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国連こどもの権利条約個人通報制度(第3選択議定書)

2012年03月04日 | 人権
 ☆ 国連こどもの権利条約個人通報制度(第3選択議定書) ☆
 2月28日ジュネーブの署名式典で、20か国が署名


2月28日午後1時より始まった国連子どもの権利条約新議定書の署名式典。

 国連人権高等弁務官事務所条約課のイブラヒム・サラマ課長が司会し、サラマ課長、国連人権理事会議長、ステファニック前作業部会議長(スロバキア)、ツェルマータン国連子どもの権利委員会議長(ビデオメッセージ)、子どもの権利条約NGOグループを代表してリサ・メイヤーさんがあいさつ。
 署名式では、20か国:ドイツ、ベルギー、フィンランド、オーストリア、イタリア、ルクセンブルク、ポルトガル、スペイン、スロバキア、スロベニア、ペルー、ウルグアイ、マリ、チリ、モロッコ、モルジブモンテネグロ、セルビア、ブラジル、コスタリカが署名しました。
 しかし、議定書提案国の日本政府は署名しませんでした
 引き続き、日本政府に対して早期批准を求めていきましょう。

 国連子どもの権利条約新議定書案邦訳
 通報手続を設けるための子どもの権利に関する条約の選択議定書草案

 (A/HRC/17/36, Annex)(翻訳:平野裕二、監訳:公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)

この議定書の締約国は、
 国際連合憲章において宣明された原則にしたがい、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳および平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義および平和の基礎であることを考慮し、
 子どもの権利に関する条約(以下「条約」という)の締約国が、その管轄内にある子ども一人ひとりに対して、子どもまたはその親もしくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、民族的もしくは社会的出身、財産、障害、出生またはその他の地位に関わらず、いかなる種類の差別もなしに条約に掲げられた権利を承認していることに留意し、
 あらゆる人権および基本的自由の普遍性、不可分性、相互依存性および相互関連性を再確認し、
 また、権利の主体としての、および、尊厳および発達しつつある能力を有する人間としての子どもの地位も再確認し、
 子どもは特別かつ依存的な地位にあることから、子どもが自己の権利の侵害に対する救済を追及する際に真の困難が生じる可能性があることを認め、
 この議定書が、子どもが自己の権利の侵害に対する苦情を申し立てられるようにする国内的および地域的機構を強化しかつ補完するであろうことを考慮し、
 さらに、子どもの権利の侵害に対する救済を追及する際には子どもの最善の利益が第一義的な考慮事項として尊重されるべきこと、および、そのような救済においてはあらゆる段階で子どもに配慮した手続の必要性が考慮されるべきであることを認め、
 締約国に対し、権利を侵害された子どもが国内レベルで効果的な救済措置にアクセスできるようにするための適切な国内的機構を発展させるよう奨励し、
 この点に関して、子どもの権利を促進しかつ保護する権限を与えられた国内人権機関その他の関連の専門機関が果たし得る重要な役割を想起し、
 このような国内的機構を強化しかつ補完し、かつ、条約ならびに適切な場合には子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する条約の選択議定書および武力紛争への子どもの関与に関する条約の選択議定書の実施をさらに増進するためには、この議定書に掲げられた職務を履行する権限を子どもの権利に関する委員会(以下「委員会」という)に与えることが適切であると考え、
 次のとおり協定した。

