◆ 教基法公聴会で 拙速採決に批判 特別委、大分で実施
教育基本法改正問題で衆院の特別委員会(森山真弓委員長)は13日、大分、札幌両市で地方公聴会を開いた。大分市では政党推薦を受けた陳述者3人のうち2人が「現行法の根幹部分は維持すべきだ」「改正論議は拙速」などと不満を表明、採決を急ぐ与党の姿勢に批判をにじませた。1人は改正に賛成した。
大分会場では、元小学校長の清原今朝勝氏(公明党推薦)が「変えていい部分と変えてはならない部分がある」と指摘。「いじめや不登校などの問題が噴出しているが、基本法の前文や目的は時代が変わっても変えてはならない」と主張した。
大分市議会の井手口良一議員(民主党推薦)は採決について「公聴会を形式的に終わらせて採決すれば議論の場である国会は数の論理だけが横行してしまう」と指摘。その上で「現行法のどの部分が時代にそぐわないか明確になっていない」として徹底した議論を求めた。
大分県高校PTA連合会の高橋正夫会長(自民党推薦)は「時代に合わせた改正は賛成」と表明。改正法案が家庭教育や、学校、家庭、地域の連携に踏み込んだ点を評価し「今まで以上に連携しやすくなり、新しい協力ができる」と歓迎した。
=2006/11/14付 西日本新聞朝刊=
(西日本新聞) - 11月14日10時7分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061114-00000004-nnp-l44
◆ 「教育基本法に関する特別委員会地方公聴会」(第2班・北海道)
と き:2006年11月13日(月)13:00~14:40
ところ:札幌全日空ホテル
◎座長・挨拶 鈴木恒夫派遣委員団団長(自民)
―趣旨・注意事項・意見発表者の紹介など―
<陳述者の発言>
○ 西田 豊(自民推薦・札幌国際大学人文学部教授-元道教委幹部、その後札幌南高等学校校長)陳述人の発言要旨
・ 有馬元文部大臣との対話の中で「教育の基本は家庭教育にある」と意見を述べた。その後、中教審答申に家庭教育が盛り込まれて驚いた。中教審答申レベルでなく法に明記されることの必要性を感じた。
・ 「我が国と郷土を愛する心」は人として大切なこと。国民の義務である。
・ 教員は崇高な使命を深く自覚することが重要である。人確法の廃止の動きもあるが、むしろ今以上に適切な待遇が必要であると考える。
○加藤義勝(公明推薦・元高校教諭)陳述人の発言要旨
・ 制定から60年たち、社会も大きく変化している中、教育基本法を見直すことはきわめて重要と考える。
・ 慎重な論議を求める声もあがる。しかし現在、与党で3年間70回の審議、通常国会でも50時間審議しているので、拙速な議論とは言えない。
・ 目標の中に勤労を重んずる態度を入れることは大きな意味を。
・ 国を愛するという場合の「国」は統治機構を意味するものではないとのことなので、国家主義的要素を払拭できていると考える。
○岩本一郎(民主推薦・北星学園大学経済学部教授)陳述人の発言要旨
・ 現行法の理念は色あせておらず、改正は必要ない。
・ 個人を尊重する憲法と教育基本法は分かち難い存在である。
・ 教育の諸問題は教育基本法のせいではなく、それに反する政策こそが問題である。
・ 改正案は主客を転倒しており、個人を国家の道具とするものである。
●やまぎわ大志郎(自民)委員の質問
Q1:政府案に現行法の「人格の完成」の理念は受け継がれていると思うか。
岩:文言はあるが、憲法13条が前提になければ文言だけあってもそうとは言えない。
加:文言がすばらしくても生かしていかねば。
西:人格の完成という文言をそのままうけとめるべき。
Q2:どうやったら教員の評価ができるのか。
西:まず崇高な使命をもった人を採用してほしい。あとはがんばりや特色を評価する。
Q3:個人尊重の理念は重要だが、偏りすぎてないか。
岩:自由に責任は伴うが、権利に対する義務は国民でなく国家が負うもの。憲法13条の幸福追求は決して利己主義でない。
Q4:教員にゆとりをもたせるには。
加:保護者との対応が大変。親の教育が大切。
●牧 義夫(民主)委員の質問
※ 質問に先立ち、民主推薦の岩本陳述人の意見に触れ、「陳述人は民主推薦ではあるが、意見を聞いていると民主党案に対しても反対であるとお見受けした。民主党はヤラセはしないので反対の意見であってもうかがう姿勢をもっている」との内容の前置きをした。
