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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

天皇制支配の本質は権威に盲従する国民をつくること。教育がその役割を担う。

2019年10月23日 | こども危機
  =東京・八王子市=
 ◆ 日の丸を振らせるため小学生を動員
(週刊金曜日)
永尾俊彦(ながおとしひこ・ルポライター)

 今年4月23日、天皇皇后(当時)が東京都八王子市にある昭和天皇のむさしののみささぎ墓(武藏野陵)に退位の報告に来た際、八王子市教育委員会、町会自治会連合会、市内各種団体でつくる天皇皇后両陛下八王子奉迎会実行委員会が子どもたちを沿道に立たせるよう同市内の小学校校長に要請、三つの小学校が児童を動員、「日の丸」の小旗を振らせた。市教委によれば、動員されたのは第二小、横山第二小、浅川小の合計約540人。
 同市在住の根津公子(ねづきみこ)さんは「天皇(制)については肯定も否定もあるのに、子どもを動員し、『日の丸』を振らせるのは天皇を敬愛し、尊敬の念を抱くよう教え込むこと。憲法19条の『思想・良心の自由』を子どもから奪ったのです」と批判する。
 根津さんは都内の元中学校教師(家庭科)で、卒・入学式での「日の丸・君が代」の強制に反対し、職務命令に反して起立せず、停職などの処分を受け、都に取り消しを求める裁判を続けている。
 浅川小ホームページの4月23日には、沿道に並ぶ子どもと車中から手を振る天皇の写真を載せ、「子供たちは、大変感激していました」と「感激」一色。これを根津さんは「現代の皇民化教育です」と言う。
 ◆ 大人の忖度の連鎖

 文部科学省は4月22日に天皇退位と皇太子即位に際して通知を出し、「各学校においては(略)国民こぞって祝意を表する意義について、児童生徒に理解させることが適当」として「配慮」を求めている
 今後10月22日の「即位礼正殿の儀」(そくいれいせいでんのぎ)や11月14、15日の「大嘗祭」(だいじようさい)後にも天皇皇后や皇族が八王子市を訪れ、また子どもが動員される可能性があることから、根津さんらは「『天皇奉迎』に子どもを動員することに反対する八王子市民の会」を結成、市教委などに申し入れた。
 10月2日の市教委への申し入れでは、佐生秀之(さしょうひでゆき)指導主事が4月23日の動員について「市教委としては子どもたちを沿道に並ばせたり、小旗を振らせるよう指示していません。情報提供しただけです」と釈明した。
 しかし同会は、市教委が同奉迎会実行委からの当日の「奉迎」場所などを記した文書を添付したメールを前述の第二小などに送付し、参加の可否や人数、「日の丸」の小旗の本数を事前に知らせることまで求めていたことをあげ、「子どもを動員して小旗を振らせるためではないのか」と追及した。
 「人数を聞いたのは交通整理のため。小旗は数に限りがあるから」と佐生主事は答えた。
 後日、私は佐生主事に電話で「市教委は、子どもの思想・信条の自由を侵害するから、直接各校長に子どもを動員しろとは言えないのか」と聞いたが、「お答えできない」とのことだった。
 第二小の土屋栄二校長は、6月に根津さんが電話で抗議した際、市教委から「ぜひ学校で対応してもらえないか」と言われ、「『対応』とは忖度しろということだと思った」と話したという。
 10月3日の第二小への申し入れの際、根津さんがこの点を確認すると同校長はうなずき、否定しなかった。市教委は子どもを動員しろとは言えないことを校長が「忖度」し、動員したわけだ。
 また同会は10月2日の市教委への申し入れで、「文科省や都教委から子どもを動員しろという指示は来ていなかったのに、なぜ各校にメールを送ったのか」とも質した。
 佐生主事は、小学校学習指導要領第6学年に「日本国憲法に定める天皇の国事に関する行為など児童に理解しやすい具体的な事項を取り上げ、(略)天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにする」をあげ、「天皇陛下の奉迎は『具体的な事項』」と答えた。
 学習指導要領のこの部分は、前述の4月22日の文科省通知に添付されており、市教委も文科省を忖度したようだ。
 校長は市教委を、市教委は文科省を忖度する。大人の忖度の連鎖で、子どもの思想・良心の自由が奪われていく。
 同会は、10月4日に町会自治会連合会にも申し入れた。同連合会の秋間利久(あきまとしひさ)会長は奉迎会実行委の代表でもある。
 選挙資金収支報告書によれば、秋間会長や親族が経営の秋間電設㈱は、東京都第24選挙区(八王子市)選出の萩生田光一(はぎうだこういち)衆議院議員(文科大臣)の自民党同選挙区支部に2010年~17年に101万円を献金している。萩生田議員は自身のプログで「秋間家は私にとっては身内以上の間柄」と書いている(18年3月16日)。
 秋間会長は、同連合会が「子どもを動員するよう市教委に要請したことはない」、奉迎会実行委からの「奉迎」場所を記した文書を市教委に渡したことも「ありません」と否定。事実が食い違っており、同会は市教委に再質問することにしている。
 市教委などは、なぜ子どもを動員しようとするのか。
 「日の丸・君が代」強制を拒否して処分された都立高校教師が処分の取り消しを求める訴訟を数多く手がける澤藤統一郎(さわふじとういちろう)弁護士はこう言う。
 「天皇制支配の本質は、権威に盲従する国民をつくること。盲従の対象となる権威を天皇自身がつくるわけではなく、教育がその役割を担い、必然的に子どもが狙われることになるのです」。
『週刊金曜日 1253号』(2019.10.18)

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