第1部 総則
第1条 子どもの権利に関する委員会の権限
1.この議定書の締約国は、この議定書に定める委員会の権限を認める。
2.委員会は、締約国に関わるその権限を、当該国が締約国ではない文書に掲げられた子どもの権利に関わる案件について行使してはならない。
3.委員会は、通報がこの議定書の締約国ではない国に関するものであるときは、その通報を受理してはならない。
第2条 委員会の職務の指針となる一般的原則
1.この議定書で付与された職務を履行するにあたり、委員会は、子どもの最善の利益の原則を指針とする。委員会はまた、子どもの権利および意見も考慮する。その際、子どもの意見は、その子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視されるものとする。
第3条 手続規則
1.委員会は、この議定書で付与された職務を行なうにあたってしたがうべき手続規則を採択する。その際、子どもに配慮した手続を保障するため、とくにこの議定書の第2条を考慮するものとする。
2.委員会は、子どもに代わって行動している者による子どもの操作を防止するための保障措置を手続規則に含めるものとし、かつ、子どもの最善の利益にそぐわないと考えるいかなる通報も検討しないことができる。
第4条 保護措置
1.締約国は、その管轄下にある個人が、この議定書にしたがって通報または委員会との協力を行なった結果としていかなる人権侵害、不当な取扱いまたは脅迫の対象にもされないことを確保するため、あらゆる適切な措置をとる。
2.当事者であるいかなる個人または個人の集団の身元に関わる事項も、その明示的同意を得ることなく、公に明らかにされることはない。
第2部 通報手続
第5条 個人通報
1.通報は、いずれかの締約国の管轄内にあって、当該国が締約国である次のいずれかの文書に掲げられたいずれかの権利を当該締約国が侵害したことによる被害者であると主張する個人もしくは個人の集団自身が、またはこのような個人もしくは個人の集団に代わって、提出することができる。
(a) 条約
(b) 子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書
(c) 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書
2.通報が個人または個人の集団に代わって提出されるときは、当該個人または個人の集団の同意を得ていなければならないものとする。ただし、申立人が、そのような同意を得ることなく当該個人または個人の集団に代わって行動していることを正当化できるときは、このかぎりでない。
第6条 暫定措置
1.委員会は、通報の受領後のいかなる時点においても、かつ本案に関する判断が行なわれる前に、当該締約国に対し、例外的状況下において、主張されている侵害の一または複数の被害者に対して回復不可能な被害が生じる可能性を回避するために必要と考えられる暫定措置をとるよう求める要請を送付し、緊急に検討するよう促すことができる。
2.委員会がこの条の1に基づく裁量権を行使する場合、このことは、通報の受理許容性または本案に関して何らかの判断が行なわれたことを意味するものではない。
第7条 受理許容性
1.委員会は、次の場合には、通報を受理することができないと見なす。
(a) 通報が匿名であるとき。
(b) 通報が書面で提出されないとき。
(c) 通報が、通報提出の権利の濫用であるとき、または条約および(または)その選択議定書の規定と両立しないとき。
(d) 同一の案件が、委員会によりすでに審査されたものであるか、または国際的な調査もしくは解決のための他の手続にもとづいて審査中であるもしくは審査されたものであるとき。
(e) 利用可能なすべての国内的救済措置が尽くされていないとき。ただし、当該救済措置の適用が不当に遅延している場合または効果的救済をもたらす可能性に乏しい場合は、このかぎりでない。
(f) 通報が明らかに根拠を欠いており、または十分に立証されていないとき。
(g) 通報の対象である事実が、当該締約国についてこの議定書が効力を生ずる前に発生したものであるとき。ただし、当該事実がその後も継続している場合はこのかぎりでない。
(h) 通報が、国内的救済措置を尽くした後1年以内に行なわれなかったとき。ただし、この期限内に通報を行なうことが不可能であったことを申立人が立証できる場合は、このかぎりでない。
第8条 通報の送付
1.当該締約国に照会するまでもなく通報を受理することができないと委員会が考えるときを除き、委員会は、この議定書に基づいて行なわれたいかなる通報についても、可能なかぎり早期に、内密裡に当該締約国に知らせる。
2.締約国は、委員会に対し、当該案件、および、救済措置をとった場合には当該救済措置について詳らかにする説明または声明を書面で提出する。締約国は、その対応を、可能なかぎり早期に、かつ6か月以内に提出するものとする。
第9条 友好的解決
1.委員会は、条約および(または)その選択議定書に掲げられた義務の尊重を基礎として案件の友好的解決を達成する目的で、関係当事者が委員会の斡旋を利用できるようにする。
2.委員会の斡旋により友好的解決についての合意が成立したときは、この議定書に基づく通報の検討は終了する。
第10条 通報の検討
1.委員会は、この議定書に基づいて受領した通報を、提出されたあらゆる書類に照らし、可能なかぎり早期に検討する。ただし、当該書類が関係当事者に送付されることを条件とする。
2.委員会は、この議定書に基づいて受領した通報を審査する際には非公開の会合を持つものとする。
3.委員会が暫定措置を要求したとき、委員会は当該通報の検討を迅速化するものとする。
4.経済的、社会的または文化的権利の侵害を主張する通報を審査するときは、委員会は、条約第4条にしたがって締約国がとった措置の妥当性を検討する。その際、委員会は、締約国が、条約に定められた経済的、社会的および文化的権利の実施のため、一定の範囲で実施可能な政策手段をとることができることに留意する。
5.通報を検討した後、委員会は、当該通報に関する委員会の見解を、勧告があれば当該勧告とともに、関係当事者に遅滞なく送付する。
第11条 フォローアップ
1.締約国は、委員会の見解を、勧告があれば当該勧告とともに正当に考慮し、かつ委員会に対して文書回答(委員会の見解および勧告に照らしてとった措置および構想している措置に関する情報を含む)を提出する。締約国は、その回答を可能なかぎり早期に、かつ6か月以内に提出するものとする。
2.委員会は、適切と認める場合には、その見解もしくは勧告に応じて締約国がとった措置または友好的解決の取り決めが成立したのであればその実施に関するさらなる情報を、適用可能な場合には条約第44条、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書第12条および武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書第8条に基づく締約国のその後の報告書で提出するよう、締約国に対して促すことができる。
第12条 国家間通報
1.この議定書の締約国は、いずれかの締約国による、他の締約国が、その国が締約国である次のいずれかの文書に基づく義務を履行していないと主張する通報を受理しかつ検討する委員会の権限を認める旨、いつでも宣言することができる。
(a) 条約
(b) 子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書
(c) 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書
2.委員会は、当該宣言を行なっていない締約国に関する通報および当該宣言を行なっていない締約国からの通報を受領しない。
3.委員会は、条約およびその選択議定書に掲げられた義務の尊重を基礎として案件の友好的解決を達成する目的で、関係締約国が委員会の斡旋を利用できるようにする。
4.この条の1に基づいて行なわれた宣言は、締約国が国際連合事務総長に寄託し、かつ事務総長はその写しを他の締約国に送付する。宣言は、事務総長に通告することにより、いつでも撤回することができる。宣言の撤回は、この条に基づいてすでに送付済みの通報の主題となっているいかなる案件の検討も妨げるものではない。宣言の撤回の通告を事務総長が受領した後は、当該締約国が新たな宣言を行なわないかぎり、この条に基づいていずれかの締約国が行なうそれ以上のいかなる通報も受領されない。
第3部 調査手続

