<転送歓迎>(重複ご容赦) 少し長いです。
「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」、並びに「都教委包囲首都圏ネットワーク」の渡部(千葉高教組)です。
本日(8月12日)、東大で、
「シンポジウム 教育基本法『改正』推進勢力の分析と重要論点の検証」
(主催:教育基本法『改正』情報センター)
が開かれました。参加者は85人。時間は12時30分~18時まで。
様々な角度からの報告がありました。
その中で、足立区からの報告が衝撃的でした。
その中から、以下二つの点について紹介します。
まず、<足立区の教育の実態>です。
教育行政は、区教委そのものの独自性は否定され一行政部門に組み込まれ、校長は行政の末端という感覚になっています。
この間、区教委は「学力向上」を前面に出して学校教育に直接介入してきています。
そのため「業者テスト」を導入したり、区教委から指定された学校が「模擬テスト」を実施したり、さらに区教委が冬休み前には、学力テスト対策の「学習計画表」を各学校に配布したりしています。
その結果、冬休みに補習や大量の宿題があり、冬休み明けには「過去問」をやらせたそうです。
また授業も学力テストの「平均点」をあげるための授業になりつつあります。
4月の足立区独自の学力テストのために、テストが終わるまでは、新しい学年の内容をやらない学校も出てきています。
その結果、学力テスト対策を積極的に行っている学校で様々な問題が生じています。
「授業でやっているのはドリルばかり」
「テスト前に過去問を3回も実施」
「テスト当日生徒から、『先生同じ問題だよ。やっていいの?』」
「テスト当日、点数下げるような子は別なところに」
「試験当日管理職がまわり、間違っているところを指示したり」
「なんで○○小は、前回30何位なのに今回1位なの?」
小学校では、教科担任制や習熟度別授業で、子ども達が落ち着かなくなってきています。
子どもたちのストレスがたまってきています。
また、そこからくる混乱の中で、教員が指導の責任を問われ、休職者が増えています。
さらに、選択授業、総合学習の時間、朝学習、放課後の補習、提出書類の増加、二学期制の導入、学校選択自由化などによる諸問題が押し付けられ、長時間労働、重労働が日常化しています。
そのため、現職死亡者が2000年度から3年連続3人ずつ、2003年度からは3年連続5人ずつ、という異常な事態が続いています。
また、精神的疾患に陥る教員、中途退職者も増加しています。
学校選択自由化が強行されて5年になりますが、学力テストの結果公表でさらに競争が激化し、教育の格差、差別・選別が一層進んでいます。
過疎(生徒減少)と過密(教室不足)の現象も起き、生徒指導はますます困難になり、保護者やPTAからも、学校選択自由化は地域の学校づくりを壊す働きをしている、との声も出ています。
次に、<『足立区教育基本計画』の策定>です。
国会で継続審議になった教育基本法「改正」案では、
第16条(教育行政)の3に、
「地方公共団体は、地域における教育の教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。」、
また、第17条(教育振興基本計画)の2に、
「地方公共団体は、前項の計画を参酌し、当該地方公共団体の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるように務めなければならない。」、と述べられています。
しかし、足立区では、すでに2006年4月に、『足立区教育基本計画』というものが策定されました。
それによると、「重点目標」(2006、2007年度の2年間、短期集中的な目標)に、<人間力につながる学力向上>を上げています。
そして、「Ⅰ部 計画策定の前提」には、「主要施策については、数値目標を掲げ、目標実現へ向けての行程表をつくり、年度末の段階で達成状況の確認を行い、計画の管理を行います。」、と述べてあります。
また、「Ⅱ部 足立区がめざす教育の基本的な方向」には、<人間力の育成につながる学力向上>がうたわれ、そのために「多様な事業主体(ベネッセなどの?)との協働」も述べられています。
学力テストはベネッセに丸投げだそうです。
さらに、「Ⅲ部 人間力向上のための施策」には、
「校長のリーダーシップ」、
「学力調査」結果、課題、対策の公表、
中学生の「職場体験学習」、
小学校における「英語」、
「教員研修」(初任者、2、3、4年次教諭授業研究、観察)、
「授業力リーダーを養成」、
