二審も著者に賠償命令=南京大虐殺本で被害者を「偽者」-東京高裁
南京大虐殺被害者の象徴とされる夏淑琴さん(79)が書籍で「偽者」と指摘されたとして、著者の東中野修道・亜細亜大教授(60)と出版社に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は21日、名誉棄損を認め、400万円の支払いを命じた一審判決を支持し、双方の控訴を棄却した。
柳田幸三裁判長は、被害の根拠とされた英文資料に登場する女性について、「一審では夏さんとは別人と争うなど存在を認めていたのに、架空の人物と主張を変えた。明らかに矛盾がある」と指摘。資料を「創作話」とする東中野教授側の主張を退けた。
【時事通信】(5月21日21時1分配信)
◎ 夏淑琴さん裁判、高裁でも勝訴!
南京への道・史実を守る会より、夏淑琴さん裁判控訴審の判決と当日の模様を報告します。(重複して受け取られた場合はお許し下さい)
5月21日、東京高等裁判所824号法廷にて、平成19年(ネ)第6002号損害賠償等反訴請求控訴事件(夏淑琴さん名誉毀損裁判・控訴審)の判決が下されました。
双方の控訴は全て棄却されましたが、第一審被告(東中野教授及び展転社)は一審原告(夏淑琴さん)に対し合計400万円の賠償金支払いが命じられました。
(「南京虐殺の徹底検証」については300万円、その中国語版・英語版については50万円の慰謝料、加えて弁護士費用50万円)
残念ながら東中野氏に対する謝罪広告などの要求は退けられましたが、昨年11月の地裁判決の賠償金400万円は維持されたのです。歴史歪曲派に対する完全勝利と言えるでしょう。
この日も裁判所前で開廷前に1時間ほど、チラシ配布など宣伝活動を行いましたが、嫌がらせが目的の右翼グループは一人もやって来ませんでした。一昨年から始まったこの裁判は毎度の右翼の罵声が名物だったのですが、被告側の論理破綻が暴かれるにつれて彼らの関心も薄れていったようです。
傍聴席は39人分のところ、45名の方々が抽選に並んで下さいました。やや寂しい人数でしたが、東中野支持派も裁判の行方をあきらめた結果、このような人数になったのかもしれません。
ところで、この控訴審に臨んで少なからぬ不安もありました。5月21日に判決は出ず弁論継続になる余地もあった点と、被告側が控訴審の段階になってから始めた主張です。
ジョン・マギー牧師が南京事件の被害の模様を撮影したフィルムがどこで現像されたのか不明な点を突き、
「あのフィルムは、実は南京事件を映したものではなく、事前に用意された全く無関係の映像だ。従って(夏淑琴さん一家の被害も記録されている)フィルム解説文など単なる創作だ!」
という主張を始めたのです。
実際に南京事件の被害者・生存者が映っているフィルムを、全く別物だと主張する荒唐無稽さには呆れますが、たしかにあのフィルムが現像された場所を示す資料は見当たりません。
しかし、結局は3月17日の第一回のみで結審の形となり、杞憂だったと思い知らされたのです。
判決はこの主張に対し、
「東中野氏の『南京虐殺の徹底検証』は、マギーフィルムの解説文を元に夏淑琴さんは事件の被害者とは別人だという推論を行っており、しかも一審ではその主張を元に陳述を行っていた。従来の主張をひっくり返すような主張は採用できない」
という趣旨の指摘を行い、この主張を退けました。全く当然の指摘です。フィルム解説文が創作だとしたら、それを唯一の拠り所としていた東中野氏の推論も無意味になることが分からなかったのでしょうか?
