◆ 理念なき政治 (東京新聞【本音のコラム】)
コロナウイルスの厄災拡大にともなって、安倍私物化政治への批判が、紙面から消えだした。
この混乱期に「非常事態条項」設置が、いわば火事場泥棒的に唱えられている。どさくさ紛れ、新手の憲法改定策動である。
わたしの大いなる疑問は、自民党内に存在するはずの良識派が、安倍首相のこれまでの民主的手続きを無視する政治に、民主主義破壊との苦言を呈しないのか、である。
すくなくとも、自由と民主主義を標榜(ひょうぼう)する政党なら、モリ、カケ、サクラ、揚げ句の果てに、政権を監視するはずの検察トップ、検事総長をも自分の息のかかった者にする、そのために法をねじ曲げる卑劣な工作など、認められないはずだ。
政権を延命させて、あなたは何をやろうとしているのですか、とわたしは安倍首相に問いかけたい。
過労死するほど働いても、将来の生活はおろか、現在も食べるのに精いっぱい、という膨大な層の若者たちに、どんな希望を与えるのですか。
とにかく祖父の夢。戦争のできる憲法にする。首相が全権掌握する「非常事態条項」をいれる。そのために延命を図ろうというのでは、将来必ず歴史から復讐(ふくしゅう)されよう。
法の解釈を自分の欲望に合わせて勝手に変えるのは、民主主義政治に敵対する。それでも支持するのは、もっとも危険な政治家にいのちを預ける無謀、である。
『東京新聞』(2020年2月25日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
コロナウイルスの厄災拡大にともなって、安倍私物化政治への批判が、紙面から消えだした。
この混乱期に「非常事態条項」設置が、いわば火事場泥棒的に唱えられている。どさくさ紛れ、新手の憲法改定策動である。
わたしの大いなる疑問は、自民党内に存在するはずの良識派が、安倍首相のこれまでの民主的手続きを無視する政治に、民主主義破壊との苦言を呈しないのか、である。
すくなくとも、自由と民主主義を標榜(ひょうぼう)する政党なら、モリ、カケ、サクラ、揚げ句の果てに、政権を監視するはずの検察トップ、検事総長をも自分の息のかかった者にする、そのために法をねじ曲げる卑劣な工作など、認められないはずだ。
政権を延命させて、あなたは何をやろうとしているのですか、とわたしは安倍首相に問いかけたい。
過労死するほど働いても、将来の生活はおろか、現在も食べるのに精いっぱい、という膨大な層の若者たちに、どんな希望を与えるのですか。
とにかく祖父の夢。戦争のできる憲法にする。首相が全権掌握する「非常事態条項」をいれる。そのために延命を図ろうというのでは、将来必ず歴史から復讐(ふくしゅう)されよう。
法の解釈を自分の欲望に合わせて勝手に変えるのは、民主主義政治に敵対する。それでも支持するのは、もっとも危険な政治家にいのちを預ける無謀、である。
『東京新聞』(2020年2月25日【本音のコラム】)
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