6月26日(木)午後4時15分より東京地裁で、「日の丸・君が代処分取消訴訟第2次訴訟」第3回口頭弁論が開催されました。傍聴席27に対し、88名の希望者がいたため、パソコンによる抽選となりました。運よく筆者は抽選に当たり、裁判を傍聴することができました。
▲ 「日の丸・君が代処分取消訴訟 第2次訴訟」 第3回口頭弁論
出席者は、裁判官3名(中西茂裁判長、松本真裁判官、荒谷謙介裁判官)、原告側14名、被告(東京都)側4名。傍聴人27名。
◇ 10.23通達直後の卒業式等で、処分者240名以上
東京都教育委員会による10.23通達直後の卒業式・入学式において、240名以上の教職員が、通達及び職務命令違反(卒業式等での君が代斉唱不起立)で懲戒処分等の不利益処分を受けました。その後も、毎年、数十人単位の懲戒などの処分者が出ています。
「1次訴訟」の原告団(173名)と同じように、この「2次訴訟」の原告67名も、10.23通達直後の卒業式等で、職務命令に従わなかったとして、05年及び06年に懲戒処分を受けました。原告らは、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することを強制されることは、思想・良心の自由、信教の自由、教育の自由を侵害するものであり、処分は不当だとして、東京都に対し、処分取消と損害賠償を求める訴えを起こしました。
今回の「2次訴訟」では、これまで2回の口頭弁論が開催されました。3回目の口頭弁論では、弁護団の加藤文也弁護士と雪竹奈緒弁護士が、新たに提出した準備書面の核心部分についての意見陳述を口頭で行いました。
◇ 国旗国歌法の立法趣旨に反する10.23通達
最初に、加藤文也弁護士が陳述をしました。加藤弁護士は、10.23通達は、1989年に告示された学修指導要領や、1999年8月に制定した国旗国歌法の立法趣旨に反するとして、それぞれの成立過程における国会議員や知識人らの発言に言及しました。
当時、日本ペンクラブ会長だった大岡信氏が、「日の丸・君が代」について、アジアや世界の人々に対する思いを述べていることに言及し、大岡氏は国際社会の感覚を述べている、と語りました。また、学校で国旗国歌は当然としているが、諸外国と日本では儀式に対する考え方が異なっており、卒業式や入学式がない国もあることを指摘しました。
国旗国歌法制定のとき、「義務付けは行わないと」と当時の内閣総理大臣や幹事長が明言しており、10.23通達を作成したときの都教委の教育委員長だった横山洋吉氏が、政府答弁自体が誤っていると発言していることは問題があるとしながら、国会で制定された内容を超えるものとして(10.23通達を作成した)意志があったことは明らかである、と断じました。
◇ 卒業生の訴え
次いで、雪竹奈緒弁護士が陳述をしました。雪竹弁護士は、事実認定関連で述べたいとして、10.23通達によって多くの教員が処分を受けたことに言及したうえで、都立高校の卒業生の証言から明らかになったこととして、次のように述べました。
生徒が座っていると先生が処分されるので、本当は起立をしたくなかったのに立った生徒がたくさんいたこと。通達後、開始の起立のあとそのまま国歌斉唱のパターンが多いこと。生徒が主体的に卒業式をつくってきたが、(通達後は)生徒が議論できなくなっていること。とくに国旗国歌については議論ができないこと。起立をしないと先生が起立を促すこと。
卒業生の証言から明らかになったことは、なにがなんでも生徒を全員立たせるという都教委の問答無用の姿勢である、と述べ、学習指導要領や国旗国歌法と10.23通達が決定的に異なるのは、すべての議論を封じ込め、上からの命令に従うものいわぬ教職員のみを残すという、都教委の意図が示されていることである、と断じました。
最後に、卒業生が伝えていた言葉を紹介し、都教委による10.23通達は、教員だけでなく、生徒たちにも苦しみをもたらしていることを訴えました。
「卒業式は徒労感だけが残った。打ち上げさえ行わない。一生に一度の卒業式で、生徒にこんな思いをさせるのがいまの都教委」
◇ 報告集会
裁判のあと、「弁護士会館」で報告集会がありました。抽選に外れ、裁判を傍聴できなかった方たちもたくさん参加しました。加藤弁護士と雪竹弁護士が、今日の陳述の趣旨とその狙いについて説明をしました。
加藤弁護士は、学習指導用要領、国旗国歌法、10.23通達の3つの流れを明らかにし、事実関係について裁判官に認識してもらう意図のもとに意見陳述をしたことを明らかにしました。
雪竹弁護士は、事実関係のとらえ方がちがうことをわかってもらうことは大事、と述べ、これまで負けている判決の事実認定について、そこの事実が違うということを、事実に即して明らかにし、10.23通達がいかに捻じ曲げられているかを裁判官に訴えたと語りました。
『JANJAN』 2008/06/28