判決言い渡しは「各控訴をいずれも棄却する。控訴審の裁判費用はそれぞれの負担とする」と述べただけで、わずか数十秒で終わりました。あっけない終わり方でしたが、南京事件否定派の重鎮?である東中野氏の主張が完全に否定された瞬間でもありました。
そして、弁護団の紅一点である菅野弁護士が、昨年の地裁判決に続いて裁判所正面玄関で「勝訴」の旗を掲げ、フラッシュの嵐が起こりました。被告側は最高裁に上告するのではないかと思いますが、この裁判では最高裁が弁論を再開するとはとても考えられず、百人斬り裁判と同様にそのまま棄却となることでしょう。この歓喜の瞬間を味わえないと思うといささか残念です(笑)
続いて弁護士会館で行われた報告集会には多くの方々が参加してくださいました。昨年の地裁判決文で被告を厳しく断じた文言は手が加えられたものの、要所は引き継がれたこと、判決内容が後退しなかったことなど、弁護団から解説が行われました。そして限られた時間の中で、参加された皆様から叱咤激励のお言葉を頂きました。
この裁判で圧倒的な勝利を得たのも応援していただいた皆様のお陰です。本当にありがとうございました。
私たちも微力ながら、南京大虐殺の渦中で家族を惨殺された夏淑琴さんの名誉の回復を支援できたと自負しています。
しかし、この裁判が終わっても歴史歪曲派との闘いは終わりません。加害の事実を歪め、戦争被害者を侮辱する勢力を許してはならないのです。今後とも厚いご支援をお願いします。
・・南京への道・史実を守る会・・・・・・・
URL:http://www.jijitu.com
<南京虐殺>名誉棄損2審も賠償認める 出版元側敗訴
南京虐殺(1937年)の生存者、夏淑琴さん(79)が書籍で「偽の被害者」と指摘されたとして、著者らに1500万円の賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が21日、東京高裁であった。柳田幸三裁判長は著者の東中野修道・亜細亜大教授と出版元の展転社(東京都)に400万円の支払いを命じた1審・東京地裁判決(07年11月)を支持し、双方の控訴を棄却した。
夏さんは、米国人牧師が南京の状況を記録した資料に「8歳の少女」として登場し、戦後は証言活動を続けている。東中野教授は98年出版の「『南京虐殺』の徹底検証」に「『8歳の少女』は夏さんとは別人。夏さんは事実を語るべきだ」と記していた。柳田裁判長は「指摘が真実との証明はなく、夏さんの名誉感情を著しく侵害した」と判断した。
展転社は「不当判決だ。上告の方向で検討している」とコメントした。夏さんは「今日の勝訴は大変感動しました。被告が上告した場合、最後まで闘う」と話している。【銭場裕司】
【毎日新聞】(5月21日21時50分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080521-00000124-mai-soci
◆ 夏淑琴名誉毀損訴訟・東京高裁判決要旨
http://www.suopei.org/saiban/kashukukin/kousai_hanketsu_yousi.html
南京大虐殺被害者の象徴とされる夏淑琴さん(79)が書籍で「偽者」と指摘されたとして、著者の東中野修道・亜細亜大教授(60)と出版社に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は21日、名誉棄損を認め、400万円の支払いを命じた一審判決を支持し、双方の控訴を棄却した。
柳田幸三裁判長は、被害の根拠とされた英文資料に登場する女性について、「一審では夏さんとは別人と争うなど存在を認めていたのに、架空の人物と主張を変えた。明らかに矛盾がある」と指摘。資料を「創作話」とする東中野教授側の主張を退けた。
【時事通信】(5月21日21時1分配信)
◎ 夏淑琴さん裁判、高裁でも勝訴!
南京への道・史実を守る会より、夏淑琴さん裁判控訴審の判決と当日の模様を報告します。(重複して受け取られた場合はお許し下さい)
5月21日、東京高等裁判所824号法廷にて、平成19年(ネ)第6002号損害賠償等反訴請求控訴事件(夏淑琴さん名誉毀損裁判・控訴審)の判決が下されました。
双方の控訴は全て棄却されましたが、第一審被告(東中野教授及び展転社)は一審原告(夏淑琴さん)に対し合計400万円の賠償金支払いが命じられました。
(「南京虐殺の徹底検証」については300万円、その中国語版・英語版については50万円の慰謝料、加えて弁護士費用50万円)
残念ながら東中野氏に対する謝罪広告などの要求は退けられましたが、昨年11月の地裁判決の賠償金400万円は維持されたのです。歴史歪曲派に対する完全勝利と言えるでしょう。
