パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 根津公子の都教委傍聴記(2025年1月9日)

2025年01月11日 | 暴走する都教委と闘う仲間たち

 ★ 指示・命令による管理から教員を解き放つこと (レイバーネット日本)
   ~不登校・いじめも教員の精神疾患、さらには、教員不足も教育行政が招いたこと

 今日の都教委定例会の公開議題は、①都立学校における「新たな教育のスタイル」の検討について ②2024年度都教委児童・生徒等の表彰について。
 非公開議題の懲戒処分等は、議案に5件(重い処分案件)、報告に1件(戒告あるいは訓告)。毎月、よくもこんなに、と思ってしまいます。
 働く環境の劣悪さと犯罪件数は相関関係にあるのでは、と思ってしまいます。

 ★ 都立学校における「新たな教育のスタイル」の検討について

 「デジタル化の進展のほか、国際情勢の不安定化等、子どもたちの育つ環境には大きな変化が生じており、社会の変化に柔軟に対応しながら『人』を育む教育の在り方を追求し、子どもたちの学びを支えていくことが必要」とした、昨年3月に都教委が出した「東京都教育ビジョン第5次」に基づき、
 【子どもの意欲を引き出す「学び」、社会全体の力を生かした「学び」、ICTの活用による「学び」】を目指して、【自ら未来を切り拓く力の育成、誰一人取り残さないきめ細やかな教育の充実、子どもたちの学びを支える教職員・学校の力の強化】の施策を展開すると言います。

 これは都教委独自の施策ではなく、中教審答申「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(個別最適な学び=指導の個別化と学習の個別化、主体的・対話的で深い学び 2021年)、
 中教審諮問の教育課程の基準等の在り方について(柔軟な教育課程の在り方等 2024年)に倣っての施策のようで、

「教育ビジョンを着実に実現するため、総合教育会議(知事が主催 筆者)や国の検討状況を踏まえ、生徒の個性を重視した『個別最適な学び』、デジタルとリアルの併用、『協働的な学び』など、都立高校における『新たな教育のスタイル』について検討する必要がある」

 と言います。
 「新たな教育のスタイル」のイメージについては、デジタルとリアル(大学や企業等を活用等)の最適な組み合わせで「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指すのだそうです。さらに、「学習指導要領等の柔軟な運用」「都立高校の教員や組織の見直し」などについても今後検討していくと言います。

 上(=校長を介した都教委)からの指示・命令に従順になることを長いこと、刷り込まれ、業績評価をされてきた今の教員たちに「学習指導要領の柔軟な運用」ができるでしょうか。
 都教委が言う「柔軟な運用」と教員個人あるいは教員集団のそれとが異なった時に、都教委が圧力をかけることはないのでしょうか。
 また、デジタルでの自宅学習を教員がサポートすることで教員の多忙化がさらに進むことはないのでしょうか。
 そんなことを想いながら傍聴していましたが、「新たな教育のスタイル」の実現のために変わるべきは都教委指示・命令による管理から教員を解き放つことこそが都教委のすべきことです。

 報告では、子どもたちの不登校・いじめや教員の精神疾患が過去最高となったことについて、提案者(都立学校教育部長)は一言も触れませんでした
 「デジタルによる学び」と「単位の柔軟な認定」で不登校のこともたちに対応するというのかもしれませんが、それが本当の解決につながるとは、筆者には思えませんでした。
 子どもたちは学校が楽しく、自身の居場所があれば、学校に来ます。学校に子どもの居場所がない、すなわち、教員を忙しくさせ学校から子どもを排除したのは、都教委の教育行政だという視点がまったくありません。
 不登校・いじめ教員の精神疾患、さらには、教員不足教育行政が招いたことであることに留意してほしいものです。

 「誰一人取り残さないきめ細やかな教育の充実」等を掲げるのであれば、都教委は教育にお金をかけるべきです。
 山梨県では2021年に小学校1年生から25人学級を始め、来年度は5年生まで25人学級になると言います。
 少人数学級にすれば、教員は子どもたちの声を聴いてあげられるし、いじめや不登校の子どもたちにも耳を傾けることができます。学校全体の事務作業も軽減されます。都教委のなかでは、こんな議論はないのでしょうか、文科省の言いなりで。

 それから、デジタル教育について一言補足です。不登校の子どもがデジタルを使うことは手段として必要なので、それ以外のことで。
 日本の学校はコロナ禍のなか、「一人1台の端末」が整備され、デジタル教育に突っ走っていますが、日本よりも早くから始めた国々では、使用禁止へ動いている国がたくさんあります。
 フランス(2018年から禁止)、イタリア(2022年)、フィンランドイギリス(2023年)、オランダオーストラリア(2024年)、アメリカスペインポルトガルでは州によって禁止。
 子どもたちが書くことによって字を覚え、考える力も育つことに気づいた結果だそうですが、筆者も書くのではなく打つことによって、漢字が体から抜けて行っています・・・。

『レイバーネット日本』(2025-01-10)
http://www.labornetjp.org/news/2025/0109nezu

 


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