「数値目標を明確に位置付けた全体計画を『学校経営計画』として作成」、
「学校支援委員会」(学識者、小・中学校長、区教委事務局職員等からなる)、
「国立教育政策研究所との共同研究」、
などなどが列挙されています。
これは明らかに、教基法「改正」案が打ち出している『教育行政』と『教育振興基本計画』の、地方自治体における具体化に他なりません。
まだ、「改正」案が成立しているわけでもないのに、すでにこのようなものが、足立区では策定されているのです。
日本はまさに無法状態です。
また、ここで目に付くのが「人間力」という言葉です。
これは英語で言えば「マンパワー」ということでしょう。
教育の目的が、「人格の完成」ではなくなり、露骨に、国際競争力に勝ち抜くための「マンパワー」の育成になってきたということでしょうか。
現行の教育基本法第一条(教育の目的)の、
「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」、に比較すれば、如何に低俗なレベルに教育が引き下げられようとしているか、分かろうというものです。
(「改革」を進める人間たちのレベルも分かろうというものです)
また、すでに教育基本法改悪の先取りを実施している足立区の教育の現状を見れば、すでに彼らの「教育改革」は破綻しているし、今後ますます破綻が露骨になっていくということも分かるでしょう。
●なお、「全国連絡会」では、
来る8月19日(土)、13時~16時30分
文京区民センター3Aにて、
呼びかけ人の大内裕和さん、高橋哲哉さんを囲んで
『あらためて教育基本法問題を問い直す』
という学習交流会を開きます。
●「都教委包囲首都圏ネット」では、
来る8月30日(水)、石原・都教委糾弾8・30包囲デモを計画しています。
15時、新宿柏木公園集合。
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<教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会>
ホームページ http://www.kyokiren.net
〒113-0033
東京都文京区本郷5-19-6 坪井法律事務所内
Tel&Fax 03-3812-5510
(平日午後2時~5時半以外は留守電の場合あり)
メール info@kyokiren.net
<都教委包囲首都圏ネットワーク>
ホームページURL :
http://www1.ttcn.ne.jp/~ita
「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」、並びに「都教委包囲首都圏ネットワーク」の渡部(千葉高教組)です。
本日(8月12日)、東大で、
「シンポジウム 教育基本法『改正』推進勢力の分析と重要論点の検証」
(主催:教育基本法『改正』情報センター)
が開かれました。参加者は85人。時間は12時30分~18時まで。
様々な角度からの報告がありました。
その中で、足立区からの報告が衝撃的でした。
その中から、以下二つの点について紹介します。
まず、<足立区の教育の実態>です。
教育行政は、区教委そのものの独自性は否定され一行政部門に組み込まれ、校長は行政の末端という感覚になっています。
この間、区教委は「学力向上」を前面に出して学校教育に直接介入してきています。
そのため「業者テスト」を導入したり、区教委から指定された学校が「模擬テスト」を実施したり、さらに区教委が冬休み前には、学力テスト対策の「学習計画表」を各学校に配布したりしています。
その結果、冬休みに補習や大量の宿題があり、冬休み明けには「過去問」をやらせたそうです。
また授業も学力テストの「平均点」をあげるための授業になりつつあります。
4月の足立区独自の学力テストのために、テストが終わるまでは、新しい学年の内容をやらない学校も出てきています。
その結果、学力テスト対策を積極的に行っている学校で様々な問題が生じています。
「授業でやっているのはドリルばかり」
「テスト前に過去問を3回も実施」
「テスト当日生徒から、『先生同じ問題だよ。やっていいの?』」
「テスト当日、点数下げるような子は別なところに」
「試験当日管理職がまわり、間違っているところを指示したり」
「なんで○○小は、前回30何位なのに今回1位なの?」
小学校では、教科担任制や習熟度別授業で、子ども達が落ち着かなくなってきています。
子どもたちのストレスがたまってきています。
また、そこからくる混乱の中で、教員が指導の責任を問われ、休職者が増えています。
