◆ 核禁止条約 (東京新聞【本音のコラム】)
来年一月から、核兵器は国際的に違法となる。
「生きていてよかった、と大きな喜びを分かち合う日を迎えた」。この原爆被爆者の声は、世界史に残るであろう。
戦争それ自体が残虐な行為であり、日本が仕掛けた戦争だったにしても、嬰児(えいじ)から寝たきり老人まで数十万の人びとが一瞬にして殺戮(さつりく)された、地獄的な世界を体験した唯一の国だからこそ、日本政府は核廃絶にむかう義務があるはずだ。
にもかかわらず、政府は被爆者の願いばかりか、世界の人びとの熱意による、核禁止条約締結の運動に目をそむけてきた。米国の「核の傘」の下に身を置き「核は戦争の抑止力」の妄言を支持してきたのだ。
日米安保条約に支配されているとはいえ、そこには核戦争をするとは書かれていない。この曖昧な態度が、国際的な孤立を深めないか心配だ。
菅内閣は「仮想敵」の核基地をミサイルで攻撃する「敵基地攻撃能力の保持」が背景にある、「積極的平和主義」を国連のビデオメヅセージで主張している。
核兵器禁止が広がる、世界の平和運動から取り残されそうだ。
せめて、これから始まる条約批准国による会議に、オブザーバーで参加してでも、国際世論を感じ取ってほしい。
核の「商業利用」という原発も、安全、安価、安定という虚言は破綻した。核は人類を滅ぼす。
『東京新聞』(2020年10月27日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
来年一月から、核兵器は国際的に違法となる。
「生きていてよかった、と大きな喜びを分かち合う日を迎えた」。この原爆被爆者の声は、世界史に残るであろう。
戦争それ自体が残虐な行為であり、日本が仕掛けた戦争だったにしても、嬰児(えいじ)から寝たきり老人まで数十万の人びとが一瞬にして殺戮(さつりく)された、地獄的な世界を体験した唯一の国だからこそ、日本政府は核廃絶にむかう義務があるはずだ。
にもかかわらず、政府は被爆者の願いばかりか、世界の人びとの熱意による、核禁止条約締結の運動に目をそむけてきた。米国の「核の傘」の下に身を置き「核は戦争の抑止力」の妄言を支持してきたのだ。
日米安保条約に支配されているとはいえ、そこには核戦争をするとは書かれていない。この曖昧な態度が、国際的な孤立を深めないか心配だ。
菅内閣は「仮想敵」の核基地をミサイルで攻撃する「敵基地攻撃能力の保持」が背景にある、「積極的平和主義」を国連のビデオメヅセージで主張している。
核兵器禁止が広がる、世界の平和運動から取り残されそうだ。
せめて、これから始まる条約批准国による会議に、オブザーバーで参加してでも、国際世論を感じ取ってほしい。
核の「商業利用」という原発も、安全、安価、安定という虚言は破綻した。核は人類を滅ぼす。
『東京新聞』(2020年10月27日【本音のコラム】)
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