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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

連合は雇用規制緩和にストップをかけていきます

2014年08月12日 | 格差社会
  =連合 安永貴夫 副事務局長に聞く=
 ◆ 「働き手犠牲の成長戦略認めない」

聞き手 東海林智(ジャーナリスト)


 安倍政権が進める労働規制緩和と対決する秋が近づいている。安倍政権は6月末に、「新たな労働時間制度」と称したホワイトカラー・エグゼンプションや解雇の金銭解決などを盛り込んだ成長戦略と骨太の方針を閣議決定した。秋に開かれる国会へ向け、連合はどのような構えで立ち向かうのか。安永貴夫副事務局長に聞いた。
 ー安倍政権の雇用政策をどのように評価しますか。

 ● 安永 安倍政権の特徴は、「企業が世界一ビジネスをしやすい国」を目指すという、その延長線上で語られています。どういう雇用社会を目指すかは示されていない。
 一部の企業や投資家の目線で語られる政策ですから、実態は「成長戦略」ですらない。「株価戦略」でしかないんですね。
 安倍首相は「岩盤規制にドリルで穴を開ける」とも言っている。しかし、彼らが穴を開けようとしているのは、人らしく働くための最低限のルール。岩盤でなければならないのです。
 そこを壊せば労働者は不安になる。そうなれば、せっかく賃金が上がるムードが生まれ、実際に賃金が上がっても労働者は雇用の不安、将来不安からお金を使わなくなります。
 ◆ 結成以来のとりくみ

 -連合のそういう危機感や考えは十分に伝わっていないのでは。

 ● 安永 私たちもそれを知ってもらうために、連合始まって以来ともいえる大規模な街宣や集会に繰り返し取り組んでいます。
 「誰のための規制緩和なのか」と。働く者の犠牲の上に描く成長戦略など到底認められない
 -具体的に聞きます。労働者派遣法の「改正」にはどう対応しますか。労政審では激しいやりとりがありましたが、結局厚生労働省に建議を出した。「労政審の一員である手前、徹底した反対は無理なのでは」との声もあります。
 ● 安永 それは違う。労政審では、業務単位による期間制限の維持と均等待遇を原則とすべきなどについて強く主張し、建議にも記されています。私たちは、「改正」の狙いは「生涯派遣で低賃金、正社員ゼロ」と批判してきた。この法案が通れば、雇用全体がおかしくなります。
 私にも苦い経験がある、産別時代に、派遣先で派遣労働者を組織したことがある。違法派遣が堂々とまかり通っており、派遣先の責任を追及した。すると派遣先は、「指摘の通りおかしいので正常化します」と言って、派遣労働者を雇い止めにしてしまい雇用を守れなかった。人を物のように扱う派遣労働が際限なく広がることには、きちんと反対していきます
 -ホワイトカラー・エグゼンプションはどうでしょう。

 ● 安永 ドイツの中小企業の調査に行ったことがある。EUでは週48時間の上限規制があり、さらに仕事と仕事の間に一定の時間をあけるインターバル規制も入っている。
 実際には、上限よりもずっと少ない時間で働いていて、それでもドイツは国際競争力を持っている。際限のない長時間労働で競争力が強くなる訳はない。
 ◆ 取引はできない

-しかし、連合は労働時間の上限規制を設けることや年休の完全消化などと引き換えに、制度導入を認めるのではないかとの見方が財界や政府にもあるようだが。
 ● 安永 そんな取引はしない。私たちは「長時間労働がなくならず、過労死も後を絶たない。そうした状況でホワイトカラーエグゼンプションの善し悪しを議論できるのか」と言っている。「エグゼンプションと何かを取引することではない」とは古賀伸明会長も明言しています。
 それに年収要件1000万円とか言っていますが、かつて経団連は「400万円以上に適用したい」と言っており、いったん制度ができたら、そこからどんどん下げられる。それは派遣法でも経験していることです。
 -先の国会では過労死等防止対策推進法も成立しています。

 ● 安永 この法の成立は大きい。国として防止に取り組む責務がある訳だから、それと逆行することをやるのはおかしい。まずは過労死を根絶する取組をやらなければならない。
 エグゼンプションの問題点は新聞広告やテレビCM、全国での集会などを通して国民にアピールしていきたい。
 -「解雇の金銭解決」も実は大きな問題です。導入されれば労働者は物言えぬ奴隷になる恐れがあります。
 ● 安永 その危険はあると思います。しかも成長戦略では「金銭救済の仕組み」と書き変えられています。あたかも労働者を救済するような書き方です。
 しかし、その中身は不当解雇をしておきながら金銭でカタを付ける制度。許せません。そもそも労働者が解雇撤回を訴えるのは、何も金銭だけが目的ではない。人間として尊厳をかけて訴えているのです
 それが、制度が導入されれば、裁判で勝っても職場に戻れない。そうなれば、どんな理由で解雇されるかわかりませんから、労働者は萎縮し、物言えぬ職場になってしまいます。
 背景には、解雇を自由に行い、“成長分野”に人を移動させる狙いも透けて見えます。しかし、“成長分野”に労働条件などで魅力があれば、自発的な転職が進むでしょう。介護であれ医療であれ、成長分野と期待されながら労働条件が厳しいことから人が集まらない。そうした現実を直視するべきです。
 “救済”といったレトリックを暴き、雇用規制緩和にストップをかけていく決意です。
労働を 生活を 社会を変える
『労働情報 892号』(2014.8.1)

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