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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

東京都教育管理職A選考と主幹級職選考は制度破綻!

2011年12月20日 | 暴走する都教委
 <2011年>東京都教育管理職選考
 ◆ A選考と主幹級職選考は制度破綻!


 『都政新報』に、今年の教育管理職選考結果の記事が載った(2011/12/2)<下記参照>。しかし、「選考結果一覧表」が無く、見出しも機械的な数字だけで、例年になく素っ気ない。そこで、独自に経年変化の表を作り、ここ10年ほどの数字の推移を見ると、ビックリするほど悲惨な実態が浮き彫りになってくる。
 【教育管理職】
 受験者数・合格者数・倍率とも過去最低の数字。特に「A選考」の数字を見て欲しい。制度発足当時は800人以上もいた受験者が、10年経ってみたらたった25人(33分の1)。たまらず推薦区分(一次試験免除)を導入して合格者55人を確保したようだが、ここまでそっぽを向かれて、制度を維持する意味はとっくに消失している。これからどうするつもりなのか。

 《教育管理職選考》
 A選考(若手登用)行政管理職又は学校管理職の候補者を選考
 B選考(中堅登用)原則として学校管理職の候補者を選考
 C選考(ベテラン登用)即任用する学校管理職を選考

 選考合格後管理職として任用されるまで、A選考は五年間、B選考は二年間ジョブ・ローテーションや管理職候補研修を行う。合格者数のAとBの比率は概ね1:3で、Aを一定数確保し、Bで必要数を調整する。
 〔教育管理職任用制度の改正について(1999/6/10)〕


 【主幹級職】
 区分A(申込制)・区分B(推薦制)が消えた。
 自発的に主幹になろうとする者(区分A)が年々減少して、校長の推薦(区分B)で不足分を補ってきて、08年からはその数が逆転していた。不人気校の入試並みの、定員割れ・二次募集は08年から続いている。
 完成予定年度は、小中学校が07年、高校が09年とされていたが、合格者数が採用予定数(02年~06年は1,000人、07年以降は900人)を上回ったのは最初だけで、充足率は6割~7割にとどまり、その後慢性的な未充足状態が続いている。
 受験対象年齢を下げたり、小中の必置主幹数を減らしたり、二次募集をかけたり、校長推薦制を導入したり、あの手この手のテコ入れも、根本的な不人気状態には焼け石に水でしかない。
 東京都の制度設計の誤りは、10年経って益々顕著になってきている。他府県は、この実態からよく学ぶべきである。

 【校長職】
08年以降受験者が1,000人割れ、低倍率の傾向は変わらない。特に昨年度から1倍台に低下した中学校では、再任用校長を100人規模で補っている状態のようである(公式の数字不明)。

