パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

3月決算 なぜ儲かるか

2007年06月01日 | ノンジャンル
  =3月決算 なぜ儲かるか=
 低賃金労働者の利用
 法人税は優遇ずくめ


 株式上場企業の07年3月期決算は5期連続の増収増益となった。経常利益は07度予想が35兆円、前年度比3兆円、前々年度比5・6兆円の好決算が見込まれている。
 儲け頭はトヨタ自動車。売上高23兆9480億円(13・8%増)、営業利益2兆2386億円(19・2%)、連結販売台数852万4000台(6・9%増)とGMを抜いて世界のトップも目前だ。
 この好決算の要因としてインド、ロシアなどの振興国におけるインフラ整備に伴う機械、非鉄金属等の需要増や平均ードル=117円に設定された円安効果(5月18日、120円90銭)が指摘されている。トヨター社の円安効果は2900億円、大手5社で実に5412億円にのぼる。
 この好決算をもたらした構造的要因として、中国・インド等の潤沢・安価な労働力利用による超過利潤の獲得を指摘できる。日本の労働力も非正規・期間従業員(トヨタ)が多用され、賃金面でも中国・インドに劣らぬ競争力をつけている。
   

 超低金利で支え★

 ここで注目したいのは政策的要因である。短期金利を年O・5%に据え置いた超低金利の金融政策法人税引上げをタブー視する税制企業の社会保障コスト削減をあげることができる。
 何れも「失われた15年」を脱却するため、企業の競争力を養う政策である。日本経済はこの構造的要因と政策的要因のジレンマの真っただ中にある。
 この1-3月期の国内総生産(GDP)は557兆6934億円、年伸び率2・4%増。個人消費は308兆1619億円と0・9%伸びたが、単位労働力コストは前年同月比1・8%減と構造要因が影を落とし、そこへもってきて設備投資がO・9%減り(88兆9038億円)さらに影を濃くしている。政府はいまだに「デフレ脱却」をまだに宣言できないでいる。
 日本経済はこうした不安定要因を抱え、日銀は金利の再引上げに踏み切れず、それが円安を招き寄せ、欧米の金融当局を苛立たせている。

 法人税を累進に★

 日本の実質的な法人実効税率(法人税、法人住民税、法人事業税)は先進国クラブの中で最低ランクにある。
 基本税率は1983年は43・3%、それが現在はたったの30%。しかも、証券投資、研究開発などに租税優遇措置が施され、大企業の実質税率はさらに下がり、トヨタ自動車は31・1%、御手洗日本経団連長が会長を務めるキャノンは33・4%。その実態には蓋をして、経団連は法人実効税率(表面税39・54%)を30%に引下げるよう要求している。表面実効税率を10%引下げると、トヨタの実質税率は22・1%、キャノン23・4%となる。
 所得税の定率減税廃止による税収増と法人税減税による税収減とによって、07年度の税収見通しは所得税、法人税とも増収だが、所得税収が法人税収を上回ることになった。
 それでもまだ飽き足らない財界は、経団連が消費税を2012度以降10%をとするビジョンを発表。経済同友会も2010年代半ばまでに16%とするよう求めるとともに、法人事業税の廃止まで要求している。
 北野弘久・日本大学名誉教授は法人税率は憲法の応能負担原則に基づき、「消費税導入前の10%~42%の累進税率に改めるべきだ」と主張している(「不公平税制」4月5日号。掲載表も同論文から引用)。
 現在、参院選対策として議論されている「ふるさと納税」制のなかで、法人事業税と法人住民税を、地方消費税とのバーターで国税化する案が浮上しているが要注意だ。

《解説》営業利益は売上高から原材料費、人件費、資本費などを引いた儲け。経常利益は営業利益に配当金、受取利息、為替差益などの営業外利益を含んだ儲け。企業活動の動向を知るには、売上高からさまざまな費用を引いた営業利益をチェックするのがいいといわれている。

『週刊新社会』(2007/5/29)

コメント    この記事についてブログを書く
« 「国会を包囲しよう!」(22) | トップ | 住基ネット情報の大量漏洩 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ノンジャンル」カテゴリの最新記事