◆ 亡国の内閣 (東京新聞【本音のコラム】)
たまたまテレビで、下級生が上級生に手づくりの卒業証書を渡すシーンをみた。今春で廃校の予定だったが、この二日から全国臨時休校。それで、その日、唐突に最後の授業となった。
何年か前、小学校でミサイル訓練があった。児童たちが教室の机の下に潜らされた。
いまではバカげたエピソードのひとつにされているが、危機の宣伝に子どもをダシに使うのはよくない。
今回の臨時休校も戦車に乗ってポーズをとったり、戦闘機に乗ってご満悦、号令好きの首相が、専門家会議に諮ることなく、大向こうを狙った独善的な決定だった。
説明なしの決定だったため不満が高まった。
一月中旬にコロナウイルスが問題になってから一カ月半、ようやく首相が会見にでてきた。
が、演題左右に配置された、プロンプターの文字を読み上げるだけの演技だった。どの言葉にもひとを思う心がこもっていない。首相としての痛みも方針もない。水際での防疫の失敗への反省もない。
子どもを抱えた親たちは仕事をどうするのか。
子守りや食事やこまごまとした生活への配慮は、まったく見当たらない。
耳についたのは、万全の対策をとる決意。盤石な検査、医療体制の構築。最大限動員など、いつもながらの空疎な大言壮語。
大臣たちも危機を危機として感じず、対策緊急会議をサボっていた亡国ぶり。(ルポライター)
『東京新聞』(2020年3月3日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
たまたまテレビで、下級生が上級生に手づくりの卒業証書を渡すシーンをみた。今春で廃校の予定だったが、この二日から全国臨時休校。それで、その日、唐突に最後の授業となった。
何年か前、小学校でミサイル訓練があった。児童たちが教室の机の下に潜らされた。
いまではバカげたエピソードのひとつにされているが、危機の宣伝に子どもをダシに使うのはよくない。
今回の臨時休校も戦車に乗ってポーズをとったり、戦闘機に乗ってご満悦、号令好きの首相が、専門家会議に諮ることなく、大向こうを狙った独善的な決定だった。
説明なしの決定だったため不満が高まった。
一月中旬にコロナウイルスが問題になってから一カ月半、ようやく首相が会見にでてきた。
が、演題左右に配置された、プロンプターの文字を読み上げるだけの演技だった。どの言葉にもひとを思う心がこもっていない。首相としての痛みも方針もない。水際での防疫の失敗への反省もない。
子どもを抱えた親たちは仕事をどうするのか。
子守りや食事やこまごまとした生活への配慮は、まったく見当たらない。
耳についたのは、万全の対策をとる決意。盤石な検査、医療体制の構築。最大限動員など、いつもながらの空疎な大言壮語。
大臣たちも危機を危機として感じず、対策緊急会議をサボっていた亡国ぶり。(ルポライター)
『東京新聞』(2020年3月3日【本音のコラム】)
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