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最高裁、大崎事件再審請求、地裁・高裁判断を覆す

2019年07月03日 | 平和憲法
 ◆ 「真昼の暗黒」 (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 九十二歳。原ロアヤ子さんの四十年にわたる無実の訴えを最高裁は棄却した。
 地裁、高裁で三度も再審開始を決定した大崎事件。生きる希望を押しつぶしたのだ。
 親族の自白や目撃供述の「変遷などに関して問題があることを考慮しても、信用性は相応に強固だ」(最高裁決定要旨)。
 十年の懲役刑を支えた自白や目撃証言に変遷が多い、ということこそ冤罪(えんざい)の可能性が高い。その問題があることを考慮しても「信用性は相応に強固だ」という。
 「相応」「程よく」とか「まあまあ」程度の意味あいだ。こんな曖昧模糊(もこ)たる表現に依拠して、ひとを犯罪者にしていいのか。
 被害者酔っ払って自転車に乗ったまま側溝に転落、大怪我(けが)を負っていた。三日後、自宅横の牛小屋で遺体となって発見された。
 犯罪のストーリーは親族の自供だけ。首を絞めたという肝心のタオルは発見されず、本人は一度も認めていない
 事件直後、死体を解剖した医師は自転車事故のことは聞かされていなかった。
 転落状況によっては遺体に認められる損傷を生じさせた可能性を否定できない、と二審で証言した。「殺人事件」は本当にあったのか。
 「おっかさん。まだ最高裁があるんだ!」。
 八海事件の阿藤周平役の俳優が獄中で叫ぶ「真昼の暗黒」のラストシーン。
 あの頃最高裁は希望だった。いまは地に堕(お)ちた。

『東京新聞』(2019年7月2日【本音のコラム】)

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