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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 10.8共同テーブルシンポでの沖縄平和運動センター山城博治さんの講演

2024年11月22日 | 平和憲法

 ☆ 共同テーブル10・8 第12回シンポでの報告 (週刊新社会)

沖縄平和運動センター 山城博治

 石破茂首相は自民党幹事長時代の2013年、辺野古移設に反対した沖縄選出自民党国会議員5人全員を自民党本部に呼びつけて移設容認に転じさせた。うなだれて下を向く議員を従えて記者会見する当時の石破幹事長の姿は、明治期の琉球処分官にたとえられた。石破政権は戦争に向かう道を後戻りできないまでに更に推進しようとする。

1.この間実行された戦争政策

(1)軍備・軍隊の強化

①安保関連3文書の閣議決定。敵基地攻撃能力の保有

 日本が直接攻撃されていない存立危機事態でも、他国の領域へ先制攻撃が可能だとし、長射程のミサイルを製造配備する方針を明示。配備先は沖縄の各島々になる。

②特定利用空港・港湾の指定

 米軍の対中国戦争を想定した「遠征前方基地作戦」を前提に、各島々のほぼ全ての空港・港湾を軍事利用する「特定利用空港・港湾」に選定・指定
 沖縄や鹿児島の島嶼部を中心に38カ所が候補地とされたが、地元自治体の合意が得られず、指定は7道府県の16カ所にとどまり、22カ所で継続協議されている。
 沖縄は政府の計画では12カ所、そのうち指定されたのは国管理の那覇空港と石垣市管理の石垣港の2施設。残り10施設は県管理で知事の合意が得られず宙に浮いている
選定済みは石垣港、那覇空港。未選定は与那国空港、新石垣空港、波照間空港、宮古空港、下地島空港、久米島空港、与那国新港、平良港、那覇港、中城湾港)

③日米共同軍事演習の定着・激化

 自衛隊.米軍共同統合軍事演習「キーン・ソード25」が昨年10月23日~11月1日にかけて南西諸島の島をを中心に実施された。今年は10月23日から規模・範囲ともに拡大して行われた。自粛を求める県知事の意向を無視して、政府は上記「特定利用空港・港湾」に指定・選定されなくても全ての島々の空港・港湾を使用するだろう。

④自衛隊基地の新規建設・計画

 与那国ミサイル基地計画、陸上自衛隊石垣駐屯地の拡張計画、うるま市ミサイル訓練場計画(地域住民と自治体を挙げた抵抗で撤回される)、与那国島樽舞(たるまい)湿原を海軍港に造り変える樽舞港湾建設計画(後述)

 

(2)戦争反対運動の直接規制・抑圧

 戦争は、国民・地域住民の理解協力なしには実行できない。そのために編み出された弾圧立法が以下の2つである。

①重要土地利用規制法の制定

 県内11市30町村中、9市13町村で指定。粉飾された立法理由にもかかわらず、この法律が基地建設と戦争に反対する者・団体を監視・規制・弾圧する法律であることは間違いない。

②地方自治法改悪

 これまで国の指示権は、災害対策基本法感染症法などの法律に定めがある場合にのみ認められていた。
 改正法により、個別法の規定がなくても国が必要と判断し、閣議決定すれば自治体に対する指示権発動が可能となる。
 国の指示権拡大は、「台湾有事」を巡る政府の対応に沖縄の自治体を従わせる法的な根拠になりかねない。実際、辺野古新基地建設を巡り、設計変更承認が法定受託事務だとして初めて代執行が強行された。
 すべての公共インフラの軍事利用が企まれ、政府は沖縄県内すべての空港・港湾を「特定利用空港・港湾」に指定するはずだが玉城デニー県知事が立ちはだかっている

 また、与那国島、石垣島、宮古島で有事を想定した住民の避難訓練が行われているが、政府が有事発生の際に想定している避難命令、行動規制、自治体保有施設使用等へ地域自治体、住民が激しく抵抗する事態も想定できる。それを鎮圧して政府の計画通りに作戦を遂行すること地方自治法改悪の背景だ。

 

2.与那国島の衝撃

 私が事務局長を務める「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」主催で9月17日~18日の両日、軍事化が進む与那国島の視察調査に出かけた。
 沖縄選出国会議連「うりずんの会」から衆参各1名、玉城デニー県政県議会与党4会派から6名、事務局から5人、その他の延べ15人で与那国に出かけた
 島で案内していただいたのは、地元与那国町議会議員の田里千代基さん。田里議員に以下、主なポイントを案内していただいた。紙面の都合上、樽舞湿原の港湾化計画について取り上げる。

 樽舞湿原は自然環境に恵まれた重要湿原であるが、その端を切り裂いて、長さ1200m、最大幅300mの港湾をつくり、砂浜からサンゴ礁で埋まる海を沖合まで穿ち船舶、艦船が寄港し湾内で旋回ができる広さを持つ港湾にする計画。辺野古が政府の肝いりの大工事になっているが、利権で動いているのと同様な構図が見え隠れする。

 事実、町長表敬を断られ、代わりに対応いただいた町議会議長は「本当は、島の貴重な大自然を壊して港をつくる必要はない。町民が望んでいるのは、元来島にある重要港湾祖納(そない)港の改修工事が着実に進められ、波高が高く接岸が難しい現行の桟橋を東西から南北に造りかえれば、冬でも大型船舶が安全に接岸できて、住民に大きな恵みをもたらす」と語り、同行した県議団に県予算の確保に取り組んでほしいと要請があった。
 一行皆やる気を起こして要請を受け止めた。

 同席した国会議員団は「政府は辺野古新基地建設に反対する沖縄県にハード予算を付けない。だから祖納港の改修工事は進まない。その上で、軍港に転じることが予想される樽舞湿原の港湾化を役場と一緒になって進めている」と述べた。

『週刊新社会』(2024年11月20日)


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