<アムネスティ日本支部声明>
■ 森英介法務大臣への公開書簡
アムネスティ・インターナショナル日本は、在留資格のない子どもとその家族に対する退去強制に関して、2月27日付けで以下の書簡を森英介法務大臣に送付しました。
法務大臣 森 英介 殿
拝啓 貴下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府に対し、在留資格のない子どもとその家族に対する退去強制に関して、国連子どもの権利条約に対して政府が行った解釈宣言を速やかに撤回し、関連する国際人権基準を遵守するよう要請いたします。
2月27日、東京入国管理局は、フィリピン国籍のカルデロンさん一家に対して、一家で帰国するか、娘のカルデロン・のり子さんだけが日本に残るのかを3月9日までに決めなければ、3人を入管施設に収容して退去強制手続きに入ると通達したと伺っております。
これまで、日本の教育機関で学んでいた多くの子どもたちが在留資格を問われ、退去強制処分を受けてきました。今回のカルデロンさん一家のケースのように、父母との分離を要求される事例も繰り返されております。このような状況は、日本政府が批准している国際人権基準に明白に違反するものであります。
特に「子どもの権利に関する条約」では、「子どもに関するすべての措置をとるに当たっては子どもの最善の利益が主として考慮される」(3条1項)、および「子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」(9条1項)等の義務を締約国に課しております。
日本政府は9条1項について、「出入国管理法に基づく退去強制の結果として児童が父母から分離される場合に適用されるものではない」との解釈を宣言しています。しかし、このような解釈は、「子どもの利益の優先」を規定する同条約の趣旨と両立しえないものであり、今回の事案のような、就学中の子どもに対する退去強制や父母からの分離を正当化することはできません。
そもそも、日本政府の解釈宣言については、国連子どもの権利委員会が、1998年および2004年の日本政府報告書審査の際に発表した最終所見の中で、二度にわたって*その撤回を日本政府に明確に求めております。
アムネスティ日本は、日本政府が子どもの権利委員会の勧告を受け入れ、速やかにこの解釈宣言を撤回すること、そして出入国管理における在留資格の認定や退去強制手続きにあたって、子どもの権利条約に明記された義務を誠実に遵守するよう要請いたします。今回の事案に関しましても、これらの点を踏まえ、子どもの権利を最優先に考えた対応を取られるよう、謹んで要請いたします。
敬具
2009年2月27日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 寺中 誠
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=613
■ フィリピン人夫妻の退去強制は人権侵害
アムネスティは本日、日本政府に対して、アラン・カルデロンとサラ・カルデロンの夫妻が、13歳になる娘ノリコ・カルデロンと共に日本に残れるよう、2人に対する退去強制手続きを停止するよう求めた。
ノリコ・カルデロンは、日本で生まれ日本語しか話せない。彼女は法務省から、両親と共にフィリピンに帰るか、日本に残るために在留特別許可を申請するかのどちらかを選択しなければならない、と命じられた。しかし、政府は両親に対して、彼らが非正規滞在であることを理由に退去強制を行おうとしている。ノリコは、日本に残りたいという意思を公式に表明している。
「日本は、あらゆる政策において、子どもの利益を最優先に考慮する国際的な義務を遵守しなければならない。ノリコの両親に対する退去強制は、明らかに彼女の最善の利益に反するものである」と、アムネスティのアジア太平洋部副部長ロジーン・ライフは述べた。
日本も締約国である子どもの権利条約では、第9条において「締約国は、子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が子どもの最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない」と規定している。
日本は、同規定について、出入国管理法に基づく退去強制の結果として子どもが父母から分離される場合に適用されるものではない、との解釈宣言を行い、この義務を免れようとしている。
アムネスティは、この解釈は受け入れられないものであると考える。「子どもの利益を最優先とする原則は、子どもの権利条約の中核であり、絶対に拒否できないものである。私たちは日本に対し、国際的な義務に従い、人間としての良識と基本的な人道の観点に基づき、この家族が一緒に日本で暮らすことを認めるよう要求する」と、ロジーン・ライフは述べた。
背景:
子どもの権利委員会は、2004年に発表した日本に対する最終所見の中で、「国内法制度が条約の原則及び規定を十分に反映していないこと」について懸念を表明し、日本の法制度が移住労働者の子どもを差別していると指摘した。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年3月5日
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=619
■ 森英介法務大臣への公開書簡
