◇ 2年後、自由社版歴史教科書を横浜全市で採用の危険性が高まった
神奈川県教育委員会は横浜市の公立小中学校の教科書採択地区1地区化を強行決定
神奈川県教育委員会は10月15日の定例会において、横浜市から出されていた教科書採択地区1地区化を原案通り決定した。同時に、1地区化に反対の立場で提出されていた7本の請願はすべて不採択となった。
この日、審議に先立って「1地区化に反対」の立場から意見陳述があった。陳述者は採択地区1地区化という横浜市教委の提案はまったく合理性を欠くことを述べ、この提案が自由社版中学歴史教科書を横浜市全域に及ぼそうとするねらいからなされていることを指摘した。
陳述後、渡辺美樹委員(ワタミ会長)から、「横浜市の社会科歴史教科書の採択の過程で不適切なことが行われたという物的証拠があるのか?」という質問があった。陳述者は「物的証拠はまだないが風評がたっていること自体が信用をそこねることだ」と答えた。
宮崎緑委員(元NHKニュースキャスター)は「教科書は出来る限り多様であることが望ましいのか?」と質問した。陳述者はその通りだと答えた。
その後、審議が開始された。渡辺委員は前回の審議に引き続き、1地区化する理由が薄弱であり、納得できないと強く主張した。宮崎委員も学校の多様性を重視する立場から同様の意見を述べた。他の委員も最初は同調していたが、1時間ほど経過したころからにわかに雲行きが変わってきた。
まず、賛成派の委員から横浜市の小中一貫校の試験校の授業見学の様子が報告され、「感動的な授業風景だった」とした。そして、これほど熱心に横浜市教委が横浜の教育改革を進めているのだから、ひとつ横浜市教委の言い分をきいてやったらどうか、というような心情論を一部の委員が展開し始めた。
それに呼応して2名を除く他の4名の委員が、「横浜市の教育改革の芽を摘むのは惜しい」というような心情論を次々に述べた。渡辺委員は「それは1地区化する理由にはならない」と再び強く主張した。これに対し別の委員は「よほど違法でない限り市教委の主張を認めるべきだ」と述べ、さらに別の委員は「1地区化すると危険もあるが、危険と隣り合わせであるにしても5年や10年やらせてみてはどうか」とはなはだ無責任なことを述べる。さすがにこれを聞いて唖然とした。
最後まで「なぜ1地区化か」はまともに議論されることはなかった。2時間近く経過して採決となり、4対2で横浜市の「1地区化」は決定された。
賛成したのは平出彦仁委員長、福田幸男委員、具志堅幸司委員、山本正人教育長の4人。
反対は渡辺美樹委員、宮崎緑委員の2人。
これで、2年後に横浜市全市145の中学校で一斉に自由社版歴史教科書が採用される危険性が一段と高まった。
★ 神奈川県教育委員会に抗議をお願いします。
FAX 045-210-8937
市民団体の連合組織である横浜教科書採択連絡会はこれに抗議してただちに抗議文を神奈川県教育委員会に提出し、15日午後1時から記者会見に臨みました。
同連絡会は次の集会を予定しています。
◇ こんな教科書はいらない
自由社採択&1採択地区撤回を求める11.12市民の集い
11月12日(木) 午後6時30分より
神奈川県民センター2階ホール
横浜駅西口下車3分 ヨドバシカメラ裏
同連絡会はまた現在、自由社教科書採択撤回と今田教育委員長辞任を求めて署名運動を実施中です。問い合わせ 090-9293-8446
神奈川県教育委員会委員長殿 2009年10月16日
神奈川県教育委員会は10月15日の定例会において、横浜市の教科書採択地区1地区化を決定した。同時に、1地区化に反対の立場で提出されていた7本の請願はすべて不採択となった。このことに強く抗議すると同時に次の理由から審議のやり直しを要求する。
第一に、審議そのものが公平な立場に立って行われていたかが極めて疑わしい。審議の冒頭の事務局からの説明が横浜市の主張をそのまま代弁するものであり、一方的である。しかも事前に一部の委員に学校施設を見学させ、採択地区1地区化とまったく関係のない情報を委員に与えて予断と偏見を抱かせたことは審議の公平性を揺るがすものである。
第二に、審議がまったく尽くされていない。いずれの委員の口からも1地区化に賛成する理由は聞かれなかった。どの委員も横浜市の提案に疑問を呈している。ただ「横浜市があれだけ熱心にやらしてくれと言っているのだからやらしてみては」という心情論というよりは横浜市の圧力に押されただけである。賛成した4名の委員は1地区化に反対する2名の委員を納得させられなかった。ただ数で押し切っただけである。これは暴挙というに等しいものである。
第三に、「危険と隣り合わせであるが、とにかく5年でも10年でもやらせてみては」という発言が一教育委員の口から公然と語られたことは極めて問題である。横浜の教育にとって「危険」であるという認識を示していながら、1地区化に賛成したことは、教育委員としての識見のみならず、良心をさえ疑わせるものである。信用失墜行為とさえ言えるものである。