Q1:民主案には目を通しているか。
西:ざっとではあるが、目を通している。
加:目を通していない
Q2:民主党案には義教制度を改悪して地方に押しつけるのではなく、財政論にも触れているが、政府案にはこれがない。このことについてどう考えるか。
西:環境整備は大切。理念法にどこまで書くかが問題ではあるが、個人的にはもっと手厚くすべきと考えている。
Q3:愛国心を条文に載せて態度を評価できるのか。
加:他国を尊重すれば、国家主義にならない。
西:政府案も民主案もよくできている。それぞれの表現の違い。帰属意識が大切であり、これはそもそも家庭教育につながることである。
●横山北斗(民主)委員の質問
Q1:今日的な問題の解決に政府案はどういう優位性があるか。
西:政府案、民主案とも相違はない。
Q2:政府案のどこに我が国の大切さがあるのか。
加:そこまでは検討していない。
Q3:義務教育の無償化や私学助成についてはどうか。
岩:憲法26条に無償化はすでに述べられている。それを実現するのが政治・国会議員の役割である。私学助成についても改めて理念を書き込むことではなく、国会で決めるべきである。
●西博義(公明)委員の質問
Q1:家庭教育の現状分析と方針についての考えは。
西:家庭問題は社会問題。子育ての前に親育てが必要である。
Q2:教育委員会の位置づけについてどう考えるか。
西:教育委員会と知事部局はいっしょにすべきでない。教育委員会は、その独自性を保つべきである。政治的な力でかわるというのは教育はなじまない。
Q3:勤労と教育が結びつかない理由
加:昔は、仕事もしないでぶらぶらしている若者はいなかった。日本においては、親が子離れができていないから、子どもを甘やかす。カナダでは、16歳で免許を取得でき、校庭にも子どもたちの車が並んでいる。その維持費は夏休みなどアルバイトでかせぐ。大学からは自分で行きない。と言うのが当たり前となっている。現職時代には、お母さん方に子どもには真心こもった弁当を作りなさいと言っていた。親の問題が大きい。
Q4:学校、地域、家庭の連携はどうあるべきか。
加:そもそも今の親は忙しい。そういう場合は、教師が家庭に出向くべきである(自分はそうやっていた?)。
●石井郁子(日本共産)委員の質問
Q1:いじめ問題について
西:いじめはなくならないもの。受け取る側の心の問題である。おかあさんたちが家庭教育に専念する。質のいい先生、困ったときにあたたかく包んでくれる先生が採用されるべきである。そして、そう言った教員がきちんと評価されることが大切だ。
Q2:未履修問題について
加:なぜ、学校で起きてしまうのか。少子化で努力しなくてもそれなりの大学に進学できる。昔に比べて生徒の努力が足りないのでほとんどの学校でこのようなことはやっているのではないか。この問題で校長が生徒に対して謝っているが、生徒のためにやっているのになぜ子どもたちに謝るの理解できない。
Q3:現行法に比べて政府案の優位性とは。
西:家庭との連携を密にしていける。崇高な使命を具現化する教員を採用しやる気のある教員を評価をする。
Q4:法律に態度を養うことは法律になじむのか。
岩:近代法・立憲主義は法律と道徳は分離するものと考えるのが常識。道徳・徳目を法律の中に組み込むことはなじまない。さらに、政府案に列挙されている徳目は、国民のコンセンサスを得られていない。
Q5:教育行政の役割は
岩:現行の10条をきちんと実現すべき。誰の声を聞くかといえば、子どもの意見をきちんと吸い上げる行政、教育が必要である。(他の意見陳述人の発言をとらえて)ジェンダーバイアスにかかわる問題が含まれていた。そもそも、そうだから学校は自由にならないのだ。
◎鈴木団長挨拶―閉会―
(注) あくまでも概要ということでおさえてください(若干正確でないかもしれませんが、雰囲気だけでもつかんでいただければ)。現在、詳細の報告について作成中です。岩本陳述人の原稿が入手でき次第改めて報告します。
あんころブログ
http://kyokiren.seesaa.net/article/27422321.html#more
