◆ 杉原浩司:BS1「コロナ危機 未来の選択」<ナオミ・クライン>のまとめ (レイバーネット日本)
東京の杉原浩司(武器取引反対ネットワーク:NAJAT)です。
[転送・転載歓迎/重複失礼]
8月11日(火)に放映されたNHK BS1スペシャル「コロナ危機 未来の選択」<ナオミ・クライン>の内容をまとめてみました。
https://kosugihara.exblog.jp/240522719/
『これがすべてを変える』『ショック・ドクトリン』『NOでは足りない』『ブランドなんかいらない』などの著者であるジャーナリスト、ナオミ・クラインは、パンデミックの今、必要なのは「スクリーン・ニューディール」ではなく「グリーン・ニューディール」だと主張します。
ナオミ・クラインを知らない方には入門編として、また著作にふれてきた方にはおさらいと発展編としても有益な番組でした。彼女の問題提起をたたき台に、日本でも積極的な討論が必要だと思います。
<写真はこちらにたくさん掲載しています。広めてください!>
※ NHK BS1スペシャル「コロナ危機 未来の選択」<ナオミ・クライン>のダイジェストまとめ
https://togetter.com/li/1575223
「パンデミックは、私たちを支えてくれている労働が、感謝されず過少評価されてきたことに気づかせてくれた。コロナ危機に対して、私たちは平等ではない。ウイルスは刑務所、老人ホーム、アマゾンの倉庫など、無視され、大切にされてこなかった部分に山火事のように広がった」
「ニューヨーク州では、議会休会中にクオモ知事が、コロナ対策として遠隔授業・医療などをインターネットで効率的に行うプロジェクトの特別委員会を立ち上げようとした。委員長はエリック・シュミット元グーグルCEO。選挙で選ばれていない人々が決めようとしている。"スクリーン・ニューディール"だ」
ナオミ・クラインが"ショック・ドクトリン"の内実をまざまざと目にしたのがイラク戦争(「衝撃と畏怖」作戦)。
占領後、ポール・ブレマー行政官は、国営企業の解体、公務員の大量解雇など、市場経済の導入を推進。
だが、貧困層が増え「テロ」が頻発、治安悪化で米企業は撤退。「ブレマーが残したのはディストピアだった」。
「イラク戦争後の占領で国営企業の民営化、規制緩和、外国企業の参入などを推進し、米国企業の望みを全面的に叶えた。それは、規制を撤廃し企業の思い通りにすれば、自由市場のユートピアが実現するというミルトン・フリードマンの経済理論に基づいていた。だが、イラクの人々は略奪だと理解した」
「常軌を逸した米国の戦略が猛烈な反発を招くのをリアルタイムで見た。その時、「ショック状態を利用して民主主義の手続きを省く」やり方(ショック・ドクトリン)に気づいた。
後に残ったのはイラクのとんでもない混乱。数十万人が命を失った。米国はイラクを思い通りに出来なかった」
「グーグルがリモート学習のシステムから個人情報を不正に収集していると、ニューメキシコ州の司法当局から訴えられた。親権者の同意なしに13歳以下の子どもの様々な情報を取得していると。IT企業は公教育を市場と見なしているが、私たちは企業をコントロールできない」
「今回のパンデミックで私たちは、インターネットは民主主義の基盤そのものだと気づいた。そうであるなら、私たちはこの技術を公共のものと捉えるべきで、民間のままであってはならないかもしれない。テクノロジーは、それを誰がコントロールするかがとても重要だ」
「遠隔医療でも、緊急事態の雰囲気の中、急いで行われていること全てに注意を払うべきだ。個人の健康データのやり取りなど。心配なのは、パンデミックが、個人情報を守りたいとの思いを一気に吹き飛ばすチャンスとして利用されること。公共のための医療に営利目的の医療が侵入すること」
「今までと同じ道では、人々は孤立を深め、分断され、独裁的政治家の出現の恐れもある。別の道もある。ウイルスは互いのつながりを気づかせてくれた。全てのエッセンシャルワーカーの待遇改善に投資すべきだ。人を隔離するテクノロジーへの投資か、一人ひとりの尊厳を大切にするかの分かれ目だ」
「ショックや危機には未来へのビジョンが必要。アラブの春やウォール街占拠などの抗議は、異議申し立てだけで、どんな社会を目指すかのビジョンが欠けていた。そこを突かれ、主導権を奪われた。最も大切なのは、自分たちのプランを持つこと。人類の危機の根底にある課題を解決するビジョンを」
「過剰な消費を改め、私たちがどう変われば地球を他の生物と共有できるかを考えるべきだ。気候危機で災害が増え、新たなウイルスも出現する。複数の危機を同時に解決するビジョンを持つべき。重要なのはこの数年をどう過ごすか。元に戻るのでなく、スローダウンこそが求められている」
「グリーン・ニューディールは、環境保護運動から生まれた多くのアイデアを組み合わせたもの。再生可能エネルギー100%を目指す経済分野への投資が重要だ。私たちがすぐに全てを解決しようとテクノロジーに頼って突き進み、グリーン・ニューディールに使うお金が残らないことを懸念する」
※発売中の『世界』9月号(岩波書店)に掲載されている、ナオミ・クラインとアルンダティ・ロイ(インドの作家・活動家)の対談「違う世界に通じる入口へ~誰ひとり取り残さない」もぜひご参照ください。
『レイバーネット日本』(2020-08-13)
http://www.labornetjp.org/news/2020/1597323701158staff01
