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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

冷戦構造で世界情勢を解き明かす報道に終始している日本マスコミの偏向

2022年04月12日 | 平和憲法
  <「ロシア悪魔視報道」に異議り!>
 ◆ 「プーチン叩き」一色の報道は戦時中の「愛国は儲かる!」とどう違うのか?
   皆さま     高嶋伸欣です


 ウクライナへのロシア軍の侵攻は終息の見通しがないまま、惨状が次々に明らかにされていますが、昨今の日本のマスコミ報道は「ロシア(プーチン)悪魔視」一色に染められているよう見えます。
 そうした状況に対して、痛烈に「異議あり!」の声を挙げている乗松聡子氏の論説を遅まきながら紹介します(添付資料参照)。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1486698.html
 乗松氏の論説に注目したのは、私が惨状とは別に各国の動きを見ていく中で、プーチン大統領は米国の軍産複合体が仕掛けた罠にはまったのではないかという一面を感じていたのと、軌を一にするものを感じたからです。
 そのように思った始まりは、1970年代に西ドイツのブラント首相(当時)が東ドイツを国家として認め、さらに東ドイツとポーランドとの間の休戦ライン(オーデル・ナイセ線)を国境として認めることで、ヨーロッパの東西対立を終わらせていたのに、気付いていたことでした。
 この休戦ランンを国境として認めることは、戦後にポーランドに編入された旧ドイツ領(開戦前の領土の4分の1)の領有(奪還)を主張しないという政策大転換を意味します。
 それは、冷戦の最大の要因を消滅させていたことでもあります。

 その歴史的意味を確認したのは、1980年頃に担当していた教育TVの高校地理の講座の準備中に、ソ連(当時)から中立国オーストリアなど経由で天然ガスパイプラインが開設され、西欧諸国のエネルギー源依存度でソ連が15%を超えるほどになっていると気付いた時です。
 さらに、西ドイツは西欧資本主義圏内では経済成長の飽和状態で、東欧諸国に市場を広げ、また安い人件費の労働者を得ることが必要でした。それに東欧諸国に様々な融資・投資を進めていました。政治的な隔離などでそれらが回収できないことになれば、世界恐慌になるとも経済界では言われていました。
 つまり、1970年代には西欧と東欧・ソ連は運命共同体の関係になっていて、政治的軍事的対決は名目だけのものになっていたのでした。
   *今もその運命共同体的状況は続いています。そのためにウクライナ侵攻に対しても米国と西欧諸国とでは足並みに不一致が見られます。
 1980年頃、ブラント政策の歴史的意味にNHKの認識は薄く、そうした状況を裏付ける上記のパイプラインの映像を探してもらいましたが、NHK内にはありませんでした。
 また貿易商社などにも問い合わせましたがありませんでした。

 教育TVの最初の年は、パイプラインの地図で説明しました。
 番組には、「初めて知った!」との反響が多数寄せられたとのことでした。
 そこで、次の年には夏休みを利用して自分で撮影に行くことにしました。教育TVのための取材はNHKの海外支局に依頼できなかったためです。
 準備段階で、自分でハンガリーとオーストリアとの国境を超えるパイプラインの写真を撮りに行くので、その場所を教えて欲しいという手紙を、ウィーン支局のA氏に送りました。
 返事は「同行する」ということでした。現地は国境でパイプラインも大事な施設なので、目立つ撮影行動は避けようということで、私がA氏の車を低速で運転し、A氏が体を乗り出してカメラを回すという、スリルのある体験でした。
 ともあれ、目的の写真と16mmを持ち帰って1983年にかけ毎年の番組で使いました。同時に、それら写真とフィルムはNHKの資料室に保存されたはずです。
 ただし、当時の日本国内のマスコミは、欧州での冷戦終結について報道する姿勢が希薄で、日米安保の前提としての冷戦構造で世界情勢を解き明かす報道に終始していました。
 その状況は、1990年の「冷戦」終結やソ連邦の解体後も仮想敵国を中国(北京)と北朝鮮に置き換える形で維持されました。
 「北朝鮮叩きは儲かる!」報道が繰り返されているのも、そうした状況を裏付けるものだと、私は思っています。
 そして、今回のロシア軍によるクライナ侵攻と「プーチン叩き」一色の報道です。

 私の上記の認識と今回の侵攻との整合性を、乗松聡子氏が添付の論説で見事に解き明かされていると読むのは、一人よがりでしょうか。
 これまでの経過についての私の認識の適否は別にして、乗松氏の論説は傾聴の価値が大いにあると思います。
 乗松氏カナダ在住です。そしてこの論考を掲載したのは『琉球新報』です。

 時あたかも、添付資料の文献紹介「読書室」にあるように、戦時中の新聞が「愛国は儲かる!」「戦意高揚報道は儲かる!」との営業利益優先姿勢で率先して軍部に迎合していたことが、明らかにされています。
 新聞は、国家総動員法によって言論規制をされた被害者のように装っていますが、新聞社の側から率先して軍部にすり寄ることで「儲け」を確保していたのです。
 加えて、新聞用紙の優先割り当で経営の安定を得ていたのです。

 それは同時に、人々の命を軽んじる報道を続けていたことを意味しています。

 現在の「本土」マスコミは、戦時中と同様の「儲かる報道」体質をやはり維持しているのではないかと、私には思えます。
 まさか、ロシアの国営放送局のスタッフの場合と同様に、日本のマスコミ内でも声を挙げたくても挙げられない状況があるのだとしたら、残念です。
  以上 乗松氏の論考の紹介と高嶋の私見です。ご参考までに。
                              転送・拡散は自由です。
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