パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

都と都教委の異常を裁いた杉浦裁判高裁判決(勝訴確定)

2015年03月15日 | 暴走する都教委
 ○ 杉浦裁判勝訴を祝い、活かすつどい
   3月21日(土)
14:15~ 文京シビックセンター26Fスカイホール(後楽園駅・春日駅)

 ◆ 杉浦再任用更新拒否裁判高裁勝訴判決報告(2015.1.22)
杉浦孝雄(都立高校教員)

 再任用フルタイム職員として勤務していた私に対する「更新拒否」に異議を申し立てた裁判で、東京高裁は都の控訴を棄却し、70万円の損害賠償を命じました。都が上告を断念し勝訴が確定した今、「教育の自由」という観点から、報告させていただきます。紙幅の関係上、“である”調にさせていただくことをお許しください。
 ◆ 「あり方検攻撃」の物量作戦の中、司法は「学校の民主主義」を毅然として擁護した
 高裁段階に入ってからの都側の法廷戦術は、私の再任用更新拒否に関わる手続きや「不合格理由」そのものの可否を問うことを半ば断念し、「あり方検攻撃」(※)を再現するものになった。
 63ページにわたる『都立学校等あり方検討委員会報告書』をはじめ、膨大な証拠が提出され、当時の副校長の虚偽まみれの「陳述書」も二度にわたって提出された。そのこころは、杉浦のような言動を軽視・許容すると、かってのように学校現場は大混乱(これ自体、都教委の決めっけであるが)に陥るという、司法への揺さぶりであった。
 ※ 97年、都教委は「都立学校等あり方検討委員会」を設置し、その「韓告書」に基づいて校長のり一ダーシップの確立、職員会議の補助機関化など、「学校の体質改善」を推進した。当時、東京の学校現場はこれらを「あり方検攻撃」と呼んだ。
 都側はこうした物量作戦を背景に、「人事委員会」「挙手・採決」「企画調整会議」「業務・服務監察」などをキーワードとして、杉浦の言動を“学校運営を阻害”とする主張を展開したが、東京高裁は微動だにしなかった。
 「職員会議の場を活用することなどにより、所属職員の建設的な考え方や意見を聞き、それを学校運営に生かすよう努める必要がある」という地裁判決のスタンスをしっかりと引き継ぎ、都と校長の示した「不合格理由」を「いずれも採用できない。」と退けたのである。
 憲法の民主主主義的原理、市民的な民主主義的感覚に則った司法の判断は、学校の民主主義と教育の自由に希望を与えた。フツーの民主主義感覚が、都と都教委のイジョーを裁いたところにこの判決の意義がある。
 ◆ 暴かれた密室選考の真実。都や管理職の「裁量権」の名による恣意的評価を許さぬ武器に
 判決内容とともにこの裁判の貴重な成果は、密室で行われていた再任用選考の真実が暴かれたことである。
 「更新拒否」通告後10日、「撤回」「再選考」の交渉がこう着状態となっていた時に、校長が突如「不合格理由」を説明し始めた。
 その内容は「冤罪」も含めてでたらめそのものであり、理不尽は許されない、撤回させろという声が、職場の圧倒的世論となった。選考に関わることがこのようにオープンにされたことはかつてなかった。
 真実はその後も次々と白日の下にさらされた。個人的な情報開示請求では墨塗りだらけであった選考関係の書類が、審理を通じて明らかにされた。
 「選考推薦書」「面接評定票」が評定まで含めて出てきた時には、正直、びっくりした。「選考推薦書」の評定は「業績評価」の評定と似ても似つかぬ“二重帳簿”であり、「面接評定票」は個別評定がすべてBで総合評定のみがCであるという、説明不能な代物であった。
 選考課長の陳述書では、上記2つの評定結果を数値化し、その総合点で合否を判断するというディテールまで明らかにされた。都と校長の合作による「不正選考」はこうして暴露されたのである。
 情報開示が私の件のみにとどめられてはならない。今後は、何人についても当局は情報を開示し、批判に耐えうる選考をすることが義務付けられるのだ。学校の民主主義と教育の自由を守る闘いに一つの武器が与えられた。
 ◆ 学校の民主主義と教育の自由は現場の団結が守る
 校長はその陳述書で、「(職員会議)で杉浦先生を再任用として残すようにという要望を伝えなければ、次年度の1学年の主年はやりませんとか、生活指導部主任はやりませんといった意見が出された」と述べている。校長がこれほど正直に陳述するほどに職員会議は緊迫感に満ちたものだった。
 入試前夜副校長が勤務時間後に設定した職員会議に、準備を終えた先生方が続々と集まった。9時半まで続いた会議では20人もの方が発言された。私と喧々諤々の議論を取り交わした方、普段こういうことには口を挟みそうにない方・・・当事者の私が先生方の熱気に圧倒された。
 裁判提訴に踏み切った原点はこの職員会議にある。いくら言ってもダメなんだという経験を先生方に残したくない、必ず仇を取る方法を見つけますよという気持ちが裁判勝訴がつながった。
 現場の団結こそが、学校の民主主義を創り、教育の自由を守るのだと思い知らされた。卒業生が「正義は勝つのだとまた一つ学ばせてくれました」と言ってくれることが、素直にうれしい。
『リベルテ 東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース 第38号』(2015年1月31日)
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