第四に、審議されるべき項目が尽くされていない。7本の請願は全部で10項目にわたる内容のものである。このなかで「国定化への恐れ」「営業競争・寡占化の恐れ」などについて、審議の最初では審議すべき項目にあげられていたが、一切審議されていない。しかも非常に重要な内容のものである。採決は審議未了のうちに無理に行われた。最初に結論(採択地区1地区化)ありきでは審議にならない。
しかも直後に、厚木市と愛川町・清川村とに細分化する案を全員一致で決定した。横浜市は1地区化で厚木・愛甲地区は細分化ではまったくのダブルスタンダードである。いったい神奈川県教育委員会の識見はどこにあるのか。
人口360万もの大都市の公立小中学校が一種類の教科書を使うという事態はきわめて異常であり、これでは事実上の国定教科書化にも等しいではないか。これにより教科書の寡占化がいっそう進行し、教科書会社間の競争も激烈なものになり、しかも数名の教育委員の"好み"で教科書が決定されてしまう。これで教科書会社と教育委員との不明朗な関係がおこらないことの方ががむしろ不思議である。神奈川県教育委員はこのことを考えたのであろうか?「危険もある」と言っている以上そのことは認識しているのかもしれないが、そうであるとしたらなおさらそれは犯罪的である。
今回の採択地区1地区化には、横浜市の今田忠彦教育委員長の強い影響力により8地区で「採択」された自由社版歴史教科書を全市で使用させようという意図が貫かれているとは、各方面で指摘されていることである。このことがやがて国際問題化するのではないのかとの懸念も広がっている。今回の決定により、その責任の一端が神奈川県教育委員会にもかかってくるのである。決定に賛成した教育委員はそのことを認識すべきである。
神奈川県教育委員会は横浜市の公立小中学校の教科書採択地区1地区化を強行決定
神奈川県教育委員会は10月15日の定例会において、横浜市から出されていた教科書採択地区1地区化を原案通り決定した。同時に、1地区化に反対の立場で提出されていた7本の請願はすべて不採択となった。
この日、審議に先立って「1地区化に反対」の立場から意見陳述があった。陳述者は採択地区1地区化という横浜市教委の提案はまったく合理性を欠くことを述べ、この提案が自由社版中学歴史教科書を横浜市全域に及ぼそうとするねらいからなされていることを指摘した。
陳述後、渡辺美樹委員(ワタミ会長)から、「横浜市の社会科歴史教科書の採択の過程で不適切なことが行われたという物的証拠があるのか?」という質問があった。陳述者は「物的証拠はまだないが風評がたっていること自体が信用をそこねることだ」と答えた。
宮崎緑委員(元NHKニュースキャスター)は「教科書は出来る限り多様であることが望ましいのか?」と質問した。陳述者はその通りだと答えた。
その後、審議が開始された。渡辺委員は前回の審議に引き続き、1地区化する理由が薄弱であり、納得できないと強く主張した。宮崎委員も学校の多様性を重視する立場から同様の意見を述べた。他の委員も最初は同調していたが、1時間ほど経過したころからにわかに雲行きが変わってきた。
まず、賛成派の委員から横浜市の小中一貫校の試験校の授業見学の様子が報告され、「感動的な授業風景だった」とした。そして、これほど熱心に横浜市教委が横浜の教育改革を進めているのだから、ひとつ横浜市教委の言い分をきいてやったらどうか、というような心情論を一部の委員が展開し始めた。
それに呼応して2名を除く他の4名の委員が、「横浜市の教育改革の芽を摘むのは惜しい」というような心情論を次々に述べた。渡辺委員は「それは1地区化する理由にはならない」と再び強く主張した。これに対し別の委員は「よほど違法でない限り市教委の主張を認めるべきだ」と述べ、さらに別の委員は「1地区化すると危険もあるが、危険と隣り合わせであるにしても5年や10年やらせてみてはどうか」とはなはだ無責任なことを述べる。さすがにこれを聞いて唖然とした。
最後まで「なぜ1地区化か」はまともに議論されることはなかった。2時間近く経過して採決となり、4対2で横浜市の「1地区化」は決定された。
賛成したのは平出彦仁委員長、福田幸男委員、具志堅幸司委員、山本正人教育長の4人。
反対は渡辺美樹委員、宮崎緑委員の2人。
これで、2年後に横浜市全市145の中学校で一斉に自由社版歴史教科書が採用される危険性が一段と高まった。
★ 神奈川県教育委員会に抗議をお願いします。
FAX 045-210-8937
市民団体の連合組織である横浜教科書採択連絡会はこれに抗議してただちに抗議文を神奈川県教育委員会に提出し、15日午後1時から記者会見に臨みました。
同連絡会は次の集会を予定しています。
