◆ 県民との詣し合いの積み重ね、県教委を動かす
―千葉県教委、密室での教科書採択を「公開」に― (教科書ネット)
2018年8月29日、千葉県教育委員会会議は、初めて、県立中学校(千葉中学校・東葛飾中学校)の「道徳」教科書採択を「公開」で行い、両校とも、「日本文教出版版」を採択しました。
会議の冒頭、県教育長は、官僚行政的な言い回しですが、前回2015年の「非公開・無記録」という密室での採択(県内公立校で唯一、育鵬社版歴史・公民を採択)を反省、「道徳が教科化されて初めての教科書採択であり、県民の関心も高いことから、公開での審議とする」(議事録)と説明し、最初に「教科書と教育を考える千葉県民の会」の「県立中学校教科用図書採択に関する会議の公開についての緊急請願」に対して、「今回は公開する、前回採択時の文書で存在するものは全て公表している」と報告しました。
千葉県15採択地区中「公開による採択」は、市原市・千葉市・船橋市の3市だけで、他は全て採択「非公開」で、その故か、小学校道徳では印旛・海匝・安房と採択地区の20%で「教育出版」が採択されました。
そのような千葉県で県立中学の採択が「公開」で行われた意義と影響は大きいと思われます。
千葉県の教育は、2009年、日本教育再生機構の設立発起人・代表委員の1人、俳優森田健作が知事に当選して以来・県議会の過半数を占める自民党議員の大部分(一時は全員)が日本会議に所属し、教育委員会を始め教育行政は麗澤大学教授たちが支配するようになり急速に右傾化しました。
全国に先駆けて2012年から「実教出版高校日本史」の攻撃を始め、日本会議地方議員連盟の幹部斉藤守県議を先頭に日本会議派議員たちは本会議で何度も同書の南京事件・太平洋戦争の各国被害者数・国旗国歌法の記述を非難、教科書の教育委員会採決を要求しました。
県教委は、その圧力に屈して、同教科書採択校に詳細な授業計画の提出、管理職による授業監視と報告の強制などを繰り返し、2014年には県立中学校の教科書採択を教育委員会会議の議決事項に変更しました。
教科書ネット千葉は千葉大学研究者とともに、「教科書と教育を考える千葉県民の会」を結成、三輪定宣千葉大名誉教授を代表に、「教育共同」を旨に、船橋や千葉、柏、市川、佐倉など、地域を中心に教育集会を重ね、採択の度に県内全教育委員に採択公開を呼びかけ、資料や情報を提供する一方、共産党県議団の協力で県指導課との懇談を繰り返し、請願や公開質問を行ってきました。
懇談は、現場教員たちから採択妨害や授業干渉の追究や保護者の教育要望などが語られ、十数回に及びました、教育委員会会議の議事録がつくられるようになったり、2017年には実教高校日本史採択妨害が止まるなど、要求の一部は実りつつあります。
県立中学校教科書採択公開は、2016年3月、共産党県議岡田幸子文教委員の仲介で、指導課副課長と県民の会の間で「平成30年の教科書採択時までに教育委員会会議のあり方について、採択のやり方や、公開についても含めて検討をし、それに沿った形で運営する」と文書で確認したことが基礎になり、その年8月の教育委員会会議で確定されていましたが、実現には2年半の厳しい努力を必要としました。
(かわなべみつひろ)
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 122号』(2018.10)
―千葉県教委、密室での教科書採択を「公開」に― (教科書ネット)
川鍋光弘(教科書ネット千葉)
2018年8月29日、千葉県教育委員会会議は、初めて、県立中学校(千葉中学校・東葛飾中学校)の「道徳」教科書採択を「公開」で行い、両校とも、「日本文教出版版」を採択しました。
会議の冒頭、県教育長は、官僚行政的な言い回しですが、前回2015年の「非公開・無記録」という密室での採択(県内公立校で唯一、育鵬社版歴史・公民を採択)を反省、「道徳が教科化されて初めての教科書採択であり、県民の関心も高いことから、公開での審議とする」(議事録)と説明し、最初に「教科書と教育を考える千葉県民の会」の「県立中学校教科用図書採択に関する会議の公開についての緊急請願」に対して、「今回は公開する、前回採択時の文書で存在するものは全て公表している」と報告しました。
千葉県15採択地区中「公開による採択」は、市原市・千葉市・船橋市の3市だけで、他は全て採択「非公開」で、その故か、小学校道徳では印旛・海匝・安房と採択地区の20%で「教育出版」が採択されました。
そのような千葉県で県立中学の採択が「公開」で行われた意義と影響は大きいと思われます。
千葉県の教育は、2009年、日本教育再生機構の設立発起人・代表委員の1人、俳優森田健作が知事に当選して以来・県議会の過半数を占める自民党議員の大部分(一時は全員)が日本会議に所属し、教育委員会を始め教育行政は麗澤大学教授たちが支配するようになり急速に右傾化しました。
全国に先駆けて2012年から「実教出版高校日本史」の攻撃を始め、日本会議地方議員連盟の幹部斉藤守県議を先頭に日本会議派議員たちは本会議で何度も同書の南京事件・太平洋戦争の各国被害者数・国旗国歌法の記述を非難、教科書の教育委員会採決を要求しました。
県教委は、その圧力に屈して、同教科書採択校に詳細な授業計画の提出、管理職による授業監視と報告の強制などを繰り返し、2014年には県立中学校の教科書採択を教育委員会会議の議決事項に変更しました。
教科書ネット千葉は千葉大学研究者とともに、「教科書と教育を考える千葉県民の会」を結成、三輪定宣千葉大名誉教授を代表に、「教育共同」を旨に、船橋や千葉、柏、市川、佐倉など、地域を中心に教育集会を重ね、採択の度に県内全教育委員に採択公開を呼びかけ、資料や情報を提供する一方、共産党県議団の協力で県指導課との懇談を繰り返し、請願や公開質問を行ってきました。
懇談は、現場教員たちから採択妨害や授業干渉の追究や保護者の教育要望などが語られ、十数回に及びました、教育委員会会議の議事録がつくられるようになったり、2017年には実教高校日本史採択妨害が止まるなど、要求の一部は実りつつあります。
県立中学校教科書採択公開は、2016年3月、共産党県議岡田幸子文教委員の仲介で、指導課副課長と県民の会の間で「平成30年の教科書採択時までに教育委員会会議のあり方について、採択のやり方や、公開についても含めて検討をし、それに沿った形で運営する」と文書で確認したことが基礎になり、その年8月の教育委員会会議で確定されていましたが、実現には2年半の厳しい努力を必要としました。
(かわなべみつひろ)
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 122号』(2018.10)
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