【時評自評】
◆ 秘密法で戦争準備・原発推進
私は、弁護士となってから30年以上、原発訴訟を担当してきた。
これらの訴訟は、国や事業者の内部情報をどこまで入手できるかが勝負の分かれ目であった。福島原発事故では、メルトダウンの事実もスピーディの情報も、汚染水の漏洩も、市民の生命安全に関わる重大な事実が隠された。
原発はもともと軍事技術だ。再処理・もんじゅなどプルトニウム関連の情報はこれまでも「安全保障」上の規制が厳しくかぶせられてきた。
原発はテロの標的でテロ対策を口実に秘密は拡大するだろう。原発輸出に関することなどは「外交」上の秘密とされるだろう。
公務員が特定秘密を漏らしたり、ジャーナリストや市民が「保有する者の管理を害する行為」によって特定秘密を取得する行為を懲役10年の厳罰で取り締まろうとしている。
さらに、既遂に至らない未遂、共謀、煽動など非常に早い段階から処罰可能としている。まさに秘密に近づこうとする行為を非合法化しようとしているのである。
日本はアメリカと2007年に軍事情報包括保護協定を締結し、軍事機密や武器開発に関する情報の共有化を進めている。安倍政権は、集団的自衛権の行使を認め、アメリカとともに自衛隊が戦うための準備をしている。
政府は、法案提出の直前に公明党の要望をいれて、①有識者の意見を聞いて、秘密指定の基準を決める②知る権利の保障に資する報道・取材の自由に十分配慮する③取材行為は、公益を図る目的で、違法または著しく不当な方法によるものと認められない限り、正当業務行為とすると修正して、国会に提案した。
しかし、「報道の自由」などは判例上、既に確立しているから、これを規定しても、法案の意味には何の変更もない。
特定取得行為は秘密の管理者の「管理を害する行為」によって成立する。幅広い処罰規定を設けて重罰化を図る法案の骨格もなんら変わっていない。修正案は法案の危険性を克服したものではない。
「ツワネ原則」では、秘密としてはならない政府の違法行為が列挙されている。秘密の指定期限も決めている。内部告発者やジャーナリスト・市民活動家の保護を決めている。秘密の内容を見て、開示も決められる第三者機関の設立を求めている。
政府の提案している法案は、国際社会が国際的な人権保障と安全保障法のバランスを考慮して決めた原則であるツワネ原則にことごとく反している。
「秘密保護法案」は、市民の知る権利、報道の自由、表現の自由を侵害し、民主主義の枠組みを壊し、市民の生命と自由そして平和を脅かす法案だ。
法案は、いったん白紙に戻し、現存する自衛隊法などの中に含まれる秘密保全法制を含めて原則の考え方を織り込んで改正するなど、根本から練り直す作業に着手するべきだ。
我々は、今国会での成立を阻止し、廃案を強く求めたい。終盤の国会で、安倍政権は一部野党を取り込み、法案を少しだけの修正で無理矢理成立させようとしている。
「秘密保護法反対!」の一点で結集し、政府と国会に私たちの怒りの声をぶつけよう!
『労働情報 876号』(2013年12月1日)
◆ 秘密法で戦争準備・原発推進
海渡雄一(弁護士・秘密法反対ネット)
私は、弁護士となってから30年以上、原発訴訟を担当してきた。
これらの訴訟は、国や事業者の内部情報をどこまで入手できるかが勝負の分かれ目であった。福島原発事故では、メルトダウンの事実もスピーディの情報も、汚染水の漏洩も、市民の生命安全に関わる重大な事実が隠された。
原発はもともと軍事技術だ。再処理・もんじゅなどプルトニウム関連の情報はこれまでも「安全保障」上の規制が厳しくかぶせられてきた。
原発はテロの標的でテロ対策を口実に秘密は拡大するだろう。原発輸出に関することなどは「外交」上の秘密とされるだろう。
公務員が特定秘密を漏らしたり、ジャーナリストや市民が「保有する者の管理を害する行為」によって特定秘密を取得する行為を懲役10年の厳罰で取り締まろうとしている。
さらに、既遂に至らない未遂、共謀、煽動など非常に早い段階から処罰可能としている。まさに秘密に近づこうとする行為を非合法化しようとしているのである。
日本はアメリカと2007年に軍事情報包括保護協定を締結し、軍事機密や武器開発に関する情報の共有化を進めている。安倍政権は、集団的自衛権の行使を認め、アメリカとともに自衛隊が戦うための準備をしている。
政府は、法案提出の直前に公明党の要望をいれて、①有識者の意見を聞いて、秘密指定の基準を決める②知る権利の保障に資する報道・取材の自由に十分配慮する③取材行為は、公益を図る目的で、違法または著しく不当な方法によるものと認められない限り、正当業務行為とすると修正して、国会に提案した。
しかし、「報道の自由」などは判例上、既に確立しているから、これを規定しても、法案の意味には何の変更もない。
特定取得行為は秘密の管理者の「管理を害する行為」によって成立する。幅広い処罰規定を設けて重罰化を図る法案の骨格もなんら変わっていない。修正案は法案の危険性を克服したものではない。
「ツワネ原則」では、秘密としてはならない政府の違法行為が列挙されている。秘密の指定期限も決めている。内部告発者やジャーナリスト・市民活動家の保護を決めている。秘密の内容を見て、開示も決められる第三者機関の設立を求めている。
政府の提案している法案は、国際社会が国際的な人権保障と安全保障法のバランスを考慮して決めた原則であるツワネ原則にことごとく反している。
「秘密保護法案」は、市民の知る権利、報道の自由、表現の自由を侵害し、民主主義の枠組みを壊し、市民の生命と自由そして平和を脅かす法案だ。
法案は、いったん白紙に戻し、現存する自衛隊法などの中に含まれる秘密保全法制を含めて原則の考え方を織り込んで改正するなど、根本から練り直す作業に着手するべきだ。
我々は、今国会での成立を阻止し、廃案を強く求めたい。終盤の国会で、安倍政権は一部野党を取り込み、法案を少しだけの修正で無理矢理成立させようとしている。
「秘密保護法反対!」の一点で結集し、政府と国会に私たちの怒りの声をぶつけよう!
『労働情報 876号』(2013年12月1日)
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