教育基本法改正問題で衆院の特別委員会(森山真弓委員長)は13日、大分、札幌両市で地方公聴会を開いた。大分市では政党推薦を受けた陳述者3人のうち2人が「現行法の根幹部分は維持すべきだ」「改正論議は拙速」などと不満を表明、採決を急ぐ与党の姿勢に批判をにじませた。1人は改正に賛成した。
大分会場では、元小学校長の清原今朝勝氏(公明党推薦)が「変えていい部分と変えてはならない部分がある」と指摘。「いじめや不登校などの問題が噴出しているが、基本法の前文や目的は時代が変わっても変えてはならない」と主張した。
大分市議会の井手口良一議員(民主党推薦)は採決について「公聴会を形式的に終わらせて採決すれば議論の場である国会は数の論理だけが横行してしまう」と指摘。その上で「現行法のどの部分が時代にそぐわないか明確になっていない」として徹底した議論を求めた。
大分県高校PTA連合会の高橋正夫会長(自民党推薦)は「時代に合わせた改正は賛成」と表明。改正法案が家庭教育や、学校、家庭、地域の連携に踏み込んだ点を評価し「今まで以上に連携しやすくなり、新しい協力ができる」と歓迎した。
=2006/11/14付 西日本新聞朝刊=
(西日本新聞) - 11月14日10時7分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061114-00000004-nnp-l44
◆ 「教育基本法に関する特別委員会地方公聴会」(第2班・北海道)
と き:2006年11月13日(月)13:00~14:40
ところ:札幌全日空ホテル
◎座長・挨拶 鈴木恒夫派遣委員団団長(自民)
―趣旨・注意事項・意見発表者の紹介など―
<陳述者の発言>
○ 西田 豊(自民推薦・札幌国際大学人文学部教授-元道教委幹部、その後札幌南高等学校校長)陳述人の発言要旨
・ 有馬元文部大臣との対話の中で「教育の基本は家庭教育にある」と意見を述べた。その後、中教審答申に家庭教育が盛り込まれて驚いた。中教審答申レベルでなく法に明記されることの必要性を感じた。
・ 「我が国と郷土を愛する心」は人として大切なこと。国民の義務である。
・ 教員は崇高な使命を深く自覚することが重要である。人確法の廃止の動きもあるが、むしろ今以上に適切な待遇が必要であると考える。
○加藤義勝(公明推薦・元高校教諭)陳述人の発言要旨
・ 制定から60年たち、社会も大きく変化している中、教育基本法を見直すことはきわめて重要と考える。
・ 慎重な論議を求める声もあがる。しかし現在、与党で3年間70回の審議、通常国会でも50時間審議しているので、拙速な議論とは言えない。
・ 目標の中に勤労を重んずる態度を入れることは大きな意味を。
・ 国を愛するという場合の「国」は統治機構を意味するものではないとのことなので、国家主義的要素を払拭できていると考える。
○岩本一郎(民主推薦・北星学園大学経済学部教授)陳述人の発言要旨
・ 現行法の理念は色あせておらず、改正は必要ない。
・ 個人を尊重する憲法と教育基本法は分かち難い存在である。
・ 教育の諸問題は教育基本法のせいではなく、それに反する政策こそが問題である。
・ 改正案は主客を転倒しており、個人を国家の道具とするものである。
●やまぎわ大志郎(自民)委員の質問
Q1:政府案に現行法の「人格の完成」の理念は受け継がれていると思うか。
岩:文言はあるが、憲法13条が前提になければ文言だけあってもそうとは言えない。
加:文言がすばらしくても生かしていかねば。
西:人格の完成という文言をそのままうけとめるべき。
Q2:どうやったら教員の評価ができるのか。
西:まず崇高な使命をもった人を採用してほしい。あとはがんばりや特色を評価する。
Q3:個人尊重の理念は重要だが、偏りすぎてないか。
岩:自由に責任は伴うが、権利に対する義務は国民でなく国家が負うもの。憲法13条の幸福追求は決して利己主義でない。
Q4:教員にゆとりをもたせるには。
加:保護者との対応が大変。親の教育が大切。
●牧 義夫(民主)委員の質問
※ 質問に先立ち、民主推薦の岩本陳述人の意見に触れ、「陳述人は民主推薦ではあるが、意見を聞いていると民主党案に対しても反対であるとお見受けした。民主党はヤラセはしないので反対の意見であってもうかがう姿勢をもっている」との内容の前置きをした。
