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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

『はじめての防衛白書』批判、子どもたちを戦場に送るな!

2022年04月08日 | こども危機
 ◆ 小中学生に照準を合わせている自衛隊 (百万人署名運動全国通信)
東京賛同人 石原透(元教員)


 『はじめての防衛白書~まるわかり!日本の防衛~』が自衛隊防衛白書作成事務室により作成された(21年8月14日発刊)。
 対象は「小学校高学年以上のみなさん」で、目的は「日本の周りの安全保障環境や防衛省・自衛隊の取組について知ること」「防衛白書を読んでみて」というものだ。
 さらに防衛省は「『はじめての防衛白書(第2版)』をつくりませんか?“中高生記者”を募集、新聞部や文芸部(部単位)で」などと第2弾を宣伝し始めた。戦争に向けての「国防教育」を目指すものだと思う。
 ◆ 「総合的な学習の時間」を狙う

 文部科学省は2002年から実施した「学習指導要領」で、「総合的な学習の時間(総合学習)」を導入し、各省庁に対して、「総合的な学習」に応援・支援してくれとHPに出した。
 防衛省自衛隊は国の省庁(行政機関)のひとつとして、文科省の要請に応じて、できることを示した。(上表)今日それを年間を通じて行っている。
 自衛隊は「文科省が応援・支援を要請してきたからやっている」とする。『はじめての防衛白書』をそうした「活動の場」を通して宣伝することは簡単だ。
 防災訓練を名目に夏休みなどに行なっている。自衛隊の各県地方協力隊のホームページには児童・生徒の「活動」が写真入りで宣伝されている。要するに、「学校教育への介入」がターゲットにされている。
 その他にも、高校3年生に対しては自治体に自宅住所を提供させて(自治体は断われない仕組みになっている)、自衛隊勧誘の資料を送付するなどリクルート活動を行ってきている。
 「何で自衛隊から息子に勧誘の資料が届いたのか?」ととまどった家庭も多いと聞いている。
 不況下、自衛隊に入ると大学の奨学金を肩代わりしてくれるなどアメリカ並のリクルート対応もしている。
 ◆ 冊子の内容と国防教育

 この冊子は冒頭で、「抑止力」を強調している。「自衛隊が万全の態勢を整えているということを示すことで、他の国に『日本とは戦争をしたくない』と思わせ、戦争が起きないようにすることが自衛隊にとっての一番の勝利」と述べている。
 しかし、抑止力ではなく、他国とは戦争しない外交を基本にした安全保障のありかたを教えることこそ重要だ。
 アジア・太平洋戦争では国民約300万人が死亡。約2000万人の中国・朝鮮・アジアの人々が殺された。その反省から生まれた日本国憲法9条こそ大切にされなければならないのに、その点にはほとんど触れられていない。
 冊子では日本の防衛の基本政策として4点をあげている。
 「専守防衛」「軍事大国とならないこと」「非核三原則」「文民統制の確保」だ。
 ところが安倍元総理「専守防衛」より「先制攻撃」を行うべきと述べ、岸防衛相(安倍晋三の弟)は「敵基地攻撃能力の保有はできる」「相手国領空での爆撃を排除しない」と発言している(2月16日)。
 冊子では「専守防衛」とは、外国から武力による攻撃を受けたときに初めて防衛力を用い、日本を守るために必要最小限のものにとどめる」と言っているが、これはウソになる。
 また、「軍事大国とならないこと」と言っているが、2022年度の防衛費は5兆4000億円で21年度の補正予算7700億円と合わせると6兆円を越え、GNP1%を越える。世界5位で、既に軍事大国になっている。
 冊子には陸上・海上・航空とバランス良く6人の自衛官の声が載っていて、女性自衛官も2名配置されている。
 自衛隊に入れば夢と希望が叶うと言わんばかりに書かれているが、自衛官の年間自殺者は2019年には80名もいる。一般公務員の2倍である。
 遺族たちはなぜ自殺に追い込まれたのか裁判に訴えている。
 イラク派遣の帰還自衛官は25名も自殺していると報道されていた。

 高校時代の友人は幹部候補生学校を卒業後、陸上自衛隊に入った。40年ほど前に「劣化ウラン弾の開発をやっている」と聞いた。
 劣化ウラン弾は1992年のボスニア・ヘルツェゴビナ戦争で初めて使われた。中東戦争でも使われ、兵士や戦地の多くの子どもや住民がガンにおかされた報告がある。友人も「甲状腺ガンにかかった」そうだ。
 自衛官は戦争を仕事とするリスクの高い、やばい仕事だ。
 こういう事実を隠し、自衛隊に勧誘しようとするのがこの冊子だ。
 全国の教職員組合や市民団体・保護者は学校配布はもちろん、どんな形でも子どもたちに配布させてはいけない。子どもたちを戦場に送るな!
『百万人署名運動全国通信 292号』(2022年3月1日)

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