◆ 教員のストレス要因、文科省が「校長のパワハラやPC漬け」告発を隠蔽
政府の審議会等の議事録未作成が、原発に関し問題となっているが、学校の管理統制問題の議事録に当たるものでは、情報操作が見られる。
精神疾患で休職する教員の急増を受け、2012年度予算案に計上した約410万円の「教員メンタルヘルス調査研究事業費」の一部を前倒しし、2012年3月4日(日曜)午前、開いた第2回の対策検討会議で、文部科学省が第1回会議(1月22日)で出た「委員の発言中、管理統制施策に都合の悪い事実」を、一部削除した”議事概要”を公表した。
11年12月、文科省は「欝病などの精神疾患で10年度に休職した全国の教員は、09年度の5458人(過去最高)を51人下回ったものの、依然高水準。ここ20年で5倍に急増」と発表した。
その理由を、第1回の会議で文科省官僚や座長の吉川武彦・清泉女学院大学学長は「長時間労働による多忙化、複雑化する生徒指導、保護者や地域住民の注文・クレーム」などに限定した。
だが委員のうち、
(1)蓮沼干秋・東京都江戸川区立小岩第三中学校校長は、「上司や同僚との関係が教員のストレスになっていることもある。校長の中には、新人教員(1年間は条件付採用期間)に『しっかりやらないと採用にならない』とプレッシャーをかけたり、『自分は副校長を2人辞めさせた』と言ったりした人がいる」と述べ、一部校長によるパワハラの実態を告発。
(2)横山典子・東京都小平市教育相談室教育相談員兼スーパーバイザーも、「先生たちは子どもたちとじっくり話したいのに、PCでの作業に追われている」と、現場教員の声を反映する、全うな発言を行っていた。
ところが3月4日の会議で文科省が出した、「第1回の会議の議事概要」は、蓮沼氏の告発から「副校長を2人辞めさせた」という一部校長の発言を削除。横山氏の発言も「PCでの作業」が「事務作業」に書き換えられた(文科省は「議事録でなく議事概要ゆえ要約等はある」と説明)。
パワハラの定義は、三坂彰彦弁護士が12年2月20日付教育専門紙『日本教育新聞』で、「職務行為と関係している場合は、パワハラとの境界線の判断が難しい」と述べており、特に都立学校では”君が代”不起立の被処分教員が「入学式で起立する約束をしないと担任にしない」と、8年間も担任を外されている教諭が複数いる等、職務内容と密接なパワハラが顕著だ。
文科省が一部校長によるパワハラの実態を隠蔽するのは、管理統制施策が背景にあるのだ。
「PC作業」強化も、教育委員会が教員の作業内容や作成教材を実質チェックできてしまったり、手書きの方が早く済む書類まで「パスワードを何回も入れないと作動しないPC」での作成を強制されたり(都立学校)する等、多くの教員が少なからぬ集会等でストレス要因に挙げている。
ところで文科省は、第1回・第2回の会議で「東京都教職員互助会等の『仕事や職業生活でのストレスを相談できる人の有無』の調査で、『上司・同僚』との回答が、一般企業の労働者は64%あるのに、教員は14%しかない」という結果は示したが、教育委員会や校長ら管理職による教員へのパワハラは一切調査せず、今後の調査予定にも入れていない、という。
→ 文科省対策会議で「校長パワハラやPC漬け」告発
http://wind.ap.teacup.com/people/6207.html
永野厚男(教育ライター)
政府の審議会等の議事録未作成が、原発に関し問題となっているが、学校の管理統制問題の議事録に当たるものでは、情報操作が見られる。
精神疾患で休職する教員の急増を受け、2012年度予算案に計上した約410万円の「教員メンタルヘルス調査研究事業費」の一部を前倒しし、2012年3月4日(日曜)午前、開いた第2回の対策検討会議で、文部科学省が第1回会議(1月22日)で出た「委員の発言中、管理統制施策に都合の悪い事実」を、一部削除した”議事概要”を公表した。
11年12月、文科省は「欝病などの精神疾患で10年度に休職した全国の教員は、09年度の5458人(過去最高)を51人下回ったものの、依然高水準。ここ20年で5倍に急増」と発表した。
その理由を、第1回の会議で文科省官僚や座長の吉川武彦・清泉女学院大学学長は「長時間労働による多忙化、複雑化する生徒指導、保護者や地域住民の注文・クレーム」などに限定した。
だが委員のうち、
(1)蓮沼干秋・東京都江戸川区立小岩第三中学校校長は、「上司や同僚との関係が教員のストレスになっていることもある。校長の中には、新人教員(1年間は条件付採用期間)に『しっかりやらないと採用にならない』とプレッシャーをかけたり、『自分は副校長を2人辞めさせた』と言ったりした人がいる」と述べ、一部校長によるパワハラの実態を告発。
(2)横山典子・東京都小平市教育相談室教育相談員兼スーパーバイザーも、「先生たちは子どもたちとじっくり話したいのに、PCでの作業に追われている」と、現場教員の声を反映する、全うな発言を行っていた。
ところが3月4日の会議で文科省が出した、「第1回の会議の議事概要」は、蓮沼氏の告発から「副校長を2人辞めさせた」という一部校長の発言を削除。横山氏の発言も「PCでの作業」が「事務作業」に書き換えられた(文科省は「議事録でなく議事概要ゆえ要約等はある」と説明)。
パワハラの定義は、三坂彰彦弁護士が12年2月20日付教育専門紙『日本教育新聞』で、「職務行為と関係している場合は、パワハラとの境界線の判断が難しい」と述べており、特に都立学校では”君が代”不起立の被処分教員が「入学式で起立する約束をしないと担任にしない」と、8年間も担任を外されている教諭が複数いる等、職務内容と密接なパワハラが顕著だ。
文科省が一部校長によるパワハラの実態を隠蔽するのは、管理統制施策が背景にあるのだ。
「PC作業」強化も、教育委員会が教員の作業内容や作成教材を実質チェックできてしまったり、手書きの方が早く済む書類まで「パスワードを何回も入れないと作動しないPC」での作成を強制されたり(都立学校)する等、多くの教員が少なからぬ集会等でストレス要因に挙げている。
ところで文科省は、第1回・第2回の会議で「東京都教職員互助会等の『仕事や職業生活でのストレスを相談できる人の有無』の調査で、『上司・同僚』との回答が、一般企業の労働者は64%あるのに、教員は14%しかない」という結果は示したが、教育委員会や校長ら管理職による教員へのパワハラは一切調査せず、今後の調査予定にも入れていない、という。
→ 文科省対策会議で「校長パワハラやPC漬け」告発
http://wind.ap.teacup.com/people/6207.html
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます