◆ ちいさな弾圧事件 (東京新聞【本音のコラム】)
憲法記念日の五月三日国会前集会が始まる前、参加しようとした市民が機動隊員に阻止され、腕を振り払っただけで「胸に手が触れた」として現行犯逮捕された。公務執行妨害の容疑である。
わたしは現場にいなかったが、いままでなんども国会前集会に参加するとき、機動隊員に阻止されたり、迂回(うかい)を命じられたりしたが、主催者だ(本当のことです)と抗議したり、一般通行人のカオをして通り抜けてきた。
今回逮捕されたのは全国一般労組東京南部の役員。だからか、翌朝、自宅へ六人もの捜査員が到着、徹底家宅捜索、パスポートまで押収した。重大犯罪あつかいで十日現在、まだ勾留中である。
「このような些末(さまつ)な「事件」で、逮捕、家宅捜索、一週間にわたる勾留は異常だ。
内田雅敏弁護人は「証拠隠滅、逃亡のおそれなどを具体的に検討することなく、漫然と認定して勾留したのは、許せない」と抗議している。
安倍・菅内閣が長期化するにつれて、治安対策が厳しくなってきた。
自分の身内には甘く、批判者には厳しいのは暴政である。
表現・集会の自由と個人の人権尊重は、平和憲法を支える基本精神だ。
関西での生コン支部への不当労働行為、逮捕権の乱用、幹部の六百日以上の長期勾留などは、憲法違反といえる大事件だ。
集会、デモの弾圧、人権侵害は忍び寄る戦争といえる。
『東京新聞』(2021年5月11日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
憲法記念日の五月三日国会前集会が始まる前、参加しようとした市民が機動隊員に阻止され、腕を振り払っただけで「胸に手が触れた」として現行犯逮捕された。公務執行妨害の容疑である。
わたしは現場にいなかったが、いままでなんども国会前集会に参加するとき、機動隊員に阻止されたり、迂回(うかい)を命じられたりしたが、主催者だ(本当のことです)と抗議したり、一般通行人のカオをして通り抜けてきた。
今回逮捕されたのは全国一般労組東京南部の役員。だからか、翌朝、自宅へ六人もの捜査員が到着、徹底家宅捜索、パスポートまで押収した。重大犯罪あつかいで十日現在、まだ勾留中である。
「このような些末(さまつ)な「事件」で、逮捕、家宅捜索、一週間にわたる勾留は異常だ。
内田雅敏弁護人は「証拠隠滅、逃亡のおそれなどを具体的に検討することなく、漫然と認定して勾留したのは、許せない」と抗議している。
安倍・菅内閣が長期化するにつれて、治安対策が厳しくなってきた。
自分の身内には甘く、批判者には厳しいのは暴政である。
表現・集会の自由と個人の人権尊重は、平和憲法を支える基本精神だ。
関西での生コン支部への不当労働行為、逮捕権の乱用、幹部の六百日以上の長期勾留などは、憲法違反といえる大事件だ。
集会、デモの弾圧、人権侵害は忍び寄る戦争といえる。
『東京新聞』(2021年5月11日【本音のコラム】)
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