● 安保法制懇 VIPな舞台裏
41万円の部屋で会合 食事付き
国民の税金で、二時間二十万円余の室料がかかる高級ホテルで食事もしつつ、国民の生死に関わる課題を議論-。解釈改憲の土台をつくった安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の非公式会合の舞台裏が、民間団体が情報公開請求した文書から分かった。(林啓太)
安保法制懇の会合は二〇一三年二月から翌年五月までに七回、首相官邸で開かれた。政府の答弁書(六月二十七日付)によると、第六回会合までの主な経費の合計は、委員への「諸謝金」(原則一人当たり一万八千ー二万円)が約百三十九万円、交通費が約百六十七万円となっていた。
これに加えて「非公式」と銘打たれた会合も、帝国ホテル(東京都千代田区)で八回開催。議事要旨さえ公開しない密室性が批判された会合だ。
ここでは諸謝金として百二十三万円、交通費が約二十二万円、飲食代など「会議費」は約四十三万円、会場代に約百八十一万円が支出されたことも答弁書に記されていた。
問題はその非公式会合の経費の詳細だ。その中身が民間団体の軍事問題研究会が安保法制懇の事務局である内閣官房国家安全保障局に請求し、このほど公開された文書から判明した。
複数回使われた「楓の間」は二時間の部屋代が二十万五千二百円(税込み)。少し値切ったとはいえ、一回の会議で「室料」と「サービス料」で計四十一万円を支払っていた。ホテルの案内では、部屋は広さ約九十平方メートル、天井までの高さ約三メートル。シャンデリアのような電灯が付く。
● 官僚もお相伴
二月十八日の会合の見積書によると、一人計四千百円分の「ばらちらし」とコーヒーも振る舞われた。人数は十八人で、北岡伸一座長代理ら委員のほか、事務方の官僚たちもお相伴にあずかっていた形だ。
なぜ、会場が役所ではなく、役人の食事代まで含まれるのか。
国家安全保障局が会計の説明に使った「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会第4回非公式会合を帝国ホテル(食事つき)で開催する理由について」(二月八日付)という文書からは、官僚たちの世間からは逸脱した常識が浮かび上がる。
役所を使わなかった理由は開催の事実が漏れないためとしているが、それでなぜ高級ホテルを使うのか。
その理由として「委員及び礒崎(陽輔・首相)補佐官が出席するにふさわしい会議室及び関連サービスを提供する場所として政府関係機関がよく利用するホテルが、価格設定に照らしたサービスの質、知見等の観点から適切」だという。
異様なのは「北岡座長代理や細谷(雄一)委員、村瀬(信也)委員は著名大学の学長・教授であることを考えれば、各国のVIPと同様の処遇を行うこととしても一般常識に照らして過度な接受にはあたらず」という解釈だ。
食事付きにした点については「夕食を提供することが、議論に集中できる環境を整えるという観点からも必要」とも。別の文書によると、三月十七日の会合でも、一人当たり計四千百円分の「天重」とコーヒーがサービスされた。
いずれの文書にも、冒頭に「機密性2情報」と記される。国家安全保障局の担当者は『こちら特報部』の取材に「『機密性2』は、『部内限り』という位置付け。一般の文書と扱いに大差はない」と釈明した。
加えて「出席者の『格』などを考慮して、ホテルを会場に食事を出すのは一般的な有識者会議でもやっている。政府側の出席者に食事が出たといっても、協議の参加者だけで会場設営やメモ取りの係まで食べたわけではない」と語った。
『東京新聞』(2014/8/13【ニュースの追跡】)
41万円の部屋で会合 食事付き
国民の税金で、二時間二十万円余の室料がかかる高級ホテルで食事もしつつ、国民の生死に関わる課題を議論-。解釈改憲の土台をつくった安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の非公式会合の舞台裏が、民間団体が情報公開請求した文書から分かった。(林啓太)
安保法制懇の会合は二〇一三年二月から翌年五月までに七回、首相官邸で開かれた。政府の答弁書(六月二十七日付)によると、第六回会合までの主な経費の合計は、委員への「諸謝金」(原則一人当たり一万八千ー二万円)が約百三十九万円、交通費が約百六十七万円となっていた。
これに加えて「非公式」と銘打たれた会合も、帝国ホテル(東京都千代田区)で八回開催。議事要旨さえ公開しない密室性が批判された会合だ。
ここでは諸謝金として百二十三万円、交通費が約二十二万円、飲食代など「会議費」は約四十三万円、会場代に約百八十一万円が支出されたことも答弁書に記されていた。
問題はその非公式会合の経費の詳細だ。その中身が民間団体の軍事問題研究会が安保法制懇の事務局である内閣官房国家安全保障局に請求し、このほど公開された文書から判明した。
複数回使われた「楓の間」は二時間の部屋代が二十万五千二百円(税込み)。少し値切ったとはいえ、一回の会議で「室料」と「サービス料」で計四十一万円を支払っていた。ホテルの案内では、部屋は広さ約九十平方メートル、天井までの高さ約三メートル。シャンデリアのような電灯が付く。
● 官僚もお相伴
二月十八日の会合の見積書によると、一人計四千百円分の「ばらちらし」とコーヒーも振る舞われた。人数は十八人で、北岡伸一座長代理ら委員のほか、事務方の官僚たちもお相伴にあずかっていた形だ。
なぜ、会場が役所ではなく、役人の食事代まで含まれるのか。
国家安全保障局が会計の説明に使った「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会第4回非公式会合を帝国ホテル(食事つき)で開催する理由について」(二月八日付)という文書からは、官僚たちの世間からは逸脱した常識が浮かび上がる。
役所を使わなかった理由は開催の事実が漏れないためとしているが、それでなぜ高級ホテルを使うのか。
その理由として「委員及び礒崎(陽輔・首相)補佐官が出席するにふさわしい会議室及び関連サービスを提供する場所として政府関係機関がよく利用するホテルが、価格設定に照らしたサービスの質、知見等の観点から適切」だという。
異様なのは「北岡座長代理や細谷(雄一)委員、村瀬(信也)委員は著名大学の学長・教授であることを考えれば、各国のVIPと同様の処遇を行うこととしても一般常識に照らして過度な接受にはあたらず」という解釈だ。
食事付きにした点については「夕食を提供することが、議論に集中できる環境を整えるという観点からも必要」とも。別の文書によると、三月十七日の会合でも、一人当たり計四千百円分の「天重」とコーヒーがサービスされた。
いずれの文書にも、冒頭に「機密性2情報」と記される。国家安全保障局の担当者は『こちら特報部』の取材に「『機密性2』は、『部内限り』という位置付け。一般の文書と扱いに大差はない」と釈明した。
加えて「出席者の『格』などを考慮して、ホテルを会場に食事を出すのは一般的な有識者会議でもやっている。政府側の出席者に食事が出たといっても、協議の参加者だけで会場設営やメモ取りの係まで食べたわけではない」と語った。
『東京新聞』(2014/8/13【ニュースの追跡】)
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