東京の杉原浩司(武器取引反対ネットワーク:NAJAT)です。
[転送・転載歓迎/重複失礼]
8月11日(火)に放映されたNHK BS1スペシャル「コロナ危機 未来の選択」<ナオミ・クライン>の内容をまとめてみました。
https://kosugihara.exblog.jp/240522719/
『これがすべてを変える』『ショック・ドクトリン』『NOでは足りない』『ブランドなんかいらない』などの著者であるジャーナリスト、ナオミ・クラインは、パンデミックの今、必要なのは「スクリーン・ニューディール」ではなく「グリーン・ニューディール」だと主張します。
ナオミ・クラインを知らない方には入門編として、また著作にふれてきた方にはおさらいと発展編としても有益な番組でした。彼女の問題提起をたたき台に、日本でも積極的な討論が必要だと思います。
<写真はこちらにたくさん掲載しています。広めてください!>
※ NHK BS1スペシャル「コロナ危機 未来の選択」<ナオミ・クライン>のダイジェストまとめ
https://togetter.com/li/1575223
「パンデミックは、私たちを支えてくれている労働が、感謝されず過少評価されてきたことに気づかせてくれた。コロナ危機に対して、私たちは平等ではない。ウイルスは刑務所、老人ホーム、アマゾンの倉庫など、無視され、大切にされてこなかった部分に山火事のように広がった」
「ニューヨーク州では、議会休会中にクオモ知事が、コロナ対策として遠隔授業・医療などをインターネットで効率的に行うプロジェクトの特別委員会を立ち上げようとした。委員長はエリック・シュミット元グーグルCEO。選挙で選ばれていない人々が決めようとしている。"スクリーン・ニューディール"だ」
ナオミ・クラインが"ショック・ドクトリン"の内実をまざまざと目にしたのがイラク戦争(「衝撃と畏怖」作戦)。
占領後、ポール・ブレマー行政官は、国営企業の解体、公務員の大量解雇など、市場経済の導入を推進。
だが、貧困層が増え「テロ」が頻発、治安悪化で米企業は撤退。「ブレマーが残したのはディストピアだった」。
「イラク戦争後の占領で国営企業の民営化、規制緩和、外国企業の参入などを推進し、米国企業の望みを全面的に叶えた。それは、規制を撤廃し企業の思い通りにすれば、自由市場のユートピアが実現するというミルトン・フリードマンの経済理論に基づいていた。だが、イラクの人々は略奪だと理解した」
「常軌を逸した米国の戦略が猛烈な反発を招くのをリアルタイムで見た。その時、「ショック状態を利用して民主主義の手続きを省く」やり方(ショック・ドクトリン)に気づいた。
後に残ったのはイラクのとんでもない混乱。数十万人が命を失った。米国はイラクを思い通りに出来なかった」
「グーグルがリモート学習のシステムから個人情報を不正に収集していると、ニューメキシコ州の司法当局から訴えられた。親権者の同意なしに13歳以下の子どもの様々な情報を取得していると。IT企業は公教育を市場と見なしているが、私たちは企業をコントロールできない」
「今回のパンデミックで私たちは、インターネットは民主主義の基盤そのものだと気づいた。そうであるなら、私たちはこの技術を公共のものと捉えるべきで、民間のままであってはならないかもしれない。テクノロジーは、それを誰がコントロールするかがとても重要だ」
「遠隔医療でも、緊急事態の雰囲気の中、急いで行われていること全てに注意を払うべきだ。個人の健康データのやり取りなど。心配なのは、パンデミックが、個人情報を守りたいとの思いを一気に吹き飛ばすチャンスとして利用されること。公共のための医療に営利目的の医療が侵入すること」
「今までと同じ道では、人々は孤立を深め、分断され、独裁的政治家の出現の恐れもある。別の道もある。ウイルスは互いのつながりを気づかせてくれた。全てのエッセンシャルワーカーの待遇改善に投資すべきだ。人を隔離するテクノロジーへの投資か、一人ひとりの尊厳を大切にするかの分かれ目だ」
「ショックや危機には未来へのビジョンが必要。アラブの春やウォール街占拠などの抗議は、異議申し立てだけで、どんな社会を目指すかのビジョンが欠けていた。そこを突かれ、主導権を奪われた。最も大切なのは、自分たちのプランを持つこと。人類の危機の根底にある課題を解決するビジョンを」
「過剰な消費を改め、私たちがどう変われば地球を他の生物と共有できるかを考えるべきだ。気候危機で災害が増え、新たなウイルスも出現する。複数の危機を同時に解決するビジョンを持つべき。重要なのはこの数年をどう過ごすか。元に戻るのでなく、スローダウンこそが求められている」
「グリーン・ニューディールは、環境保護運動から生まれた多くのアイデアを組み合わせたもの。再生可能エネルギー100%を目指す経済分野への投資が重要だ。私たちがすぐに全てを解決しようとテクノロジーに頼って突き進み、グリーン・ニューディールに使うお金が残らないことを懸念する」
※発売中の『世界』9月号(岩波書店)に掲載されている、ナオミ・クラインとアルンダティ・ロイ(インドの作家・活動家)の対談「違う世界に通じる入口へ~誰ひとり取り残さない」もぜひご参照ください。
『レイバーネット日本』(2020-08-13)
http://www.labornetjp.org/news/2020/1597323701158staff01
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