この日も裁判所前で開廷前に1時間ほど、チラシ配布など宣伝活動を行いましたが、嫌がらせが目的の右翼グループは一人もやって来ませんでした。一昨年から始まったこの裁判は毎度の右翼の罵声が名物だったのですが、被告側の論理破綻が暴かれるにつれて彼らの関心も薄れていったようです。
傍聴席は39人分のところ、45名の方々が抽選に並んで下さいました。やや寂しい人数でしたが、東中野支持派も裁判の行方をあきらめた結果、このような人数になったのかもしれません。
ところで、この控訴審に臨んで少なからぬ不安もありました。5月21日に判決は出ず弁論継続になる余地もあった点と、被告側が控訴審の段階になってから始めた主張です。
ジョン・マギー牧師が南京事件の被害の模様を撮影したフィルムがどこで現像されたのか不明な点を突き、
「あのフィルムは、実は南京事件を映したものではなく、事前に用意された全く無関係の映像だ。従って(夏淑琴さん一家の被害も記録されている)フィルム解説文など単なる創作だ!」
という主張を始めたのです。
実際に南京事件の被害者・生存者が映っているフィルムを、全く別物だと主張する荒唐無稽さには呆れますが、たしかにあのフィルムが現像された場所を示す資料は見当たりません。
しかし、結局は3月17日の第一回のみで結審の形となり、杞憂だったと思い知らされたのです。
判決はこの主張に対し、
「東中野氏の『南京虐殺の徹底検証』は、マギーフィルムの解説文を元に夏淑琴さんは事件の被害者とは別人だという推論を行っており、しかも一審ではその主張を元に陳述を行っていた。従来の主張をひっくり返すような主張は採用できない」
という趣旨の指摘を行い、この主張を退けました。全く当然の指摘です。フィルム解説文が創作だとしたら、それを唯一の拠り所としていた東中野氏の推論も無意味になることが分からなかったのでしょうか?
判決言い渡しは「各控訴をいずれも棄却する。控訴審の裁判費用はそれぞれの負担とする」と述べただけで、わずか数十秒で終わりました。あっけない終わり方でしたが、南京事件否定派の重鎮?である東中野氏の主張が完全に否定された瞬間でもありました。
そして、弁護団の紅一点である菅野弁護士が、昨年の地裁判決に続いて裁判所正面玄関で「勝訴」の旗を掲げ、フラッシュの嵐が起こりました。被告側は最高裁に上告するのではないかと思いますが、この裁判では最高裁が弁論を再開するとはとても考えられず、百人斬り裁判と同様にそのまま棄却となることでしょう。この歓喜の瞬間を味わえないと思うといささか残念です(笑)
続いて弁護士会館で行われた報告集会には多くの方々が参加してくださいました。昨年の地裁判決文で被告を厳しく断じた文言は手が加えられたものの、要所は引き継がれたこと、判決内容が後退しなかったことなど、弁護団から解説が行われました。そして限られた時間の中で、参加された皆様から叱咤激励のお言葉を頂きました。
この裁判で圧倒的な勝利を得たのも応援していただいた皆様のお陰です。本当にありがとうございました。
私たちも微力ながら、南京大虐殺の渦中で家族を惨殺された夏淑琴さんの名誉の回復を支援できたと自負しています。
しかし、この裁判が終わっても歴史歪曲派との闘いは終わりません。加害の事実を歪め、戦争被害者を侮辱する勢力を許してはならないのです。今後とも厚いご支援をお願いします。
・・南京への道・史実を守る会・・・・・・・
URL:http://www.jijitu.com
<南京虐殺>名誉棄損2審も賠償認める 出版元側敗訴
南京虐殺(1937年)の生存者、夏淑琴さん(79)が書籍で「偽の被害者」と指摘されたとして、著者らに1500万円の賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が21日、東京高裁であった。柳田幸三裁判長は著者の東中野修道・亜細亜大教授と出版元の展転社(東京都)に400万円の支払いを命じた1審・東京地裁判決(07年11月)を支持し、双方の控訴を棄却した。
夏さんは、米国人牧師が南京の状況を記録した資料に「8歳の少女」として登場し、戦後は証言活動を続けている。東中野教授は98年出版の「『南京虐殺』の徹底検証」に「『8歳の少女』は夏さんとは別人。夏さんは事実を語るべきだ」と記していた。柳田裁判長は「指摘が真実との証明はなく、夏さんの名誉感情を著しく侵害した」と判断した。
展転社は「不当判決だ。上告の方向で検討している」とコメントした。夏さんは「今日の勝訴は大変感動しました。被告が上告した場合、最後まで闘う」と話している。【銭場裕司】
【毎日新聞】(5月21日21時50分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080521-00000124-mai-soci
◆ 夏淑琴名誉毀損訴訟・東京高裁判決要旨
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