◇ こんな教科書はいらない
自由社採択&1採択地区撤回を求める11.12市民の集い
11月12日(木) 午後6時30分より
神奈川県民センター2階ホール
横浜駅西口下車3分 ヨドバシカメラ裏
同連絡会はまた現在、自由社教科書採択撤回と今田教育委員長辞任を求めて署名運動を実施中です。問い合わせ 090-9293-8446
◇ 神奈川県教育委員会に対する抗議文
神奈川県教育委員会委員長殿 2009年10月16日
〒223-0064 横浜市港北区下田町×-×-× 青木茂雄
神奈川県教育委員会は10月15日の定例会において、横浜市の教科書採択地区1地区化を決定した。同時に、1地区化に反対の立場で提出されていた7本の請願はすべて不採択となった。このことに強く抗議すると同時に次の理由から審議のやり直しを要求する。
第一に、審議そのものが公平な立場に立って行われていたかが極めて疑わしい。審議の冒頭の事務局からの説明が横浜市の主張をそのまま代弁するものであり、一方的である。しかも事前に一部の委員に学校施設を見学させ、採択地区1地区化とまったく関係のない情報を委員に与えて予断と偏見を抱かせたことは審議の公平性を揺るがすものである。
第二に、審議がまったく尽くされていない。いずれの委員の口からも1地区化に賛成する理由は聞かれなかった。どの委員も横浜市の提案に疑問を呈している。ただ「横浜市があれだけ熱心にやらしてくれと言っているのだからやらしてみては」という心情論というよりは横浜市の圧力に押されただけである。賛成した4名の委員は1地区化に反対する2名の委員を納得させられなかった。ただ数で押し切っただけである。これは暴挙というに等しいものである。
第三に、「危険と隣り合わせであるが、とにかく5年でも10年でもやらせてみては」という発言が一教育委員の口から公然と語られたことは極めて問題である。横浜の教育にとって「危険」であるという認識を示していながら、1地区化に賛成したことは、教育委員としての識見のみならず、良心をさえ疑わせるものである。信用失墜行為とさえ言えるものである。
第四に、審議されるべき項目が尽くされていない。7本の請願は全部で10項目にわたる内容のものである。このなかで「国定化への恐れ」「営業競争・寡占化の恐れ」などについて、審議の最初では審議すべき項目にあげられていたが、一切審議されていない。しかも非常に重要な内容のものである。採決は審議未了のうちに無理に行われた。最初に結論(採択地区1地区化)ありきでは審議にならない。
しかも直後に、厚木市と愛川町・清川村とに細分化する案を全員一致で決定した。横浜市は1地区化で厚木・愛甲地区は細分化ではまったくのダブルスタンダードである。いったい神奈川県教育委員会の識見はどこにあるのか。
人口360万もの大都市の公立小中学校が一種類の教科書を使うという事態はきわめて異常であり、これでは事実上の国定教科書化にも等しいではないか。これにより教科書の寡占化がいっそう進行し、教科書会社間の競争も激烈なものになり、しかも数名の教育委員の"好み"で教科書が決定されてしまう。これで教科書会社と教育委員との不明朗な関係がおこらないことの方ががむしろ不思議である。神奈川県教育委員はこのことを考えたのであろうか?「危険もある」と言っている以上そのことは認識しているのかもしれないが、そうであるとしたらなおさらそれは犯罪的である。
今回の採択地区1地区化には、横浜市の今田忠彦教育委員長の強い影響力により8地区で「採択」された自由社版歴史教科書を全市で使用させようという意図が貫かれているとは、各方面で指摘されていることである。このことがやがて国際問題化するのではないのかとの懸念も広がっている。今回の決定により、その責任の一端が神奈川県教育委員会にもかかってくるのである。決定に賛成した教育委員はそのことを認識すべきである。
以上
子供達の就職難、貧困の原因は、日本の教育の質にあります。
知識時代に、受験競争で時代遅れの知識を詰め込ませ、世界最低となった大学に進学させ、外国語もIT能力も金融や法知識もない若者を育てれば、就職できず貧窮するのは当然です。
各地の母親グループやPTA等が「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望 日新報道)を読む活動を始めたのは、大きな危険に気付いたためです。すべての親にとって、子供が低所得者となり、結婚できず、ホームレス、ネットカフェ難民になることが、現実の問題となっています。
そのため、子供を守り、家庭を守り、生活を守るために、教員に質の高い教育を要求し、政治家に教育システムの根本改革を求める運動が始まりました。
親や若者の行動は、全国に拡大していきます。なぜなら、質の高い教育を受けることが、生き残るために必要不可欠な時代となったからです。