パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

失敗例として名を残すアベノミクス

2015年12月04日 | 格差社会
 ◆ リフレ失敗、バラマキ復活
   ~国民は詐欺師政権のいいカモだ
(日刊ゲンダイ)


 どういうことなのか。安倍内閣の支持率が急上昇している。
 共同通信が11月28、29両日に実施した世論調査によると、安倍内閣の支持率は48.3%と前回より3.5ポイントアップ。日経新聞の調査でも、支持率は8ポイントアップし、49%に上昇している。国会も開かず、仕事らしい仕事はなにもしていないのに支持率が8ポイントもアップするなんてどうなっているのか。
 しかも、日経新聞によると、支持率上昇の理由は「経済政策」だというから仰天である。安倍内閣のスタートから3年。「アベノミクス」が失敗に終わったことは、もはや誰の目にも明らかなはずだ。2014年度のGDPはマイナス0.9%、2015年度も4~6月期、7~9月期と2期連続のマイナスである。
 安倍首相が突然、「新3本の矢」を打ち出したのも、「旧3本の矢」の失敗を隠せなくなったからだ。
 とうとう、アベノミクスの理論的な支柱であり、異次元の金融緩和を高く評価してきたノーベル賞経済学者のクルーグマン・プリンストン大教授までが、アベノミクスは失敗に終わったと白旗を揚げている。
 日本の“リフレ派”は、教授を教祖のようにあがめてきたが、あっさりハシゴを外された形だ。
 クルーグマン教授は10月20日、NYタイムズ紙に「日本 再考」というコラムを発表。難しい中身だが、一言で言うと、「日本の量的緩和策は失敗した」ということだ。
 教授はコラムのなかで〈量的緩和の効果が出ないという問題は、想定していたことより大きいことだった。その原因は、日本の需要の弱さは本質に根ざすため、永続的な経済の条件に思えるからである〉と吐露。
 どうやら、日本の潜在成長率を高く見積もり過ぎていたらしい。
 さらに、11月6日に行われたIMF主催の会合でも〈QE(非伝統的金融緩和)によるインフレへの効果は限定的〉と翻意している。
 安倍首相はアベノミクスの失敗を認めようとしないが、教祖が失敗だったと認めているのだから、結果は明らかだろう。
 ■ 失敗例として名を残すアベノミクス

 安倍首相が「最低賃金を1000円へアップ」「低年金受給者に3万円を支給」とバラマキ政策を次々に打ちだし、経済界に「賃金を上げろ」「設備投資をしろ」と迫っているのも、アベノミクスが失敗した裏返しである。
 アベノミクスが成功していれば、今ごろ「トリクルダウン」が発生し、財界を脅す必要もなかったはずだ。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
 「アベノミクスが失敗し、安倍首相は焦っているのでしょう。しかし、やろうとしていることは逆効果です。低年金受給者に3万円を配ることは、まだいいですよ。でも、現在798円の“最低賃金”を毎年3%ずつアップさせ、1000円にしたら、失業と倒産が急増しかねない。大企業は総人件費を増やさないように雇用をカットすると思う。中小企業はギリギリの人数で経営しているから人員を整理できないでしょうが、最後は人件費に押し潰されてしまうでしょう。安倍首相は、苦肉の策としてバラマキ政策を実施しようしているのでしょうが、支離滅裂です」
 アベノミクスについて、日大教授の水野和夫氏が「サンデー毎日」で面白いことを書いている。
 〈アベノミクスの唯一の成果は、首相や日銀総裁がなりふり構わず、強引に改革を試みたものの、うまくいかなかったという現実を国民に突きつけたことだと思います。「旧三本の矢」は、「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」を柱としました。これらに取り組まないままでいると、後々の内閣で「あの時に金融緩和をしておくべきだった」などと蒸し返されるおそれがあります。その意味では「旧三本の矢」を試みたことは良かったのです。中途半端に失敗すると同じことを繰り返しますから。大胆に失敗しておくことは大切です
 アベノミクスは、失敗例として歴史に名を刻むことになりそうだ。

 なのに、この国の国民は、いまだに安倍首相の「経済政策」を支持しているのだから、信じられない。「最低賃金1000円へアップ」「低年金受給者に3万円を支給」といったバラマキ政策を44%が「評価」し、首相が経済界に「賃金を上げろ」「設備投資をしろ」と迫っていることも46%が「支持」している。
 すべてアベノミクスが失敗した裏返しなのに、なぜ、真相に気づかず、評価しているのか。どうかしている。
 「半分は、あきらめの気持ちでしょう。政府に期待しても仕方ない、自分の生活は自分で守るしかない、という冷めた気持ちだと思う。安保法案で下落した支持率が、時間が経ち、戻ってきたのでしょう」(斎藤満氏=前出)
 筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこう言う。

 「国民の半数はアベノミクスが失敗したことや、安倍首相のやり口に気づいていると思います。でも、支持率が49%ということは、恐らく半数の国民は“政府がなにか新しい政策をはじめるらしい”といった認識なのでしょう。1億総活躍というキャッチフレーズも、“最低賃金1000円”“低年金受給者への3万円を支給”という政策も、庶民にとっては悪い話じゃありませんからね。やはり日本人は、お人よしなんでしょうね」
 ■ 何回、騙されれば気が済むのか
 しかし、このままでは、また安倍首相に騙されるだけだ。国民は何度、騙されれば気が済むのか。
 この3年間、少しでもアベノミクスの恩恵があったのか。実質賃金は下がりつづけ、貯蓄ゼロの世帯が急増し、庶民生活は苦しくなる一方だったはずだ。
 オレオレ詐欺の被害者は何度も騙され、詐欺師は骨の髄までしゃぶるというが、この調子では、庶民は新アベノミクスというインチキに身ぐるみ剥がされるだけだ。
 「なぜ、人は詐欺師に騙されるのか。詐欺師は顔色一つ変えず、堂々と嘘をつけるからです。アベノミクスは失敗したのに、平然と“アベノミクスは第2ステージに入った”と胸を張れる安倍首相のメンタルは、詐欺師に近いのだと思う。1億総活躍を掲げた安倍首相は、“新3本の矢”を訴え、庶民へ税金をバラまけば、また支持を集められると計算しているのでしょう。“旧3本の矢”の失敗から目をそらすことにもなる。でも、安倍首相の策略に騙されて、来年夏の参院選で一票を投じたら、国民生活は終わりです。待っているのは、大増税と社会福祉のカットです。法人税を減税し、防衛費を5兆円まで膨らませるため、その財源を大衆に押しつけるのは間違いない。格差も一気に広がっていくでしょう。いい加減、国民は目を覚ますべきです」(小林弥六氏=前出)
 国民の半数が賢くても、半数が能天気に安倍内閣を支持していれば、安倍首相はやりたい放題ができる。まともな国民はたまらない。
『日刊ゲンダイ』(2015年12月1日)
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/170827
コメント    この記事についてブログを書く
« 12.6レッド・パージ65... | トップ | アベを倒そう!(39) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

格差社会」カテゴリの最新記事