法違反のシステムである。
違憲の住基ネットを稼働・運用してきた政府・総務省の責任は厳しく問われなければならない。政府・総務省は直ちに住基ネットの運用を停止せよ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます