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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

新知事には「教育の中立性」と「言論の自由」だけは守ってほしい

2012年11月05日 | 暴走する都教委
  =チェック石原都政 12.16知事選 この人に聞く= 4
 ◆ 戦後の民主的教育を壊す
三鷹高校元校長 土肥信雄さん

 - 都立高校の職員会議で校長が教員から意向を聞くための挙手・採決を禁止した都教育委員会の通知に対し、「言論の自由を奪う」と撤回を要求しました。石原慎太郎知事のもとで進められた教育行政をどう評価しますか。
 石原さんによって最も破壊されたものが、戦後の民主的教育だと思います。国民主権、基本的人催の尊重、平和主義を理念にした日本国憲法のもと、教育の主体は国家から子どもに移りました。でも戦前の教育への復帰を前提とする石原さんにとって、主体は行政。教育を政治支配するのは当然なんです。
 ◆ 腹心が教育委員
 - どのようにして教育の政治支配が進んだと考えますか。

 実行部隊となったのが都教委です。カリスマ的な人気があり、圧倒的な得票で当選した石原さんのもとでは議会もべったり。チェック機能が働かない中、石原さんは棋士の米長邦雄さんら腹心で教育委員を固めていったのです。
 - 政治支配の狙いは何だとお考えですか。

 石原さんは、日本国憲法のもとでの教育をまったく信用していません。それを担ってきたのは日教組など教職員組合の教員たちです。東京はとりわけ組合が強く、教え子を二度と戦場に送らないという立場から、日の丸掲揚や君が代斉唱への反対も根強かった。石原さんにすれば、国民の多くが認めている日の丸、君が代をやらないなんてとんでもない。教職員組合をつぶす。初当選した99年に国旗国歌法が成立したことが、てこになったのは間違いありません。
 ◆ 言論の自由奪う
 - 教育現場にどんな影響が表れましたか。
 03年10月に、校長に対して職務命令を出し、入学式や卒業式などで教員が国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを強制しました。卒業式には監視役として、教育庁の職員が派遣されるようになりました。卒業式に関する全ての書類は都教委のチェックを受けることなど、強権的な指導が繰り返されました。職員会議での挙手・採決の禁止もその一つ。校長が教員たちから意向を聞いてはいけないというのです。
 - 撤回要求に踏み切ったのはなぜですか。

 青島幸男都政のもとで行われた規則改正で、すでに職員会議は学校の最高議決機関ではなく、校長の補助機関と位置づけられていました。多数決では校長の意向が反映されにくく、補助機関化は仕方のない面もありました。それで十分なのに、さらに踏み込んで、意向を聞く挙手・採決まで禁止してしまうのは明らかにやり過ぎ。石原さんは教員から言論の自由を奪おうとしている、と感じました。
 - 知事選への期待を。

 天皇は神様か人間かと聞いたら、今の生徒たちは100%、人間だと答えるでしょう。
 戦争中は違った。拷問による暴力や洗脳教育があったからです。
 教育に言論の自由がなけれぱこういう結果しか生まれない。
 新知事には、教育の中立性と言論の自由だけは守ってほしい。それが教育の主体である子どもたちのためです。
 (聞き手・三沢敦)

 《職員会議の権限縮小》
 かつて、多くの都立高では職員会議が意思決定機関と位置づけられ、そこでの多数決で学校運営が行われていた。
 このため、卒業式などでの日の丸掲揚や君が代斉唱をめぐり、多数を占める教員が、決定権を持つ校長の意向を覆すことも少なくなかった。こうした中、都教委は1998年、職員会議を「校長の補助機関」と明文化した。
 教育現場での管理強化の流れは、その翌年に石原都政が誕生すると加速する。2006年には、一部の都立高で依然として多数決が常態化しているとして、校長の意思決定に影響を与えないよう、職員会議での挙手・採決で教員の意向を聞くことを禁止。職員会議の役割を「報告・意見聴取・連絡」に限定した。
 職員会議の権限を縮小する動きは全国にも広がった。00年に文部科学省が都に追随する形で学校教育法施行規則を改正し、職員会議を「校長が主宰」とし、補助機関化したからだ。
 だが・意向を聞く挙手・採決まで禁じた例はなく、教育現場への都の締め付けは突出している。
 ※どひ。のぶお
 1948年、京都市生まれ。東京大学農学部卒業後、商社勤務を経て教師に。2005年から三鷹高校校長を務め、09年に定年退職。在職中に都立高校の職員会議での教職員の意向を聞く挙手・採決を禁止した通知の撤回を都教委に要求。定年後の非常勤職員採用で不合格となったことに対し、「意見表明への報復」だとして都を相手に損害賠償請求訴訟を起こした。一審は敗訴し、控訴中。法政大と立正大で非常勤講師。

 都政に対するご意見やご提案をお寄せください。
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『朝日新聞』(2012/11/3)

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