http://www.news.janjan.jp/living/0806/0806270635/1.php
▲ 「日の丸・君が代処分取消訴訟 第2次訴訟」 第3回口頭弁論
ひらのゆきこ
出席者は、裁判官3名(中西茂裁判長、松本真裁判官、荒谷謙介裁判官)、原告側14名、被告(東京都)側4名。傍聴人27名。
◇ 10.23通達直後の卒業式等で、処分者240名以上
東京都教育委員会による10.23通達直後の卒業式・入学式において、240名以上の教職員が、通達及び職務命令違反(卒業式等での君が代斉唱不起立)で懲戒処分等の不利益処分を受けました。その後も、毎年、数十人単位の懲戒などの処分者が出ています。
「1次訴訟」の原告団(173名)と同じように、この「2次訴訟」の原告67名も、10.23通達直後の卒業式等で、職務命令に従わなかったとして、05年及び06年に懲戒処分を受けました。原告らは、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することを強制されることは、思想・良心の自由、信教の自由、教育の自由を侵害するものであり、処分は不当だとして、東京都に対し、処分取消と損害賠償を求める訴えを起こしました。
今回の「2次訴訟」では、これまで2回の口頭弁論が開催されました。3回目の口頭弁論では、弁護団の加藤文也弁護士と雪竹奈緒弁護士が、新たに提出した準備書面の核心部分についての意見陳述を口頭で行いました。
◇ 国旗国歌法の立法趣旨に反する10.23通達
最初に、加藤文也弁護士が陳述をしました。加藤弁護士は、10.23通達は、1989年に告示された学修指導要領や、1999年8月に制定した国旗国歌法の立法趣旨に反するとして、それぞれの成立過程における国会議員や知識人らの発言に言及しました。
当時、日本ペンクラブ会長だった大岡信氏が、「日の丸・君が代」について、アジアや世界の人々に対する思いを述べていることに言及し、大岡氏は国際社会の感覚を述べている、と語りました。また、学校で国旗国歌は当然としているが、諸外国と日本では儀式に対する考え方が異なっており、卒業式や入学式がない国もあることを指摘しました。
国旗国歌法制定のとき、「義務付けは行わないと」と当時の内閣総理大臣や幹事長が明言しており、10.23通達を作成したときの都教委の教育委員長だった横山洋吉氏が、政府答弁自体が誤っていると発言していることは問題があるとしながら、国会で制定された内容を超えるものとして(10.23通達を作成した)意志があったことは明らかである、と断じました。
◇ 卒業生の訴え
次いで、雪竹奈緒弁護士が陳述をしました。雪竹弁護士は、事実認定関連で述べたいとして、10.23通達によって多くの教員が処分を受けたことに言及したうえで、都立高校の卒業生の証言から明らかになったこととして、次のように述べました。
生徒が座っていると先生が処分されるので、本当は起立をしたくなかったのに立った生徒がたくさんいたこと。通達後、開始の起立のあとそのまま国歌斉唱のパターンが多いこと。生徒が主体的に卒業式をつくってきたが、(通達後は)生徒が議論できなくなっていること。とくに国旗国歌については議論ができないこと。起立をしないと先生が起立を促すこと。
卒業生の証言から明らかになったことは、なにがなんでも生徒を全員立たせるという都教委の問答無用の姿勢である、と述べ、学習指導要領や国旗国歌法と10.23通達が決定的に異なるのは、すべての議論を封じ込め、上からの命令に従うものいわぬ教職員のみを残すという、都教委の意図が示されていることである、と断じました。
最後に、卒業生が伝えていた言葉を紹介し、都教委による10.23通達は、教員だけでなく、生徒たちにも苦しみをもたらしていることを訴えました。
「卒業式は徒労感だけが残った。打ち上げさえ行わない。一生に一度の卒業式で、生徒にこんな思いをさせるのがいまの都教委」
◇ 報告集会
裁判のあと、「弁護士会館」で報告集会がありました。抽選に外れ、裁判を傍聴できなかった方たちもたくさん参加しました。加藤弁護士と雪竹弁護士が、今日の陳述の趣旨とその狙いについて説明をしました。
加藤弁護士は、学習指導用要領、国旗国歌法、10.23通達の3つの流れを明らかにし、事実関係について裁判官に認識してもらう意図のもとに意見陳述をしたことを明らかにしました。
雪竹弁護士は、事実関係のとらえ方がちがうことをわかってもらうことは大事、と述べ、これまで負けている判決の事実認定について、そこの事実が違うということを、事実に即して明らかにし、10.23通達がいかに捻じ曲げられているかを裁判官に訴えたと語りました。
『JANJAN』 2008/06/28
http://www.news.janjan.jp/living/0806/0806270635/1.php
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