Q1:民主案には目を通しているか。
西:ざっとではあるが、目を通している。
加:目を通していない
Q2:民主党案には義教制度を改悪して地方に押しつけるのではなく、財政論にも触れているが、政府案にはこれがない。このことについてどう考えるか。
西:環境整備は大切。理念法にどこまで書くかが問題ではあるが、個人的にはもっと手厚くすべきと考えている。
Q3:愛国心を条文に載せて態度を評価できるのか。
加:他国を尊重すれば、国家主義にならない。
西:政府案も民主案もよくできている。それぞれの表現の違い。帰属意識が大切であり、これはそもそも家庭教育につながることである。
●横山北斗(民主)委員の質問
Q1:今日的な問題の解決に政府案はどういう優位性があるか。
西:政府案、民主案とも相違はない。
Q2:政府案のどこに我が国の大切さがあるのか。
加:そこまでは検討していない。
Q3:義務教育の無償化や私学助成についてはどうか。
岩:憲法26条に無償化はすでに述べられている。それを実現するのが政治・国会議員の役割である。私学助成についても改めて理念を書き込むことではなく、国会で決めるべきである。
●西博義(公明)委員の質問
Q1:家庭教育の現状分析と方針についての考えは。
西:家庭問題は社会問題。子育ての前に親育てが必要である。
Q2:教育委員会の位置づけについてどう考えるか。
西:教育委員会と知事部局はいっしょにすべきでない。教育委員会は、その独自性を保つべきである。政治的な力でかわるというのは教育はなじまない。
Q3:勤労と教育が結びつかない理由
加:昔は、仕事もしないでぶらぶらしている若者はいなかった。日本においては、親が子離れができていないから、子どもを甘やかす。カナダでは、16歳で免許を取得でき、校庭にも子どもたちの車が並んでいる。その維持費は夏休みなどアルバイトでかせぐ。大学からは自分で行きない。と言うのが当たり前となっている。現職時代には、お母さん方に子どもには真心こもった弁当を作りなさいと言っていた。親の問題が大きい。
Q4:学校、地域、家庭の連携はどうあるべきか。
加:そもそも今の親は忙しい。そういう場合は、教師が家庭に出向くべきである(自分はそうやっていた?)。
●石井郁子(日本共産)委員の質問
Q1:いじめ問題について
西:いじめはなくならないもの。受け取る側の心の問題である。おかあさんたちが家庭教育に専念する。質のいい先生、困ったときにあたたかく包んでくれる先生が採用されるべきである。そして、そう言った教員がきちんと評価されることが大切だ。
Q2:未履修問題について
加:なぜ、学校で起きてしまうのか。少子化で努力しなくてもそれなりの大学に進学できる。昔に比べて生徒の努力が足りないのでほとんどの学校でこのようなことはやっているのではないか。この問題で校長が生徒に対して謝っているが、生徒のためにやっているのになぜ子どもたちに謝るの理解できない。
Q3:現行法に比べて政府案の優位性とは。
西:家庭との連携を密にしていける。崇高な使命を具現化する教員を採用しやる気のある教員を評価をする。
Q4:法律に態度を養うことは法律になじむのか。
岩:近代法・立憲主義は法律と道徳は分離するものと考えるのが常識。道徳・徳目を法律の中に組み込むことはなじまない。さらに、政府案に列挙されている徳目は、国民のコンセンサスを得られていない。
Q5:教育行政の役割は
岩:現行の10条をきちんと実現すべき。誰の声を聞くかといえば、子どもの意見をきちんと吸い上げる行政、教育が必要である。(他の意見陳述人の発言をとらえて)ジェンダーバイアスにかかわる問題が含まれていた。そもそも、そうだから学校は自由にならないのだ。
◎鈴木団長挨拶―閉会―
(注) あくまでも概要ということでおさえてください(若干正確でないかもしれませんが、雰囲気だけでもつかんでいただければ)。現在、詳細の報告について作成中です。岩本陳述人の原稿が入手でき次第改めて報告します。
あんころブログ
http://kyokiren.seesaa.net/article/27422321.html#more
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます