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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

自由と生存のメーデーより(2)

2008年05月09日 | 格差社会
 フリーターのための討論紙「地球公論-light」(2008年5月3日)から
 ◎ 自由と生存のメーデー(5/3)ムキンポ氏の写真(レイバーネット日本 リンク)


 《論考》
 ◎ 全入大学の窓から

鈴木 隆弘

 今、大学も高校も競争下であえいでいる。数値化できるものだけが評価指標になるため、進学率、あるいは就職率が実績として問われる。20年後に「良い学校だったな」と思えるような学校は、20年後にはもうなくなっているのが現実だ。

【就職か進学か】
 高校段階では、ずぱ抜けて優秀な生徒しか就職できない。企業も、育てる余裕はないらしい。では、そこそこ優秀な生徒はどうするのだろうか。
 高校は、「資格でも取って、手に職付けてさ」と大学へと誘導する。そこで、定員を埋めたいFランク大学と結託することとなる。結局は、問題の先延ばしにすぎない。大学段階だと、現在はそれほど悪くない。
 しかし、地元でまったりとコネ入社なんぞ考えずに、がんばるってしまうと、一部上場の即店長管理職会社が待ちかまえている。残業代0円・労働時間無制限へとご案内。地元も、産業空洞化の中で、仕事は減少気味。どっちにしても行き詰まる。

【全入大学の現実】
 全入時代の今、大学は遊びたい放題。だから、押し込む高校側からしても、より良いところへと押し込もうとする。

 大学は、どのような付加価値を付けられるかで選別される。どこの大学も、「資格が取れます」のオンパレード。IT、福祉、最近のはやりは教員免許。その次はなんだろう。
 大学が、資格学校と化した今、学問教授は必要ない。学生は、スキルを身につけてくれればよい。まさしく、大学が専門学校化している。いや、専門学校が大学化していると言うべきだろうか。
 誰でも、同じことが学べるなら、専門よりも大学に行きたい。かくして、神田外語学院は大学になって生き延びた。大学になれなかった専門学校は、つぶれていく。結果として、同じスキルを身につけるための学費は高等化している。教員も、何人資格を取ったか、就職させたかで経営から査定される。優秀な学生一人に、何人もの教員が群がり、奪い合いを始める。4年になっても、公務員に、教員に、民間企業と志望先が決まらない学生もいる。
 学生は疑問を持たないのだろうか。高校段階で就職を希望する学生は、一般に実学志向が強く、抽象的な思考を苦手とする。理不尽な教員のやり口に怒りが沸いたとしても、言語化できない。対する教員は、抽象的な言語で丸め込むなんてお手の物。かくして、学生運動なんて起こらない。不満は鬱積し、自分へと向けられていく。
 心の病気になれば、カウンセラーが控えている。「そうなったのは自己責任。」そんな言葉は、まっぴらだ。

【全入大学の存在童義とは】
 しかし、たとえそんな「大学jでも、存在意義がある。誰でも入学できるということは、学費を払う金さえあれば、大学卒になれる。質量共に一流大学に劣るとしても、少なくとも国や民間認証機関の認定によって、一定の質は保証されている。だから、まだ一発逆転の夢が見られる。最低でも、資格があれば九回裏二死満塁ぐらいにはなる。
 多少学力優秀か、体育に秀でていれば、特待生という形で学費が減免されることもある。定員を埋めるため、あるいは大学の宣伝のためだ。「大学は金がなくてあきらめていた。推薦の話が来て小躍りした。全額、大学持ちっていうから。」「大学なら学費半額免除と言われた。けど、うち貧乏だから行けなかった。全額免除じゃないと無理なんだ。」と語る学生達。
 100円マックで飢えを凌ぎ、推薦の条件たる部活に、講義、生活費バイトに明け暮れる。大学がレジャーランド?学生は暇?冗談じゃない。あなた、24時間戦えますか?
 かくして、Fランク大学の教室には、なんとなく大学に来た学生から、一発逆転を目指す資格ゲッター、金が無いが故にFランクしか選べなかった学生が混在することとなる。
 学生同士の会話は余りない。層としての学生なんて呼ばれるのはごめんだ、という意議が通奏低音のごとく鳴り響く。一体どの層をターゲットに教えたらいいのか分からず、おろおろしながらしゃべり瞬ける教員たち。低音部にあわせて、教員の声が不協和音を奏でている。
 「安定してるから学校の先生になりたい」と真顔で言う学生。おいおい勘弁してくれ、と言いたいのをぐっとこらえる。彼/彼女らは、人生の中で安定など得たことがないのだ。常に、周りから能力を評価され、勝ち残った結果、大学へのパスポートを得たのだ。背後には、金も学力も体育能力も無いが故に、大学に来られなかった死屍累々が控えている。
 確固たる自分など、育てることができなかった。受験学力で劣るが故に、実績にならない者への教育的指導は、放棄された。「お前は寝てて良いよ。」なんて残酷な言葉だろう。部活の先生が言うことを無条件に聞いて初めて、周りから評価される。その評価も、先生に嫌われたら一巻の終わりだ。小学校の段階から、教室から排除され、部活からも排除をされないために、感情労働を強要されてたという現実。手に入れるのは、大学へのパスポート。しかし、それは片道切符かもしれない。
 そんな彼/彼女に、国家による保障は、揺るぎないものとして映るらしい。国家が認めてくれる「教員免許」は、誰もその評価にケチなどつけない、揺るぎないものなのだ。「教員なっても、就職ないよ。」などと言っても、あきらめない。自己を肯定してくれるものは資格だけ、なのだ。

 学費を無料に!学生に賃金を!

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