アムネスティ・インターナショナル日本は、在留資格のない子どもとその家族に対する退去強制に関して、2月27日付けで以下の書簡を森英介法務大臣に送付しました。
法務大臣 森 英介 殿
拝啓 貴下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府に対し、在留資格のない子どもとその家族に対する退去強制に関して、国連子どもの権利条約に対して政府が行った解釈宣言を速やかに撤回し、関連する国際人権基準を遵守するよう要請いたします。
2月27日、東京入国管理局は、フィリピン国籍のカルデロンさん一家に対して、一家で帰国するか、娘のカルデロン・のり子さんだけが日本に残るのかを3月9日までに決めなければ、3人を入管施設に収容して退去強制手続きに入ると通達したと伺っております。
これまで、日本の教育機関で学んでいた多くの子どもたちが在留資格を問われ、退去強制処分を受けてきました。今回のカルデロンさん一家のケースのように、父母との分離を要求される事例も繰り返されております。このような状況は、日本政府が批准している国際人権基準に明白に違反するものであります。
特に「子どもの権利に関する条約」では、「子どもに関するすべての措置をとるに当たっては子どもの最善の利益が主として考慮される」(3条1項)、および「子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」(9条1項)等の義務を締約国に課しております。
日本政府は9条1項について、「出入国管理法に基づく退去強制の結果として児童が父母から分離される場合に適用されるものではない」との解釈を宣言しています。しかし、このような解釈は、「子どもの利益の優先」を規定する同条約の趣旨と両立しえないものであり、今回の事案のような、就学中の子どもに対する退去強制や父母からの分離を正当化することはできません。
そもそも、日本政府の解釈宣言については、国連子どもの権利委員会が、1998年および2004年の日本政府報告書審査の際に発表した最終所見の中で、二度にわたって*その撤回を日本政府に明確に求めております。
アムネスティ日本は、日本政府が子どもの権利委員会の勧告を受け入れ、速やかにこの解釈宣言を撤回すること、そして出入国管理における在留資格の認定や退去強制手続きにあたって、子どもの権利条約に明記された義務を誠実に遵守するよう要請いたします。今回の事案に関しましても、これらの点を踏まえ、子どもの権利を最優先に考えた対応を取られるよう、謹んで要請いたします。
敬具
2009年2月27日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 寺中 誠
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=613
■ フィリピン人夫妻の退去強制は人権侵害
アムネスティは本日、日本政府に対して、アラン・カルデロンとサラ・カルデロンの夫妻が、13歳になる娘ノリコ・カルデロンと共に日本に残れるよう、2人に対する退去強制手続きを停止するよう求めた。
ノリコ・カルデロンは、日本で生まれ日本語しか話せない。彼女は法務省から、両親と共にフィリピンに帰るか、日本に残るために在留特別許可を申請するかのどちらかを選択しなければならない、と命じられた。しかし、政府は両親に対して、彼らが非正規滞在であることを理由に退去強制を行おうとしている。ノリコは、日本に残りたいという意思を公式に表明している。
「日本は、あらゆる政策において、子どもの利益を最優先に考慮する国際的な義務を遵守しなければならない。ノリコの両親に対する退去強制は、明らかに彼女の最善の利益に反するものである」と、アムネスティのアジア太平洋部副部長ロジーン・ライフは述べた。
日本も締約国である子どもの権利条約では、第9条において「締約国は、子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が子どもの最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない」と規定している。
日本は、同規定について、出入国管理法に基づく退去強制の結果として子どもが父母から分離される場合に適用されるものではない、との解釈宣言を行い、この義務を免れようとしている。
アムネスティは、この解釈は受け入れられないものであると考える。「子どもの利益を最優先とする原則は、子どもの権利条約の中核であり、絶対に拒否できないものである。私たちは日本に対し、国際的な義務に従い、人間としての良識と基本的な人道の観点に基づき、この家族が一緒に日本で暮らすことを認めるよう要求する」と、ロジーン・ライフは述べた。
背景:
子どもの権利委員会は、2004年に発表した日本に対する最終所見の中で、「国内法制度が条約の原則及び規定を十分に反映していないこと」について懸念を表明し、日本の法制度が移住労働者の子どもを差別していると指摘した。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年3月5日
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=619
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