第13条 重大なまたは系統的な侵害の調査手続
1.委員会は、締約国が次の文書に掲げられた権利の重大なまたは系統的な侵害を行なっていることを示す信頼できる情報を受領したときは、当該締約国に対し、当該情報の検討に協力すること、および、この目的のため、当該情報に関する所見を遅滞なく提出することを促すことができる。
(a) 条約
(b) 子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書
(c) 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書
2.当該締約国から所見が提出された場合には当該所見、および、委員会が利用できる他の信頼できる情報がある場合には当該情報を考慮に入れ、委員会は、委員の一名ないし複数名を調査担当者に指定し、かつ委員会に緊急に報告させることができる。この調査には、正当な根拠および当該締約国の同意があるときは、当該締約国の領域への訪問を含めることができる。
3.当該調査は内密裡に実施し、かつ手続のあらゆる段階で当該締約国の協力を求めるものとする。
4.委員会は、当該調査で認定された事実を検討した後、当該締約国に対し、これらの認定事実を、意見および勧告があればそれとともに、遅滞なく送付する。
5.当該締約国は、可能なかぎり早期に、かつ委員会の認定事実、意見および勧告を受領してから6か月以内に、委員会に対して自国の所見を提出する。
6.この条の2にしたがって行なわれた調査に関わる以上の手続が終了した後、委員会は、当該締約国と協議した上で、この議定書の第16条に定められた委員会の報告に当該手続の結果の要約的説明を含めることを決定する。
7.各締約国は、この議定書に署名しもしくはこれを批准しまたはこれに加入する際、1に列挙された文書の一部または全部に掲げられた権利に関してこの条に定められた委員会の権限を認めない旨、宣言することができる。
8.この条の7にしたがって宣言を行なったいかなる締約国も、国際連合事務総長に通告することにより、いつでも当該宣言を撤回することができる。
第14条 調査手続のフォローアップ
1.締約国は、必要なときは、第13条第5項にいう6か月の期間が経過した後、当該締約国に対し、この議定書の第13条に基づいて行なわれた調査を受けてとった措置および構想している措置に関する情報を委員会に提供するよう促すことができる。
2.委員会は、委員会が適切と認める場合を含め、第13条に基づいて行なわれた調査を受けて締約国がとった措置に関するさらなる情報を、適用可能な場合には条約第44条、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書第12条および武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書第8条に基づく締約国のその後の報告書で提出するよう、締約国に対して促すことができる。
第4部 最終条項
第15条 国際的援助および協力
1.委員会は、通報および調査に関わる委員会の見解または勧告であって技術的助言または援助の必要性を明らかにしているものを、当該見解または勧告に関する締約国の所見および提案があればそれとともに、当該締約国の同意を得て国際連合の専門機関、基金その他権限のある機関に送付することができる。
2.委員会はまた、国際連合の専門機関、基金その他権限のある機関に対して、この議定書に基づいて検討された通報から生じた問題のうち、条約および(または)その選択議定書で定められた権利の実施を前進させる上で、前掲機関が締約国への支援に貢献する可能性のある国際的措置の妥当性をそれぞれの専門分野において決定する際に役立ち得る問題について、当該締約国の同意を得て、前掲機関の注意を喚起することもできる。
第16条 総会に対する報告
1.委員会は、条約第44条第5項にしたがって2年ごとに総会に提出する報告に、この議定書に基づいて行なった活動の概要を記載する。
第17条 選択議定書に関する普及および広報
1.各締約国は、適当かつ積極的な手段により、かつ成人および子ども(障害のある者を含む)のいずれにとってもアクセスしやすい形式で、この議定書を広く知らせかつ普及し、かつ、とくに当該締約国に関わる案件についての委員会の見解および勧告に関する情報へのアクセスを促進することを約束する。
第18条 署名、批准および加入
1.この議定書は、条約またはその最初の2つの選択議定書のいずれかに署名し、これを批准しまたはこれに加入した国による署名のために開放しておく。
2.この議定書は、条約またはその最初の2つの選択議定書のいずれかを批准しまたはこれに加入した国によって批准されなければならない。批准書は国際連合事務総長に寄託する。
3.この議定書は、条約またはその最初の2つの選択議定書のいずれかを批准しまたはこれに加入した国による加入のために開放しておく。
4.加入は、国際連合事務総長に加入書を寄託することによって効力を生ずる。

第19条 効力発生
1.この議定書は、10番目の批准書または加入書の寄託の後3か月で効力を生ずる。
2.この議定書は、10番目の批准書または加入書の寄託後にこの議定書を批准しまたはこれに加入する国については、その批准書または加入書が寄託された日の後3か月で効力を生ずる。
第20条 効力発生後に生じた侵害
1.委員会は、条約および(または)その最初の2つの選択議定書に掲げられたいずれかの権利を締約国が侵害した事案のうち、この選択議定書の効力発生後に生じたものについてのみ権限を有する。
2.ある国がこの選択議定書の効力発生後にその締約国となったときは、委員会との関係における当該国の義務は、条約および(または)その最初の2つの選択議定書に掲げられたいずれかの権利の侵害のうち、当該国についてこの選択議定書の効力が発生した後に生じたものについてのみ適用される。
『今 言論・表現の自由があぶない!』(2012/3/1)
(前半 : http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/22700612.html
(後半 :http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/22701195.html

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