 【都が考えるこれからの10年?】
 賃金確定闘争中に、都側から『これからの人事制度の基本的方向』(平成23年11月)という文書が公開された。管理職のなり手不足はオール都庁に共通の課題のようで、その対策らしきものも盛り込まれている。
 どうするつもりかと思ったら、受験者を上司が推薦ないし任命する(係長職の本人申込制の廃止の検討)上意下達の強化とか、上に厚く下に薄い賃金体系での利益誘導の強化(職責にふさわしい処遇)とかである。
 目を疑うだろう。これまでの失敗したやり方をより一層強化することしか考えていない。これでは逆効果でますます深みにはまっていくのは目に見えている。これまでの失敗から何も学んでいないのである。この見誤った方向を、これからさらに10年続けるのだという・・・
 【現場のモチベーション回復こそ真の解決】
 では、どうすればいいのか。
 現場のモチベーションの低下は、上意下達利益誘導では解決しない。逆にそのことが、モチベーション低下の根本原因になっているのだから、それを止めることこそ唯一の正しい解決の道なのである。
 すなわち、生徒の利益とは無関係に、教員統制管理のためだけに導入された、「人事評価=業績評価制度(Cを2~3割)」「主任制度・主幹制度」などを直ちに廃止する。同じく教員の自由を制約することだけをねらいとした「10・23通達」「職員会議挙手採決禁止通知」を撤回する。
 その方向以外に、現場のモチベーションを回復する手立てはない。上からではなく、下からの教員集団の協働活動を生かすことによってこそ、能力・資質の向上や学校組織の活性化は、実現される。
 教員に「給与」や「昇進」はインセンティブにならないのは、あの民間出身の藤原和博氏(杉並区和田中元校長)ですら校長時代に、学校が民間企業とは違うところとしてちゃんと見抜いていたのだ。
 ・・・また、教員集団は私企業のサラリーマンのように「昇進」や「賞与」を動機づけとして動いてはくれない。多くの教員は「あんなに事務仕事をやらされるなら教頭や校長にはなりたくない」と思っている。だから、「この仕事をやり遂げたらボーナスを20万円増額するから」というインセンティブで釣ることもできない。事実、授業がうまく部活指導に熱心な教員ほど、最後まで生徒とともにありたいと願っているのだ。だから、「昇進」や「賞与」で教員を動機づけようと考える中途半端な民間人が校長に就任すると失敗するケースが多い。
http://wind.ap.teacup.com/people/1358.html
 【人事担当部門の責任】
 上を見れば教育管理職の受験者激減、下を見れば教員採用試験の不人気(二次募集、他県の不合格者の繰り上げ採用)、中では病休者の急増(その7割が精神疾患)や定年退職者数を上回る早期退職者数。
 民間企業でこれだけ上から下まで人事面の停滞が長期にわたって続いたら、責任者の管理能力が問われないでは済まないだろう。そして未だその反省すら正しく出来ていないのである。
 『都政新報』(2011/12/2)から
 ◆ 2011年度教員昇任選考 教育管理職に393人合格

 都教育庁人事部は11月30日、2011年度の公立学校校長職候補者選考、教育管理職選考、主幹教諭選考、主任教諭選考の合格者を発表した。
 校長選考の合格者は278人で、倍率は3・4倍、教育管理職選考は393人で1・2倍、主幹教諭選考は675人で1・0倍、主任教諭選考は2517人で1・2倍となった。いずれも昨年度とぼぼ同程度の倍率。
 校長選考には953人が受験し、このうち職務論文の第一次選考に550人が合格し、個別面接試験を経て、最終合格者278人を決定した。
 校種別では、小学校が147人で、倍率は4・2倍と最も高く、次いで高等学校31人、4・0倍、特別支援学校14人、2・6倍、中学校86人、2・0倍となった。
 教育管理職選考の受験者数は483人で、昨年度の532人から49人減少した。このうち、第一次選考合格者(推薦区分等を含む)は437人、最終合格者は393人で、倍率は1・2倍となった。
 選考区分別の合格者では、A選考(択一試験と論文、専門論文、個別面接)が55人、B選考(択一試験と論文、個別面接)が311人、C選考(個別面接)が27人となっている。
 主幹教諭選考は699人が受験し、675人が合格、倍率は昨年度と同様となった。
 昨年度から会場試験となった主任教諭選考では、昨年度の2750人を260人ほど上回る3014人が受験し、2516人(倍率1・2倍)が合格した。

『都政新報』(2011/12/2)

■2010年度「異常な不人気が続く東京都教育管理職選考」(2010/12/24)
http://wind.ap.teacup.com/people/4735.html
■2009年度「教育管理職選考崩壊の実態(2)」(2009/12/25)
http://wind.ap.teacup.com/people/3687.html
■2009年度「教育管理職選考崩壊の実態(1)」(2009/12/24)
http://wind.ap.teacup.com/people/3686.html
■2008年度「管理職選考倍率激減の危機」(2009/1/7)
http://wind.ap.teacup.com/people/2904.html
■2008年度「主幹制度 無惨な未達成」(2009/1/6)
http://wind.ap.teacup.com/people/2902.html
■2007年度「今年も定員割れ 主幹級職選考」(2007/12/16)
http://wind.ap.teacup.com/people/2050.html
■2006年度「受験者数低迷に歯止めかからず」(2006/12/25)
http://wind.ap.teacup.com/people/1338.html
○教育管理職任用制度の改正について(平成11年6月10日)10年前の絵に描いた餅

http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/kohyojoho/reiki_int/reiki_honbun/g1012494001.html

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