◆ 「健康的な職場環境」を破壊し続けた都教委が言うこと? (レイバーネット日本)
今日の公開議題は、議案が
①健康的な職場環境を実現するための宣言について、
報告が
②「学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラム」中間のまとめについて
③昨年度に発生した都内公立学校における体罰の実態把握について。
非公開議題は
教員の懲戒処分7件(うち6件は議案になっているので、重い処分のよう)、
「いじめ防止対策推進法」第28条に基づく報告について(前回の定例会でも同じタイトルの報告があったが、同一の件なのか。それとも)。
①健康的な職場環境を実現するための宣言について及び②「学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラム」中間のまとめについて
教員を都教委の指示に従わせ、働きたい意欲をそぐ施策を出しつづけてきた都教委が、どの面下げて「健康的な職場環境」と言うか?!そう思いながら聴きました。その宣言文は次の通りです。
健康的な職場環境を実現するための宣言/
東京都教育委員会は、次代を担う子供たちの豊かな学びと健やかな成長に向けて、東京都の公教育に従事する全ての教職員が、心身ともに健康で、やりがいをもって生き生きと働けるよう、働き方改革を推進し、健康的な職場環境の実現に取り組んでいきます。/
1 全ての教職員が心身の健康を確保し増進できるよう、予防的見地を重視しながら、包括的かつ継続的に施策を推進します。/
2 ライフ・ワーク・バランスの実現に向け、全ての教職員が安心し、誇りとやりがいをもって働くことができる環境を整備します。/
令和5年11月24日 東京都教育委員会
都教委が都教委の指示に教職員を従わせた最大のことは、2003年度からの「君が代起立」の職務命令ですが、それとともに都教委は日常的に学校・教員を監視し圧力をかけてきました。
授業で扱う教材が都教委の意に沿わぬものであれば、それを潰すこともしてきました。七生養護学校の性教育の教材撤収(2003年)とか、従軍慰安婦問題を家庭科で取り上げた私の授業への、保護者を使った攻撃(2001~2002年)等々。
全教員に毎週、授業計画の「週案」(週案と結果報告)の提出を実質義務付けました(2000年)から、教員たちは自ら創造した授業をつくることができなくなり、「健康的な職場環境」が破壊されて行きました。
こうした教員支配を都教委が止めること、これまでの、とりわけ2000年代に入ってからの都教委の教員支配が誤りだったという自覚、認識を事務方・教育委員が持つことが、教員が「誇りとやりがいを持って」働くことに繋がるのに、そういった意見は教育委員からは出ませんでした。
教育委員の発言は、「宣言は大事」「都教委の覚悟を示すのはよいこと」というもので、あっけに取られてしまいますが、いつものことかとも・・・。
「学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラム」は「宣言」を踏まえ年度内に策定し4年間取り組むとのことで、取組の5つの柱を掲げました。
1 学校・教員が担うべき業務の精査、
2 役割分担の見直しと外部人材の活用、
3 負担軽減・業務の効率化、
4 働く環境の改善、
5 意識変革・風土改革。
「外部人材の活用」では、学習プリントの印刷など、教員をサポートするスタッフ配置が7年前の「30人」から「1971人」へ、中学校部活動指導員配置が「220人」から「632人」と成果があったと。
「業務の効率化」では、DXの推進(定期考査採点やその後の成績処理での利用、デジタルサポーター(ICT支援員)の配置他)を強力に進めると。この取組も、教員が「誇りとやりがいを持って」働き続けられるとは思えません。
提案した都教委担当者は、「休職者が多い現状」と冒頭言っていましたが、子どもたちとの「人格的触れ合い」を仕事にしたくて教員になった人たちが病んでいくのはなぜなのか、忙しさだけではない何かがあると考える都教委であり教育委員であってほしいものです。ない物ねだりですが、解決はそこからです。
②昨年度に発生した都内公立学校における体罰の実態把握について
毎年この調査はされていて昨年も、子どもや教員からの日常的な情報提供及び質問用紙で調査した結果が出されました。
22年度結果は、
体罰は7人(うち、部活動での体罰は0人)、
不適切な指導・行き過ぎた指導は78人、
暴言等は16人。
行なった教員の年代別の人数に偏りはない。
21年、20年との比較では変化はない。
体罰が問題視され始めた2012年度は体罰182人、不適切な指導・行き過ぎた指導503人、暴言等39人でしたから、「改善」はされたということです。
体罰根絶に向けて都教委は、年2回の服務事故防止月間に体罰防止に係るセルフチェックを実施するとか、研修の中で暴言等に当たる具体的文言例を示すなど教職員への啓発を新たに実施すると言いますが、あまりにも情けないです。
『レイバーネット日本』(2023年11月24日)
http://www.labornetjp.org/news/2023/1124nezu
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