さらに、選択授業、総合学習の時間、朝学習、放課後の補習、提出書類の増加、二学期制の導入、学校選択自由化などによる諸問題が押し付けられ、長時間労働、重労働が日常化しています。
そのため、現職死亡者が2000年度から3年連続3人ずつ、2003年度からは3年連続5人ずつ、という異常な事態が続いています。
また、精神的疾患に陥る教員、中途退職者も増加しています。
学校選択自由化が強行されて5年になりますが、学力テストの結果公表でさらに競争が激化し、教育の格差、差別・選別が一層進んでいます。
過疎(生徒減少)と過密(教室不足)の現象も起き、生徒指導はますます困難になり、保護者やPTAからも、学校選択自由化は地域の学校づくりを壊す働きをしている、との声も出ています。
次に、<『足立区教育基本計画』の策定>です。
国会で継続審議になった教育基本法「改正」案では、
第16条(教育行政)の3に、
「地方公共団体は、地域における教育の教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。」、
また、第17条(教育振興基本計画)の2に、
「地方公共団体は、前項の計画を参酌し、当該地方公共団体の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるように務めなければならない。」、と述べられています。
しかし、足立区では、すでに2006年4月に、『足立区教育基本計画』というものが策定されました。
それによると、「重点目標」(2006、2007年度の2年間、短期集中的な目標)に、<人間力につながる学力向上>を上げています。
そして、「Ⅰ部 計画策定の前提」には、「主要施策については、数値目標を掲げ、目標実現へ向けての行程表をつくり、年度末の段階で達成状況の確認を行い、計画の管理を行います。」、と述べてあります。
また、「Ⅱ部 足立区がめざす教育の基本的な方向」には、<人間力の育成につながる学力向上>がうたわれ、そのために「多様な事業主体(ベネッセなどの?)との協働」も述べられています。
学力テストはベネッセに丸投げだそうです。
さらに、「Ⅲ部 人間力向上のための施策」には、
「校長のリーダーシップ」、
「学力調査」結果、課題、対策の公表、
中学生の「職場体験学習」、
小学校における「英語」、
「教員研修」(初任者、2、3、4年次教諭授業研究、観察)、
「授業力リーダーを養成」、
「数値目標を明確に位置付けた全体計画を『学校経営計画』として作成」、
「学校支援委員会」(学識者、小・中学校長、区教委事務局職員等からなる)、
「国立教育政策研究所との共同研究」、
などなどが列挙されています。
これは明らかに、教基法「改正」案が打ち出している『教育行政』と『教育振興基本計画』の、地方自治体における具体化に他なりません。
まだ、「改正」案が成立しているわけでもないのに、すでにこのようなものが、足立区では策定されているのです。
日本はまさに無法状態です。
また、ここで目に付くのが「人間力」という言葉です。
これは英語で言えば「マンパワー」ということでしょう。
教育の目的が、「人格の完成」ではなくなり、露骨に、国際競争力に勝ち抜くための「マンパワー」の育成になってきたということでしょうか。
現行の教育基本法第一条(教育の目的)の、
「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」、に比較すれば、如何に低俗なレベルに教育が引き下げられようとしているか、分かろうというものです。
(「改革」を進める人間たちのレベルも分かろうというものです)
また、すでに教育基本法改悪の先取りを実施している足立区の教育の現状を見れば、すでに彼らの「教育改革」は破綻しているし、今後ますます破綻が露骨になっていくということも分かるでしょう。
●なお、「全国連絡会」では、
来る8月19日(土)、13時~16時30分
文京区民センター3Aにて、
呼びかけ人の大内裕和さん、高橋哲哉さんを囲んで
『あらためて教育基本法問題を問い直す』
という学習交流会を開きます。
●「都教委包囲首都圏ネット」では、
来る8月30日(水)、石原・都教委糾弾8・30包囲デモを計画しています。
15時、新宿柏木公園集合。
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<教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会>
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