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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

河原井さん・根津さん集会で報告

2016年03月19日 | こども危機
 ◆ 請願と情報開示請求、連続学習会が奏功
   ~滋賀県と大田区「育鵬社教科書採択ゼロ」勝ち取る

永野厚男・教育ジャーナリスト


 都教委の"君が代"強制と闘う、河原井純子・根津公子両元教諭を「解雇させない会」は2016年3月6日、東京都国分寺市で「教科書を取り戻す」集会を開いた。
 始めに、滋賀県在住の木村幸雄さんが「数年前、公立中学校の卒業式に公民館館長として参列し、"君が代"時、不起立。後刻、それを咎(とが)めた市役所の上司に対し、『公民館は人権を大事にすることを伝える所だ』と反論し処分もなかった」、というエピソードを紹介。
 滋賀県教育委員会は05年、3校ある県立中高一貫校の1校で、"国防の義務"や改憲を煽る、"新しい歴史教科書をつくる会"のメンバーらが執筆した扶桑社の教科書を採択。使用は4年間続いた。
 同県は20ある採択地区の全教育委員会が、教科書採択時の会議を非公開にしていた。そこで木村さんは「市民・保護者の会」を結成。
 「偏狭なナショナリズムでなく人権重視の教科書採択、会議公開」などを求める請願を各市教委に提出。15年までに16地区の会議を公開させ、市民の傍聴・監視下、育鵬社版(つくる会から分派)の採択ゼロを勝ち取り続ける。
 木村さんは請願に加え、選定委員会や採択地区協議会の記録などの情報開示請求も奏功した、と語る。
 次に北村小夜・元大田区立小中教諭(90歳)は、大田区では11年は油断があり(全28中学校のうち学校意見を上げたのは2校、区民意見は6割が育鵬社)、同社の採択を許してしまったと分析。
 北村さんは以下の取り組みを行い、15年8月5日の教委の会議では、90人の定員に212人が傍聴し、6人の委員中、4人が東京書籍を推し育鵬社を阻止した、と述べた。
  ①12年から退職教員と区民がチームで、各教科書の比較対比表を作り、連続学習会を開催、
  ②15年は早期に教科書展示会の時間延長や会場数増を要請し実現、
  ③「学校や区民の意見尊重」も教委に要請、全28中学が学校意見を上げ、区民意見も1382件に上り、その多数が育鵬社反対(調査委員会報告)。
 ところで文科省は、小中学校の学習指導要領で音楽科だけ共通教材を指定(他教科にこんな"共通教材"の指定などない!)。その歌唱共通教材の多数を占める文部省唱歌は、「軍国主義・超国家主義的」ゆえに戦後、一旦教科書から姿を消した歌が少なくない。
 だが、「いで軍艦に乗組みて我は護らん海の国」という7番等は外し「3番まで」とする小細工により、「我は海の子」は1958年の指導要領以降、小6の歌唱共通教材で再登板し、08年3月告示の現指導要領に至るまで、ずっと明記。歌唱共通教材ゆえ、「我は海の子」は小6の教科書(といっても音楽は寡占化で、今や2社しかない)には必ず載っている。
 同じく文部省唱歌である「白地に赤く日の丸染めて」で始まる「日のまる」も、「ああ勇ましや」を「ああ美しい」にするなど、一部歌詞を変えただけで58年以降、ずっと小1の歌唱共通教材に指定。
 集団的自衛権行使を可能にする戦争法の「強行採決→施行」の下、これら一部"装い"を変えての「戦前・戦中からの連続性」に対し、北村さんは警鐘を鳴らし続ける。
 ・・・この記事は教育ジャーナリスト・永野厚男さんが、『週刊新社会』2016年3月22日号の記事に執筆した内容に、一部修正、加筆したものです。
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